障がいがあり、授業でサポートを受けたい
※「障がい」の表記について
本学では「障がい」という表記を使用します。但し、医療用語・法律用語は名称通りに記載します。
■京都芸術大学における障がい学生支援に関する基本方針
京都芸術大学は、本学に在籍する障がいのある学生と障がいのない学生とが、分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら自立に向けた有意義な学生生活を送ることができるよう支援を行います。
本学の障がい学生支援では、支援に携わるすべての教職員が、支援活動を通じて障がいについての理解を深めるとともに、芸術文化に携わる者としてより豊かな人間性、価値観を養う機会となることを目指していきます。
■支援体制 -UDL推進室の役割-
本学では、2018年度より「障がい学生支援室」を設置し、2024年度には名称を「UDL推進室」に改めて障がい学生支援を行っています。
障がいのある学生が適切な支援を受けられるように、教職員の対応を向上させていくこと、また、支援する教職員をサポートすることを目指し、UDL推進室は以下の役割を担います。
- 合理的配慮(支援内容)の協議
- 教職員を対象とする研修及び事例検討会の企画運営
- 障がい学生支援のガイドライン作成・更新、周知活動
- 障がい学生の実態調査及び対応事例のまとめ・報告
合理的配慮は、学生と大学(学生の所属学科及びUDL推進室)が、十分な合意形成・共通理解を図ったうえで決定し大学から提供します。
■障がいのある学生への支援の基本的な考え方
差別的取扱いの禁止、合理的配慮の不提供の禁止義務
障害者差別解消法の合理的配慮規定(平成28年4月施行)および改正障害者差別解消法(令和3年6月公布)により、国公立・私立を問わず全ての大学等において、不当な差別的取扱いの禁止および合理的配慮の不提供の禁止が法的義務化されました。
“合理的配慮”とは、障害者の権利に関する条約によると、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権および基本的自由を享有し、または行使することを確保するための必要かつ適当な変更および調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ均衡を失したまたは過度な負担を課さないものをいう。」と定義されています。
支援の対象
「障がいのある学生」とは、本学に在籍する学生のうち、身体障がい、精神障がい(発達障がい)、その他心身の機能に障がいがあり、障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある学生をいいます。
そのうち、「合理的配慮(支援)を提供する対象」は、本学在籍の障がいのある学生のうち、原則として以下の①~②を満たす者とします。
- 障害者手帳や医師の診断書等の根拠資料がある者
- 本人(保護者含む)が支援を受けることを希望し、かつ、本学がその必要性を認めた者
本学に入学を希望する者については、入学試験に係る範囲において個別ニーズに基づき、支援を検討します。
■障がいの種類について どのようなことで困っているか?
視覚障がい
視力の機能が十分でないため「見えない」または「見えにくい」状態であり、視力の程度によって「盲」「弱視」に大きく分けられます。また、視野や明暗順応、色の見え方等も人によって様々です。
困難なこと<例えば>
- 板書やスライド、ビデオ等の教材を読み取るのが難しい。
- 地図や案内表示を読み取るのが難しい。
- 指示語の理解や非言語的コミュニケーションが難しい。
- 教室内の空いている席や他の学生の様子が分かりづらい。
聴覚障がい
「聞こえない」または「聞こえにくい」状態のことをいいます。聴力損失の程度により「聾」「難聴」に分けられます。音が小さく聞こえたり、様々な音を聞き分けることが困難であったりと、聞こえ方や聞こえにくさには個人差があります。
困難なこと<例えば>
- 口頭による連絡やアナウンスが分からない。
- 講義や語学科目、グループディスカッションについていけない。
- 友達の会話に入っていけない。
- 聞こえにくさが一見して分かりにくい。
言語障がい
発声や発語など、ことばに関して困難さのある状態をいいます。発音の明瞭さや話し方の流暢性、言語の理解や表現等に困難を感じます。聴覚障がいによるものや、知的障がいや発達障がい等と並存することもあります。
困難なこと<例えば>
- 話しことばによる他者とのコミュニケーションが円滑に進まない。
- ゼミ形式の授業やディスカッションの際に引け目を感じる。
- プレゼンテーションや人前で意見を述べる際に苦痛を感じる。
