- 2022年12月12日
- 日常風景
【ソーシャルデザイン論】ゲスト講師:片野 晃輔さん
こんにちは。
クロステックデザインコースです!
石川先生の授業「ソーシャルデザイン論」では3週にわたってゲスト講師の方をお迎えしております。
●前回の特別講義の様子●
【ソーシャルデザイン論】ゲスト講師:USHIO CHOCOLATL 中村 真也さん
第2回目は、片野 晃輔さんをゲスト講師としてお迎えし、特別講義をしていただきました。
片野さんは、自身を“ワイルド・サイエンティスト”と呼び、その名のように既存のレールに縛られず、自ら道を切り開いてきた方です。
そんな片野さんのこれまでの取り組みなどを、講義内で紹介していただきました!
新潟出身で、中学時代に母親の乳がんをきっかけに、分からないなと思ったことについて自分で様々な文献を見て調べ、独学で学び進めていきました。
「がんを治そうと研究する人はもちろん多いが、がんを作ることで壊す方法も分かるのではないか」という考えから研究へと発展。徐々に分子生物学に関心を持っていきます。
高校時代には、何も知らない・見たいものをみれないという葛藤から、観察などの直接的にみる・知るということに取り組んでいきます。
「知りたい」という欲求から様々な企業や研究機関へ連絡を取り、個人で研究を進めていったそうです。
高校生で自分の進路を考えた時に、大学進学ではなくMIT Media Lab(マサチューセッツ工科大学のメディアラボ)の研究員へと進路を決めました。
中学→高校→大学→就職という、いわゆる一般的な既存のレールには縛られず、10代の頃から自分の興味がある方へぐんぐんと進みます。
そして高校卒業後、MITに行くまでの間に武者修行のように様々な企業やプロジェクトを手伝っていたそうです。
純粋に筋肉細胞だけを増やして作る食糧「純肉(培養肉)」の開発“Shojinmeat Project”や、山口情報芸術センター(YCAM)にあるバイオテクノロジーを研究するバイオラボにも携わっていた経験があります。
「分子レベルの研究をしてても、すぐに病気が治るわけではない。社会に届いていないと感じることが多かった。」と当時感じていたことについて片野さんは語ります。
さらに生物学というところから、様々な見方を広げていきます。
片野さんはアメリカから帰国後、ソニーコンピューターサイエンス研究所との出会いによって、新たに「拡張生態系」と、その考え方を基盤とした「協生農法」について関わっていきました。
この「拡張生態系」については、雑誌「WIRED」vol.40にも掲載されています。
近年、世界は異常な気候変動や急速な人口増加によって、生態系が回復不可能な場所もあるそうです。
食料生産の仕方を改めて、生態系や環境を破壊せず、人間が生態系に関わっていくことで、植物や生物が本来持っている生きる力を活用・拡張していこうというもの。
人間も言ってしまえば、地球で生きている「生態系」の一部。
農業や経済のような視点からだけ考えるのではなく、生物的なモノの見方をしていくことで、環境と生物との関わり合い方を見つめ直しているのだそうです。
石川先生もこの「拡張生態系」の話はとても興味深かったと言っていました。
個人で活動するだけではなく、様々なプロジェクトにも参加されている片野さん。
これまで取り組んできた生物学の視点から、ランドスケープデザインを行うプロジェクトにも参加されています。
生態学的なモノの見方からランドスケープを提案することも。
セントラルパークなどを例にしながら、都市の中での生態系について、その環境がどういう環境なのか、どのような現象が起こるのか、どういう暮らしができるのかなどお話しいただきました。
2022年4月から日本科学未来館にて開催されている、「セカイは微生物に満ちている」展。
館内の植栽計画や展示の監修なども手掛けられています。
屋内の植栽エリアには、林床に見立てた植物を配置。床には木くずや落ち葉が撒かれている。光が当たらない場所でもあり、植物や微生物のライフサイクルを1年を通して観察できるようにするという試みだそうです。
「植物の全部が全部、生き生きとしなくてもいい。」と言う片野さん。
エリア内に広がる植物や空間を、人間の視点から微生物の視点にまでミクロに見ていけば、人間の目には見えないほどの微生物の「生と死」がその場では繰り広げられている。
元気いっぱいなものもあれば、徐々に枯れて死にゆくものもあり、それがまた生物の新たなサイクルへと還元されていく。
植物は枯らさず生き生きとさせなくては、と誰しもが考えてしまいますが、それは場合によっては人間の視点から見ただけの考えなのかもしれませんね。
訪れるタイミングによっては、植物の様々な変化を見ることができるそうです。
機会があれば、ぜひ日本科学未来館へ訪れてみて下さいね!
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遺伝子や分子レベルの研究からバイオテクノロジー、拡張生態系、ランドスケープなど、
片野さんのこれまでの経緯や取り組みについて、たくさんのお話をしていただきました。
講義を受けている学生たちも、比較的年齢も近い片野さんのお話しから何か刺激を受けていたと思います。
今回、生物学的なことを中心に実に様々な取り組みをご紹介いただきましたが、片野さんのお話からそれぞれ「見方」について語られていることが多く見受けられました。
片野さんは自身が専門とする生物学を中心として、様々な研究機関やプロジェクトに新たな見方を提案されています。見えている側面から判断するのではなく、様々な角度から見ていくことでより鮮明に立体的に物事を明らかにしていく。
自分が見えている世界だけが全てではない、もっと様々な見方がこの世の中にはたくさんあるということを、片野さんのお話から改めて考える時間となりました。
楽しみながらサバイブしている姿に、片野さんのモノの見方がこれからどう変化して、どのように社会へ繋がっていくのか楽しみです。
学生たちもそんなモノの見方を常に探っていけるように、取り組んでいきましょう!
また授業の様子をご紹介します!
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