2023.03.22

【ICA京都 展覧会のお知らせ】特別研究員 川松康徳氏 成果展のご案内(未来館F201)

大学院附置機関 ICA京都 特別研究員 川松康徳氏の成果展を、未来館F201 にて開催いたします!

この企画は、ICA京都の特別研究員として在籍し、京都でリサーチ活動を行う川松康徳によって企画・構成されたもので、Arts Aid KYOTOの助成を受け実施されるリサーチ・作品制作の成果報告となる展覧会です。

川松氏は近年アイデンティティに葛藤を抱える人々との協働をベースとした作品を手掛け、主に海外での滞在制作において、移民あるいはマイノリティと言われる人々へのインタビューを通じて、語られた記憶で展開されるイメージや記号、ジェスチャーやメタファーを追跡し、新しい物語を描いていきます。
それは記憶によるアイデンティティの分有可能性を模索するとともに「他者の中に開かれる自己」を目指すものです。

2022年からは、そのポスト・ドキュメンタリー的方法と並行して、シミュレーテッド・ドキュメンタリーと自ら称する方法を実践しています。
そこでは少し歪な架空の世界を設定し、その中で起こる様々な事象を、研究者や専門家と対話を行いながら、主人公の意識の流れを記述する物語と、そこで登場する事物と物語のテキストによるインスタレーションが展開されます。

今回の「36/サブロー」では、多様性が維持される社会を想定しながら、多様であるために生み出される新しい制度としての食育、そしてその素材となるプロテイン:大豆の植生をモチーフに、食育によって作られた多様な身体に紐づけられたアイデンティティは、身体が一種の制度となって規定され、存在が誘導されていく物語が展開されます。
そこでマイノリティとなった36(サブロー)が、どのように制度から逃走し、主体的な身体を取り戻そうとするのかが描かれます。

ICA京都に在籍しながら行ったリサーチ「ラプラスのゾンビ/見えないものを見えないまま語るための知の体系」は、見えていることがそのままその客観性へと変換されない人たち/アイデンティファイされない人たちとして、性的異和、性差を抱えるトランスシェンダーへのインタビューとを通じて、そこで展開されるアイデンティティと記憶、意識と体、領域と区分が生まれる振る舞いをアート・プロジェクト化することを目指すものです。
リサーチの中で、トランスジェンダー当事者の書籍並びに本人への聞き取りをもとに、「36(サブロー)」の物語が構想されました。

「もし、感覚=記憶を与えることができたら、私たちは幸せになれるのだろうか?」

36(サブロー)の物語を、ぜひ展覧会場にてご体感ください!

ICA京都 特別研究員 川松康徳氏 成果展
「36/サブロー」

会期:2023年3月22日(水)~28日(火)13:00~18:00
入場:無料 ※会期中無休
会場:京都芸術大学 未来館 F201

企画:川松康徳
助成:Arts Aid KYOTO
協力:ICA京都、studio CANDIY、吉野靫、市橋泰範、河岸ホテル