肢体不自由
四肢(手と腕・足と脚)や体幹(胴体)が病気や怪我で損なわれ、身体の運動や動作に不自由や困難が生じている状態をいいます。障がいの部位や程度によって困難を感じる状況は異なります。
困難なこと<例えば>
- 機器の操作やドアの開閉等が困難。
- 座席移動や教室移動の際に時間がかかる。
- 交通機関や施設利用の際に制限を受ける。
病弱・虚弱
慢性的な疾患および身体虚弱の状態が継続して医療又は生活規制を必要とする状態をいいます。
病弱とは、慢性疾患等のため継続して医療や生活規制を必要とする状態、身体虚弱とは、病気にかかりやすいため継続して生活規制を必要とする状態をいいます。
内臓の機能障害や神経疾患、アトピー性皮膚炎や食物アレルギー等が該当します。発作や体調不良により、活動の制限が必要であったり、外見からは健康な学生と区別がつかない場合も多いため、周囲から理解されにくいといった困難さがあります。
困難なこと<例えば>
- 体調不良や発作による不安。
- 実技等での活動制限。
- 周囲の理解不足による心理的孤立。
発達障がい
中枢神経系の障がいがあり、認知・コミュニケーション・社会性・学習・注意力等の能力に偏りや問題を生じて、生活に困難をきたす状態をいいます。「限局性学習症(SLD)」「注意欠陥・多動症(ADHD)」「自閉スペクトラム症(ASD)」に大別されます。複数の特性を併せ持つ人、運動面の不器用さや感覚過敏が見られる人もいます。物事の捉え方や行動の仕方が大多数の人とは違っているため、対人関係や学業・生活上の問題が生じることがあります。また、本人の自覚が難しいこともあるため、周囲の気づきや支援が求められます。
困難なこと<例えば>
- 他人の感情を理解すること、双方向のコミュニケーションが困難。
- 遅刻や不注意によるミス、忘れ物や提出物の遅れが多い。
- スケジュール管理が難しい。複数の課題をこなせない。
- 衝動的な問題行動や周囲とのトラブルを起こしやすい。
- 得意なことと不得意なことの差が大きいため、努力不足等と捉えられやすい。
- 障がいについて自覚しづらい。必要な支援を説明できない。
精神障がい
「統合失調症」「気分障害」「不安障害」「睡眠障害等の疾患により、継続して医療や生活への制限が必要となるものをいいます。疾患の症状や服薬の影響により、学業や生活上の困難を生じることがあります。発達障がい等と重複して症状が出ている場合もあります。
困難なこと<例えば>
- 症状の変動や服薬の影響により、生活に制限を受けやすい。
- 苦手な状況や精神的負荷により症状が悪化しやすい。
- 見た目で障がいと分かりづらく、怠けている等と誤解されやすい。
- 病感や病識が十分になく、自己判断で治療を中断してしまうことがある。
■どのような支援が必要か? 具体的支援について
不当な差別的取り扱いとは?
障がいのある人に対して、正当な理由なく、障がいがあることを理由に権利や利益を侵害することをいいます。
不当な差別的取り扱いにあたり得ること
・障がいを理由に、
- 受験や入学を拒否する。
- 入学試験の合否判定にあたり正当な評価を行わない。
- 授業等の受講を拒否する。
- 研究指導を拒否する。
- 実習・研修・フィールドワーク等への参加を拒否する。
- 窓口対応を拒否あるいは順序を後回しにする。
- 授業等の受講を免除する。
- 単位の認定基準を満たしていないにもかかわらず単位を認める。
・合理的配慮を受けたことを理由に、試験等において評価に差をつける。
支援の具体例
物理的環境への配慮の具体例
- 移動に困難のある学生が参加する授業で、使用する教室をアクセスしやすい場所に変更する。
- 見えにくい・聞こえにくい等の学生が参加する授業で、教室内で学生が講義中の情報を得やすい席を確保する。
- 体調不良や発作等により授業中頻回に離席する必要がある学生について、座席位置を出入り口の近くに確保する。
- 感覚過敏やパニック発作がある学生のために、学生が落ち着ける刺激の少ない場所を用意する。
意思疎通の配慮の具体例
- シラバスや教材等にアクセスできるよう、学生の希望に応じて電子ファイルや資料等を提供する。
- 言葉の聞き取りや理解・発声等に困難を示す学生のために、筆談・要約筆記・読み上げ等の多様なコミュニケーション手段を使って説明をする。
- 文字情報のみでは伝わりにくい場合に、手順を箇条書きにしたり図表等を使って具体的に伝える。
- 比喩や間接的な表現が伝わりにくい場合、より直接的な表現を使って説明する。
- ディスカッションに参加しにくい学生のために、視覚情報を活用する等、発言内容を参加メンバーで共有できるような工夫をし、意思表明しやすい環境を整える。
