文芸表現学科

京おどり企画に参加して ことばを受けとったひとの声【学生ブログライターによる執筆】

こんにちは、文芸表現学科です!

 

 

学科ブログライター3回生の工藤鈴音です。

 

 

4月上旬に本学の劇場、春秋座で「第73回京おどり」が行われました。

「京おどり」とは京都の五花街のうちのひとつである宮川町の芸舞妓さんが総出演されるおどりのことです。

 

京おどりにともない、様々な企画が行われるなか、文芸表現学科は宮川町の舞妓さん15人にお話を伺い、まとめました。

それらの冊子は、京おどり開催期間に、春秋座の入り口付近にかけられた舞妓さんのバナー前に並べられました。

 

 

今回は、舞妓さんにお話を伺い、冊子にまとめられた4回生の井関こころさん、出射優希さん、下平さゆりさん、3回生の中島明日香さん、山口楓生さんにお時間をいただき、発見したことや気がついたことなどをお聞きしました。

 

 

皆さんにとって、舞妓さんは自分たちとは少し遠い存在でした。しかし、お話をお聞きするなかで舞妓さんのほんとうの姿が少しずつ見えてきて、もともと持っていたイメージは崩れていきました。

 

山口さん:意外とすごく夢のある話をして下さっている印象がありました。「舞妓さんは生き方そのものなんです」という言葉をお聞きして、舞妓さんとしてあるべき姿をしているということが、本人にとって苦しいことではないということが驚きでした。

 

出射さん:高校に進学するというルートが、大きいルートとしてあるので、舞妓さんになることは大きく路線変更することだととらえていたけれど、「自分は舞妓になったことをあまり人と違うことをしているとは思っていなくて、他の子が高校に行くとか、サッカー選手になりたくてサッカーをするとか、そういうことと同じように舞妓になっただけで、特別だとは思っていない」という言葉にはっとさせられて、ものすごい思い込みをしていたなと思いました。

 

 

こうしてお聞きしていてもわかるように、皆さんそれぞれの「舞妓さん像」が頭のなかにあったようです。その「舞妓さん像」は取材をするうえでときには邪魔になることも。

 

そのため、お話を伺うときにも、冊子にまとめるときにも、「舞妓さん像」との距離の取り方を工夫されていたようです。

たとえばどんな工夫をされていたのでしょう?

 

井関さん:舞妓さんを取材するにあたって、本当にフラットな状態で話を聞けるかなという不安があったので、あえて、事前に勉強をし過ぎずにいきました。

 

 

あえて先入見を持たないように工夫したという井関さん。

年下の舞妓さんにお話をお聞きした中島さんは、自身の年齢に自覚的な舞妓さんの言葉に驚いたといいます。

 

中島さん:お話をお聞きしながら、自分が高校生だった頃を思い出していたのですが、舞妓さんは置かれている状況に自覚的で、きちんとビジョンをもって学んでいるんだなと思いました。私は高校生の頃、そんな風に考えられていなかったので、その点は驚きでした。

 

たとえば、舞妓さんはスマホやパソコンを持たされていません。お客さんや家族とのやりとりは便箋でするといいます。そうした生活は、スマホやパソコンに慣れきってしまっている私たちからは、いくらかさみしいようにも思えます。

 

しかし、舞妓さんにとっては決してマイナスなことではなく、そのゆっくりとした時間の流れの豊かさが、舞妓さんの芸の豊かさをつくっているのではないか。そんなことに、皆さんは思い至ったといいます。

 

 

下平さん:生活の不便さはこちらが勝手に思っているだけで、舞妓さんたちはきっとそうは思っていないんじゃないかな。限られたもののなかでも、たくさんの楽しみを見つけられているところがいいなと思いました。

 

山口さん:舞妓さんたちは、気持ちを整理する時間が私たちよりずっと多そうでした。そういう意味でも豊かな生活で、舞妓さんたちの持っている成熟した雰囲気や懐の深さは、自分や他者と直接向き合うことで生まれてくるんでしょうね。

