クロステックデザインコース

2022年8月「クロスの熊本県天草市プロジェクト通信」No.10 final(8月14日分)

9日間の天草の滞在を終えて、京都に戻ってきました。

3人のこどもたちの笑顔を見て、「やっぱり家は最高だな」と思った「三人の子どものお父さん」クロステックデザインコースの教員・吉田です。

 

天草から戻ってきました。

まず、この期間本当に注意していたのは、「学生や教職員、天草のみなさんを新型コロナに感染させないこと」。

これは、プロジェクトマネージャーとして実は裏側で一番注意していたことです。

出発直前、到着後、講座前、京都への帰路の直前(新幹線乗車前)

と、大学、持参したキット、無料検査場を使わせていただき、とにかくほぼ毎日抗原検査を行っていました。

 

どれだけ注意しても、現在のこの社会状況では感染を防ぐことは容易ではないですが、それでも無事に帰ることができたことはまずは一安心です。

 

そうした注意をしながら、「延期や中止」ではなく実施したことで、さまざまなことが市民の皆さんに提供できたり、学生たちも私も得られるものがたくさんありました。

天草の小学生と保護者の方と、地域のことを一緒に考えたり。

 

天草の高校生と、海洋プラスチックごみの課題と一緒に向き合ったり。

 

市民の皆さんと、「新しい学び」に出会う喜びを一緒に味わえたり。

 

人は、「帰る場所」があるから、「旅」を楽しむことができるのかもしれません。

人は、「旅」をするから、普段の場所を違う視点で考えることができるのかもしれません。

 

これが、「旅するキャンパス」に込めた想いでもあります。

 

ポール・ゴーギャンの有名な絵画のタイトル

『Where Do We Come From? What Are We? Where Are We Going?』(1987-1989)

(私たちはどこから来たのか?私たちは何者か?私たちはどこへ行くのか?)

と言う問いが込められた作品が生まれて100年以上が経ち、世界は急激な変化を遂げています。

 

同じく約100年前の明治40年(1907年)、当時の大学生が5人が夏の天草を旅しました(「五足の靴」)。

飛行機もインターネットもない時代に、彼らが船と自らの足で歩いて見つけたものはなんだったのでしょうか?

 

日本国内に目を落とせば、これからの30年間で、3,000万人以上の人口が減少する時代に。

世界に目を向ければ、同じ期間で23億人人口が増加し、100億人を超える人口規模になる時代へ。

現在の地球の環境資源では、その100億の人の食を支えることは容易ではなく、

同時に、100億人の経済活動に、地球環境は耐えられないかもしれません。

その一方で、急激なテクノロジーの進歩は、私たち人間の「体験」や「価値観」をきっと変えていくでしょう。

 

「私たちはどこから来たのか?私たちは何者か?私たちはどこへ行くのか?」

今、まさに、その「問い」が私たちに投げられています。

 

そうした大きな課題を、「SDGs」という大きすぎる視点ではなく、

一人の人が生きている姿と向き合って、

悩んだり、楽しんだり、不安になったり、幸せを感じたり。

そうした一人一人の瞬間に出会ってほしくて、学生たちをフィールドに連れて行っています。

 

そこから得られた気づきや感動から

「自分も何かできたらいいな」という小さな火が、彼らの一人でも心の中に灯ることを期待して。

 

「世界は本だ。旅をしない人は、それを1ページしか読んでいないに等しい」-アウグスティヌス

 

「目的地というのは決して場所ではなく、物事を新たな視点で見る方法である」– ヘンリーミラー

 

そんな想いを込めて、「旅するように学ぶ」旅するキャンパスを企画しました。

 

最初はよそよそしかった彼らも、どんどん時間と体験と対話を繰り返すことで、打ち解けて仲良くなっていく姿を見て、一安心。

 

学生の引率って、朝から晩まで「何かあったら」と思うので、ずっと気が張っていて滞在中は、「もうやめよう」って何度も思うんですね(笑)

でも、こうして学生が何かを得てくれていたら、「もうちょっと頑張ろうかな」と思う。その繰り返しです。

 

天草を離れる最終日、御所浦の港でお世話になった鶴岡さんご家族と撮影した一枚)。

私は、この一枚、この瞬間をすごく大切に、重く受け止めています。

 

私たちは、天草を訪れて、そこでの時間を過ごして、京都の普段の生活に戻っていきます。

「旅」というのは、旅をする自分達の目線と、迎える人の目線がいつもあります。

 

島を離れる時、船を見送ってくれるこどもたちは、どこか寂しそうな顔をいつも浮かべます。

それは、「パッときて、楽しい瞬間を少し残して、仲良くなりかけた時には自分の街に帰っていく人たち」への複雑な想いもきっとあるはずです。

 

「また来るね」

という言葉は、「待つ人」を期待させる言葉です。

 

その言葉を軽々しく発してはいけません。

 

その出会いやこちらに向けてくれた想いに感謝し、

その人たちの顔を想い、自分達ができることは何かを考えること。

 

そして、アートやデザインを学ぶ私たちは、それを「表現」として、外形的形象として客観化できる力が期待されています。

 

さぁ、天草で得たものに、これからもっと集める情報を「クロス」させて、

今回行った学生たちと熱量を持って取り組んで、

次の春に天草の皆さんを笑顔にする提案を持って、また天草を訪れます!

そして、10日書いた私の「復活」ブログも今日が最後。

家に戻ったので、残り少ない夏休み。

「夏休めない男」も、一人のお父さん。

こどもたちの4歳、6歳、10歳の夏は人生に一度しかないことを思い出して、こどもたちとの時間を大切に過ごそうと思います。

 

お読みいただいてありがとうございました!

 

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