2021年12月2日
アクティビティ
12月1日(水)18:30より、文哲研オンラインセミナー「芸術研究の世界#7」をzoomにて開催いたしました。
芸術研究の世界#7
「〈美術建築〉研究への道程と展望」
講演者:河上眞理(京都芸術大学芸術学部教授)
日 時:2021年12月1日(水)18:30-20:00
参加者:57名(京都芸術大学教職員・学生)
*講演概要ほか詳細:http://www.kyoto-art.ac.jp/iphv/topics/4879/
【参加者感想(一部抜粋)】
*建築、美術、西洋との融合など興味しかない分野を研究されている方のお話を聞くことができ、大変貴重な機会でした。知らないことばかり沢山のことを聞けて自分の視野だけでなく、考え方や資料の探し方、人物についての知見も広がりました。
*辰野金吾のすごさを改めて知りました。〈美術建築〉の〈 〉の意味もわかりました。ありがとうございました。あと、ラグーザ氏によって、パレルモに連れていかれたたまさんのことも気になりました。
*建築家は絵がうまくないと、というのはかなり説得力があると思いますが、その中でも、バージェス先生が「人物画を学べ」と言ったのは、ウィトルウィウスが『建築十書』で述べているシュムメトリアに通ずるような考え方のようにも感じました。
*辰野金吾の建築は以前から興味があり、大阪市中央公会堂にはよく行きました。以前住んでいて大好きなイギリスに辰野金吾のルーツがあったとお伺いしたので、イギリスが保管するウィリアム・バージェスについての資料を調べてみたいと思いました。
*インテリアの仕事をしていることもあり、「美術建築」・・・建築+美術は重要、全てを合わせてアート、とのお話は大変興味深く聞かせていただきました。また自分の足を使って本物を見に行く・宝探しをする、司書の方に相談、キーワードはいろんな方向から、バラバラに見えてもその人の中では繋がっている、等、今後何かを調べたり、レポートを書く上でのヒントを沢山頂き、ありがとうございました。
*辰野金吾氏のお話大変興味深く拝聴させていただきました。今まで明治時代の日本美術界の話にほとんど触れたことがなかったため、河上先生から入り口の前に立てたことは本当に良い経験となりました。これが難しい話に思えたり、今とはかけ離れた話ばかりだと食わず嫌いになっていたかもしれません。西洋美術を身につけようとした最初の時代は想像以上にオープンな議論が展開されていたようですね。今の時代は、わかり切ったことをいうと相手にされないような雰囲気があり、そういったところが美術の壁を高くしているように思えます。誰もが通る道をしっかり見つめ、同じように感じる、そういうところ、初心的なところを明治から学べるような気がしました。
ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました。
対面での開催が難しい情勢ではありますが、今後もzoom等を活用しながらセミナーや研究会などを開催する予定です。一般公開セミナー開催の際はこのホームページにてお知らせいたしますので、ぜひ楽しみにお待ちください。
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【文哲研オンラインセミナー「芸術研究の世界」】
このセミナーの講師は、文部科学省科学研究費(通称:科研費)の研究代表者である、11名の本学教員です。科研費は、人文・社会科学から自然科学まで、あらゆる分野の優れた研究を発展させることを目的として国から支給される研究費で、厳正な審査を経て採択され、数年間、申請した研究計画に沿って研究に取り組み、その成果を公表します。オンラインセミナー「芸術研究の世界」では、本学の教員が現在取り組んでいる芸術研究について、その研究を発想した経緯や研究の面白さ、難しさなども含めて存分に語っていただきます。セミナーでの質疑を通して、参加者の皆さんとともに、芸術研究の奥行きと拡がりに触れる機会となることを願っています。
【今後の予定】 (タイトルは科研の採択課題です。講演内容は追ってご連絡します)
1月12日 町田香 『四親王家実録』を中心とした近世四親王家の生活環境に関する復元的研究
1月19日 齋藤亜矢 描画のプロセスにおける想像と創造の関わりの検証
2月2日 増渕麻里耶 希土類元素に着目した古代鉄製品の非破壊製作地推定法の開発
3月2日 森田都紀 日本の芸能「能」の演奏技法の伝承過程に関する歴史的研究‐能管を中心に‐