 

お話をまとめる工程のなかでも、舞妓さんのお話ならではの気づきがあったといいます。

特に話にあがったのが、私たちが普段つかうことのない舞妓さん独自のことばについてでした。


出射さん:舞妓ことばは型どおりに当てはまればいいわけではなく、話している人それぞれの口調や流暢さに個性があるんです。文字にするとその個性がより浮き彫りになるんですが、気を抜くとただの関西弁になってしまうので、難しかったです。

 

 

また、皆さんがとても気をつけたことのひとつには、「舞妓さん」でありながらひとりの個人として接する、ということもありました。

 

井関さん:舞妓さんはあくまでも組織に属してこその舞妓さん。その組織から切り離すことはできないけれど、同時にひとりの人でもあるわけです。

とはいえ、同時に複数の方を取材したので、ひとりひとりのお話に引きずられることもあって、どの部分が誰の意見なのかを聞き分けるのが難しかったです。

 

出射さん:迷う部分もあったけれど、取材した文章をまとめながら、舞妓さんの感情を勝手に決めないこと、勝手に共感しないようにしように、ここに書くということが、その人の気持ちを決めつけるようにはしないこと、などには気を配りました。

辛いこともあるんだな、と感じさせられる言葉もいろいろお聞きしましたが、それらをどう扱うのかは悩みました。書くのも違うし、全く書かずに、きれいな世界で終わらせるのも違うし……。

 

下平さん:苦労話じゃないので、それぞれのいきいきしているところが出ている冊子にしたかった。舞妓さんたちがふだん守っているものの、邪魔をしたくはなかったんです。

 

皆さんは取材の後に、「京おどり」を観ました。観ている間、お聞きしたそれぞれの舞妓さんの声が思いだされて、その方のことを思わず目で追ってしまったという方もいました。

 

山口さん:お話を伺った舞妓さんのフィナーレの表情が晴れやかで、キラキラしていて、夢をかなえているんだなと感じました。舞妓さんとしてではなくて、ひとりの人として、彼女のおどりを観ることができました。

 

下平さん:私がお話をお聞きした方は背が高いから、腰を折らなければならないというお話をされていて、その苦労を感じました。

「つらいかもしれないけど、綺麗に見えるのは揃ったときだから」ということを厳しく言われていたとおっしゃっていたので、それを聞いて、舞台を観ながらすごく頑張っているなと思いました。

おどり手の人と近い位置でみられるのが新鮮でした。

こんな経験ができるなんて思っていなかった(笑)

 

井関さん:存在は知っていたけれど、よくわかっていなかった「京おどり」の企画に関わって、それがどういうものなのかを知ることができた喜びがすごく大きかったです。

「京おどりを観て舞妓さんに憧れて」という人がいることは知っていましたが、その気持ちがはっきりとはわかりませんでした。

でも取材を終えて舞台を観て、「京おどりを観て舞妓さんに憧れる」気持ちがよくわかるようになりました。

 

 

 

お話の最後の方で「こんな経験ができると思っていなかった」という下平さんのことばにみなさんが大きくうなずかれていたことがとても印象的でした。

こうしてみなさんと集まり、感じたことをあらためてことばにして話合うことで、それぞれの舞妓さんのことばをより深く感じることができました。

 

 

 

(学生ブログライター/3年生・工藤鈴音 市立太田高等学校出身

 


 

 

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2002年に小説「中国の拷問」で第19回早稲田文学新人賞を受賞。文芸誌を中心に小説・エッセイ・評論・書評を寄稿するかたわら、日刊SPA!、現代ビジネス、cakesなどのウェブメディアでコラムを執筆している。著書に『盗まれた遺書』(河出書房新社)、『ツルツルちゃん』(NMG文庫)、『ときどき女装するシングルパパが娘ふたりを育てながら考える家族、愛、性のことなど』(WAVE出版)がある。

 

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(スタッフ・牧野)

 


 

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