2011.11.08
【学長通信】2011年 vol.1
千住博学長より在学生のみなさん宛にメッセージが届きました。今後、「学長通信」として、随時お届けします。
1;女川の仮設住宅プロジェクトについて
8月11日付でみなさん宛の緊急メッセージとして、女川町の仮設住宅ボランティアをよびかけましたが、この声におよそ30名もの在学生・卒業生・職員のみなさんが応じてくれて、8月下旬から10月中旬までの期間中、それぞれ一生懸命力を注いでくれました。その支援が実り、いよいよ今週の11月12日に同仮設住宅プロジェクトが無事オープニングを迎えます。
このボランティアに参加してくれた学生のみなさんに感想をたずねると、口々に行って良かったと、その体験の意味の重大さを聞かせてくれました。横倒しになったビルを見て、人生観が変わったという人もいました。体験は一生生き続けると思います。
今後この活動は、みなさんの作品寄贈や地元の人々と共に手を携えながらの活動に発展させていくことになるかと思います。どうか、これきりとせず、今後も地元の人のために手を差し伸べてくれることと、私は諸君のあたたかい心を信じて待っています。
2;デッサンの重要性
クリエイターにとって、デッサン力は生命線です。どこまで客体を認識出来たか、どこまで自分の想像上のイメージを他者に伝えられるか、どこまで形のないイメージを形に出来るか、どこまで正確に描き分けられるか。これは本学で学ぶ全ての諸君に何よりも大切な能力で、訓練によって必ず向上します。
近年、この能力が落ちているとの多くの指摘があり、デッサンの本格的トレーニングの場を計画したいと思っています。注目していて下さい。そしてデッサン力向上のため、ぜひ努力を重ねてくれることを期待しています。
3;ショートニングについて
ショートニングの危険性が、日本以外の多くの国で指摘されています。これは食べるプラスチックで、フライドポテト等をファーストフードの店先でカラッと揚げている液体です。小さな三角形の容器に入った、コーヒーに入れる、いわゆるコーヒーフレッシュもこの塊で、全く乳製品ではない人工物です。要するにプラスチックで食べ物をコーティングしているので、1ヶ月くらい腐りません。
ファーストフードの有名ブランドのハンバーグがずっと腐らないという、ショートニングの危険性を訴えたショッキングなドキュメンタリーがアメリカで放映され、大きな問題になりました。最近になり、アメリカでは徐々に使わない方向で自主的な取り組みが始まっていますが、何故か日本は成分表示の義務すらありません。これが体内に大量に入ると、心臓病を誘発させ、様々な内臓に甚大な障害を起こさせ、脳の活動に必要な酵素を破壊し、うつ病の原因になるとの医学的な指摘があります。(「こころの免疫学」藤田紘一郎著、新潮選書)
ショートニングは原発と同じで、今迄地球上になかった物です。諸君はこんな物を美味しいと思ってはいけません。原発による過剰な消費は真の豊かさとは違う、という事と同じです。美味しさ、豊かさは、生きる喜びの感性、と常に講義でお話ししている事を、是非生活のあらゆる局面で思い出していただければと思います。