- 入学試験や学期末試験、授業に関する注意事項や指示を、口頭で伝えるとともに紙に書いて伝達する。
ルール・慣行の柔軟な変更の具体例
- 大学行事や講演・研修等において、個々の障がい特性に応じて適宜休憩を取ることを認めたり、休憩時間を延長したりする。
- ノートをとることが難しい学生に、板書の写真撮影・パソコンによる筆記・ICレコーダー等による録音を認める。
- 感覚過敏がある学生に、サングラスや耳栓等の着用を認める。
- 障がい特性により授業中に離席する必要がある学生からの申し出に対し、授業の一時退室を認める。
- 筆記による事務手続き等が困難な場合に、介助者の代筆による手続きを認める。
- 入学試験や学期末試験において、個々の障がい特性に応じて、試験時間の延長や別室受験・支援機器の使用を認める。
- 障がい特性に応じて、学期末試験や口頭試問等での解答手段を変更する。
本人の困っている内容・困難な状況を生んだ要素と経緯を聞き、解決のためにどのような方法・手段があるのか、支援の内容が合理性・妥当性に適っているかどうか等を考えます。
障がいにより修学上の困難や不自由がある場合、障がいのある学生本人からの申し出により、大学と本人(場合によっては保護者も含む)の双方の建設的対話による相互理解を図ったうえで、支援内容を決定します。決定した支援に関して、所属学科・研究科等は関連部署と連携しながら、必要かつ合理的な範囲ですすめていきます。
■修学支援の流れ(プロセス)
障がいにより修学上の困難や不自由がある 場合、障がいのある学生本人からの申し出により、大学と本人(場合によっては保護者も含む)の双方の建設的対話による相互理解を図ったうえで、 支援内容を決定します。
授業における支援は、その授業の教育内容の本質を変えることなく、何らかの工夫や支援をすることによって、障害のある学生が他の学生たちと同じスタートラインに立つために行います。評価を甘くするということや、単純に課題等を免除する、出席を免除するということではありません。例えば、ある課題が障害により実行困難であれば、その方法を変えたり、その課題と同等の課題に取り組んだりするということです。支援の内容が妥当かどうかの判断の基準として、合格基準・単位認定・成績評価基準・卒業要件等の教育の目的・内容・評価の本質を変えないという原則があります。
また、合理的配慮は、学生本人と大学の双方が合意形成を行った上で実施するものとなるため、基本的には申請以降に実施される配慮が対象となる前方向的な制度であり、過去に遡っての配慮は対象外となります。
以下の流れや資料をご覧いただき、配慮をご希望の場合はご相談ください。
- 相談・申請の流れ
-
-
学生学生は、グーグルフォームから問い合わせ(連絡)する。
https://forms.gle/pD2duV2xMKaq3RRW6 -
学生支援センター RAPPORT(UDL推進室)担当者より当該学生に連絡し、面談する。
この時に学生の困り事や状況を整理し、適宜振り分け(障がい支援申請OR学生相談ORその他等)を行う。 -
障がい支援申請の場合は、『修学に関する支援申請書』(在学生専用サイトからダウンロード可)及び添付が必要な根拠資料について説明する。
-
申請書類が提出された後、学生・所属学科の教職員・障がい学生支援室、その他関係者で必要な支援について話し合う。
-
決定した支援の内容・方法について記載した「支援配慮依頼文書」を障がい学生支援室が作成し、本人が希望する授業担当教員に支援配慮依頼を行う。
-
障がい学生支援の適切な運用、安定した支援提供の確認のため、学期末毎の状況、今後の支援についての希望を本人との面談により確認する。
-
《注意1》支援の申請には、障害者手帳・医師の診断書・専門家の所見などの根拠となる資料の提出が必要です。
《注意2》申請書提出後に〈面談〉→〈支援内容・方法の検討〉→〈支援内容を決定〉した後、授業担当教員に支援配慮依頼を行いますので、実際の支援開始までに1か月程度かかる場合もあります。支援を検討されている方は、お早目に相談してください。
《注意3》支援継続を希望する場合は、履修登録の1か月前程度より翌学期の支援について検討を開始することを推奨します。また、履修登録の検討などの準備を早めにすることをおすすめします。配慮内容に変更が必要な場合があるため、支援申請は学期毎に必要です。
UDL推進室・相談窓口連絡先
障がい学生支援に関するご質問・ご相談等がありましたらお問合せください。
学生支援センター RAPPORT 人間館NA棟B1F
TEL:075-791-9343 FAX:075-791-9198
URL:https://www.kyoto-art.ac.jp/info/institution/rapport/
アドレス: