2022.07.06

DOUBLE ANNUAL 2023 2次選考結果発表

6月25日・26日に実施された2次選考の結果、以下のとおり「DOUBLE ANNUAL 2023」の出展作家およびアシスタント・キュレーターが決定しました。今年も12月のプレヴュー展(ギャルリ・オーブ)、2月~の本展(国立新美術館)に向けて、DOUBLE ANNUALチームが始動します。ぜひ今後の活動にご注目ください。

DOUBLE ANNUAL 2023最終選考結果

作家 11組16名(順不同)

京都芸術大学
Aristotelous Giannis(大学院 グローバル・ゼミ)修士 1年
rajiogoogoo(大学院 美術工芸領域)
ZHAO TONGYANG(大学院 写真・映像コース)修士 1年
井本 駿(美術工芸学科 総合造形コース)3年
服部亜美(美術工芸学科 写真・映像コース)4年
中川桃子(美術工芸学科 写真・映像コース)4年

東北芸術工科大学
添田賢刀(大学院 芸術文化専攻 複合芸術領域)修士1年
鈴木藤成(美術科 日本画コース)4年
高橋侑子(美術科 洋画コース)4年
卍会プラス(美術科 洋画コース(3年)2名、(1年)1名、 版画コース(3年)1名、大学院 芸術工学専攻  芸術文化立体造形領域(博士2年))
tag(美術科 洋画コース(4年)2名)

アシスタント・キュレーター 3名

京都芸術大学
郭禹 锆(大学院 グローバル・ゼミ)修士 2年
奥田知叡(大学院 芸術文化領域)修士 2年

東北芸術工科大学
千田真尋(文化財保存修復学科)

以上

応募者数  99組 129名
京都芸術大学 65組73名(アシスタント・キュレーター8名、作家個人53名、作家グループ4組12名)
東北芸術工科大学 34組56名(アシスタント・キュレーター2名、作家個人26名、作家グループ6組28名)

総評

KUAANNUALの5年間の試みを受けて、京都と山形の2校の共同プロジェクトとなる実験的で未知な新しい展覧会に、たくさんの学生さんが興味を持ち、多数の応募があったことを大変嬉しく思います。みなさんからの提案は多種多様で見応えがあり、書類による一次審査と面談による二次審査はどちらもわくわくする楽しい時間であるとともに、非常に限られた人数に絞らなければならない展覧会の性質上、苦心の時でもありました。

みなさんの作品や活動プランの多くは、各自の日々の実感や気づきなどと強く結びつく、現代的な感性や問題意識を感じさせるものでした。また、京都と山形の生活環境の違いもあって、それぞれの大学の差異が見えてきたのは興味深かったです。京都は、海外も含め色々な地域からやってきた人が混ざりあい、異なる文化や思考との出会いや衝突のなかで、それぞれの得意とする技法や素材、手法を探求していく人が多かったように思います。一方で、山形は、その土地から喚起された作品や提案が多く、絵画や彫刻、あるいは工芸などの伝統的な技術や思考を大切にする実直な態度の人が多数見受けられました。また、グループでの提案も多く、領域や専門を超えた交流や創造が起こる大学の環境がよく伝わってきました。このように異なる傾向をもつふたつの大学のアーティストたちが混ざり合いどのような展覧会が生まれるかを想像するだけで、興奮を覚えます。

選考においては、ポートフォリオの過去作品からは、各人がどのようなことに興味をもちどんな実践を重ねてきたかに注目しました。そして活動プランでは、みなさんがこれまで積み上げてきたものを前提としつつも、今回私たちが提案した3つのキーワード「抗体・アジール・ミラクル」に対してどのように応答したかを重視し、一次選考で30組、二次選考で11組のアーティストを選出しました。

例えば、ポートフォリオや過去作品がどんなに魅力的であっても、「抗体・アジール・ミラクル」に対する応答が読み取りにくかったり、無理やり自身の実践に引っ張り寄せる提案は選出できませんでした。また逆に、3つのキーワードに応答していても、その提案が作家のこれまでの実践とあまりにも結びつきづらい突飛な感じがするものも、選出しませんでした。ですので、基本的にはこれまでの各人の実践を踏まえて、今回のテーマに対していかに具体的な応答をしてくれたかを重視して、最終的に11組の作家を選出しました。

まだ作品が出来ていない段階で応募する、今回のようなタイプのコンペティションでは、どれくらい深く、また柔軟に考えをめぐらせることができるかが鍵になってきます。そして、そのような思考の体力は、結局、毎日、作家としてどのようにものを捉え、考え、作りながら過ごしているかによって培われるものだと思います。今回選抜に漏れた方々のプランの中にも、非凡な才能の片鱗を感じさせるものがありました。ぜひ次の機会や、また別のチャレンジの中でその良さを生かせるように、日々いろいろなことを感じ、考え、作り続けていってほしいです。

そして、アシスタント・キュレーターについては、DOUBLE ANNUALにおいてキュレーターチームの一員としてどんな活動をしたいか、何を学びたいかについてのある程度具体的な目標が伝わってきた3名を選出しました。特に、語学能力や広報戦略など、チームに対して貢献できるポイントをアピールした方々が強かったことを申し添えておきます。

これから展覧会に向けて本格的に動き出していきます。貸し会場となる美術館は制約がとても多く、現代の新しい表現にとって適した会場とは決して言えません。しかし、柔軟に複数の路を見出していくことで、困難な状況に屈するのではなく、それを逆手にとりユーモアや笑いを忘れずに応答することで、よい作品群と展覧会を実現していきましょう。よろしくお願いします。

 

DOUBLE ANNUAL 2023 ディレクター
金澤韻+服部浩之