※日程は講師の都合等で変更の可能性があります
2021年11月24日
アクティビティ
11月8日(月)15日(月)22日(月)の3日間、学内教職員・学生対象のオンラインセミナー文哲研3days#3「美学ー自然と文明を往来する思考」をzoomにて開催いたしました。
文哲研3days#3「美学ー自然と文明を往来する思考」
講演者:吉岡洋(京都大学こころの未来研究センター特定教授・文明哲学研究所客員教授)
講演日時・参加者:
①2021年11月8日(月) 18:30-20:00 「山と森、ひるねするたぬき」 (参加者51名)
②2021年11月15日(月) 18:30-20:00 「性愛の力、春画からボノボまで」 (参加者51名)
③2021年11月22日(月) 18:30-20:00 「ファルマコン、両義性の思考」 (参加者49名)
*講演概要ほか詳細:http://www.kyoto-art.ac.jp/iphv/topics/4843/
【質問と回答】(時間内にとりあげることのできなかった質問に 回答していただきました)
*境界を往還する際の危険とその事故例がありましたが、境界線上に取り残されてしまうという危険性を思いつきました。
→面白いですね、
【参加者感想(一部抜粋)】
*『境界線を行き来するということは、どちら側からも常に危険に晒されている。そういう危険をかわすテクニックを持ち合わせる必要がある』というお話も興味深かったです。トリックスター・道化のような立ち振る舞いもその一つになるのかなと思いました。
*「怪しさ」を許すという言葉が印象に残りました。私も、境界を行き来するたぬきのような柔軟さを持ちたいと思いました。
*すっかり吉岡先生のファンになってしまいました。「美学」は難しいという頭で、今日の講義について行けるか心配でしたが、先生の語り口や資料の提示のされ方が分かりやすくて夢中になりました。境界線を引いてそこを行き来する面白さと危険!魅惑的です。
*春画の性行為場面の横に、無邪気に子供が存在していることを初めてしりました。 子どももいずれ、大人になり、性行為をする立場になり、死を迎えるという意味では、大人と子供の間に本来的には境界がないことを示唆しているように感じました。 一方、現代の西洋社会では性的表現や暴力表現を子供に晒さないことは本当に徹底していて、成人と子どもの間の境界を感じます。このような西洋社会においては、何を以て、子どもはその境界を越え、大人になるのだろうか、と疑問に思いました。
*性愛についての話題は、人の根源的なものであるはずなのに、世界的に(いわゆる「先進国」的な世界ですが)タブー視がきつくなっていくような風潮を感じます。締め付けることで逆に歪んだ方向にいくのではと、現実的にニュースなど見ているとそう思います。なので、ぜひこのような話題をフラットに、発信していってほしいです。そうすることで、逆説的に差別とはなにか、人を思いやる・価値観を認めるとはどういうことか、ということを健康的に考えることができるのではないかと感じます。
*パブリックには聞くことのない講義内容でしたが、文化や生活の現場を真に理解するためには、むしろオープンになって行く必要があると感じました。
*江戸時代の春画の受容のおおらかさを知り、江戸時代には銭湯が混浴であったという話を思い出しました。当時の人々の境界線の薄さのようなものを感じました。
*春画は笑えると思っていたので、江戸の人々が春画を見て笑っていたと聞いて合点が行きました。
*今の芸術作品の数のお話を聞いて、美しいものや便利なものも、増えすぎて普通になると逆に毒になる(言い過ぎかもですが)場合があるのかなとも思いました。
*思考を鍛えること、余裕をもつこと、とても大切だと思いました。
*システムの中に、反システム的なものを内包するほど安定するという考え方、非常に興味深い考え方でした。
*「毒」のつく言葉は色々ありますが、『毒娘』と聞き、誰でも昔は娘であったことから、広い範囲を含有している言葉であることに気づきました。ファルマコンは、二元論の解毒作用として機能すること、また、わからないことを持ち続けること、両義性は昔の方がよくはたらいていたことなど、今の社会を読み解く視点を持つことができました。
*吉岡先生のセミナーを三回も受けられ、大変幸せな時間を過ごすことができました。ありがとうございました。また、他にも先生のお話を美学と生死をどう結びつけてお考えになられているのか、様々な事例を通して、ずっとお聞きしてみたい気持ちになりました。
ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました。
対面での開催が難しい情勢ではありますが、今後もzoom等を活用しながらセミナーや研究会などを開催する予定です。一般公開セミナー開催の際はこのホームページにてお知らせいたしますので、ぜひ楽しみにお待ちください。
2021年11月22日
出版・メディア情報
2021年11月22日
出版・メディア情報
2021年11月17日付 京都新聞夕刊『現代のことば』に、齋藤亜矢のコラムが掲載されました。隔月連載の第15回目、タイトルは「わたしたちの輪郭」です。
*ネットでもお読みいただけるようになりました(有料会員のみ)
2021年11月12日
アクティビティ
日程終了しました
12月1日(水)18:30より、文哲研オンラインセミナー「芸術研究の世界#7〈美術建築〉研究への道程と展望」を開催します。
このセミナーは、一か月に一、二回の頻度で、実施します。
セミナーの講師は、文部科学省科学研究費(通称:科研費)の研究代表者である、11名の本学教員です。
科研費は、人文・社会科学から自然科学まで、あらゆる分野の優れた研究を発展させることを目的として国から支給される研究費で、厳正な審査を経て採択され、数年間、申請した研究計画に沿って研究に取り組み、その成果を公表します。
オンラインセミナー「芸術研究の世界」では、本学の教員が現在取り組んでいる芸術研究について、その研究を発想した経緯や研究の面白さ、難しさなども含めて存分に語っていただきます。セミナーでの質疑を通して、参加者の皆さんとともに、芸術研究の奥行きと拡がりに触れる機会となることを願っています。
芸術研究の世界#7
「〈美術建築〉研究への道程と展望」
講演者:河上眞理(京都芸術大学芸術学部教授)
日 時:2021年12月1日(水)18:30-20:00
対 象:京都芸術大学教職員、学生
【講演概要】
本科研費の研究は日本の近代美術史及び近代建築史研究においてほとんど重視されてこなかった「家屋装飾」という分野を、美術と建築を横断する〈美術建築〉の観点から分析し、その歴史的位置付けを明らかにしようとするものです。家屋装飾についての既往研究では、美術か建築のいずれかの観点からしか論じられてきませんでした。本研究では、〈美術建築〉という観点から、美術と建築を繋ぐものとして家屋装飾を論じ、明治期におけるその歴史的位置付けを世界史的視野から再考しようとするものです。
今回の講演では、〈美術建築〉とは何か、〈美術建築〉研究への道程と今後の展望をお話ししたいと思います。
【講師略歴】
河上眞理(かわかみ・まり)
早稲田大学大学院博士課程在学中の1995年度イタリア政府奨学金留学生としてヴェネツィア・カ・フォスカリ大学文学部美術史学科に留学、翌年同博士課程に入学、2001年工部美術学校研究により同大学から博士号(Ph. D)を取得。留学中、在イタリア日本国大使館外務省専門調査員の職を得て日伊交流事業に従事。2007年、京都造形芸術大学芸術学部准教授。2018年より教授。
単書に『工部美術学校の研究―イタリア王国の美術外交と日本―』、共著に『松岡壽研究』、共著『ミネルヴァ日本評伝選 辰野金吾 美術は建築に応用されざるべからず』は2017年日本建築学会著作賞を受賞。
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【今後の予定】 (タイトルは科研の採択課題です。講演内容は追ってご連絡します)
1月12日 町田香 『四親王家実録』を中心とした近世四親王家の生活環境に関する復元的研究
1月19日 齋藤亜矢 描画のプロセスにおける想像と創造の関わりの検証
2月2日 増渕麻里耶 希土類元素に着目した古代鉄製品の非破壊製作地推定法の開発
3月2日 森田都紀 日本の芸能「能」の演奏技法の伝承過程に関する歴史的研究‐能管を中心に‐
※日程は講師の都合等で変更の可能性があります
日程 | 2021年12月1日 |
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時間 | 18:30 - 20:00 |
費用 | 無料 |
対象 | 京都芸術大学教職員、学生 |
申込方法 | 学内掲示板・学生専用サイト(通学・通信)をご確認ください |
主催 | 文明哲学研究所 |