2021年10月7日
アクティビティ
10月6日(水)18:30より、文哲研オンラインセミナー「芸術研究の世界#5」をzoomにて開催いたしました。
芸術研究の世界#5
「謎のマンガ家-戦中の人気挿絵家・北宏二と韓国マンガの父・金龍煥-」
講演者:牛田あや美(文明哲学研究所 准教授)
日 時:2021年10月6日(水)18:30-20:00
参加者:60名(京都芸術大学教職員・学生)
*講演概要ほか詳細:http://www.kyoto-art.ac.jp/iphv/topics/4754/
【参加者感想(一部抜粋)】
*資料探索の作業の大変さを感じましたが、発見の楽しさということを、先生の発表から感じ取れました。表現されたものから、その人の人間性の側面をうかがい知るということは簡単ではないでしょうが、確かに興味深いことだと感じました。漫画を描くということは、物語を考えるという思考もあった方だと思うので、構成小説を書かれたというところも気になったところです。
*北宏二さんの並外れた画業に圧倒されました。また、この情報量を収集された牛田先生の情熱も素晴らしく、興味津々で受講することができました。前のめりになって研究された先生の姿勢にも学ばさせていただきました。
*先生の大熱量、ビシビシ伝わって参りました。また先生の貴重な調査報告資料まで開示いただき、ありがとうございました。先生方のお話を伺うと、勇気と元気が湧いてきます。
*時代背景から考えると、絶妙なタイミングで行ったり来たりされているので、諜報力が優れた方であり、他者から助けていただく事も多かったのではないでしょうか。軍事物も含め、いろんなジャンルの作業をされているので、自然と情報が得られたかもしれません。牛田先生の収集力と同等の力があった事は間違いないですね。
*丁寧なお話しとともに多数の貴重な資料も見せていただいて、無料で見てしまっていいのだろうかと心配になるほどでした。なにより、楽しそうにお話しされる姿が印象的でした。本日は有難うございました。
*謎の漫画家・北宏二ということで、まったく存じ上げず実像がボンヤリとしていましたが、先生の研究を聴いていく内にとても興味深いものを感じました。しかしそれ以上に背景が凄まじさにも驚きました。それでもお弟子さんの「ずっと描いている人だった」の逸話から、きっと様々な国家間のやりとりがありながらも、描くことで癒されてもいたのではないかと想像したり、もっと知られても良いのではとも感じました。
*昭和一ケタ生まれの父が、子どもの頃「少年倶楽部」という雑誌が楽しみだったと話していましたが、北宏二さんの絵に心躍らされたのかもしれません。それにしても精力的なお仕事ぶりで驚きました。これだけの仕事を依頼されるということは、画家としての技量は勿論、その人柄や仕事への真摯な姿勢をお持ちだったのかな、と想像しました。北さんのご年齢から考えると徴兵される可能性もあったのか?と思いますが、どうされたのでしょうか?戦時下、国をまたぎながら画家であり続けられた北さんの信条や背景にも興味を持ちましたし、牛田先生の研究へのアプローチなども具体的に伺うことができて、とても充実した講義でした。
*北宏二さんは、日本のことや韓国のことをどう思っていたのか、気になりました。色々なところに描いていることや、さまざまなタッチを使用していることから、本当に一人の人なのかと不思議に思いました。
*牛田先生の研究に注ぐ情熱が、周りをその気にさせ、結果として多くの資料や情報が先生のもとに集まるんだなと感じました。僕も卒業研究で、どうやって情報に触れたり足を運んだりして集めようか考え、悩んだりしながら、自分の身体的なことを言い訳にハードルが高いと思い込んでいました。けれど、先生の話や北宏二の生き様を見ていると本当に好奇心を持って何かを実現したいという情熱が先にないと前には進まないということを強く教わった気がします。北宏二のことをもっと多くの人に知ってもらいたいと僕も思いました。今日は大切なことを知ることができて先生には大変感謝しています。ありがとうございました。
ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました。
対面での開催が難しい情勢ではありますが、今後もzoom等を活用しながらセミナーや研究会などを開催する予定です。一般公開セミナー開催の際はこのホームページにてお知らせいたしますので、ぜひ楽しみにお待ちください。
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【文哲研オンラインセミナー「芸術研究の世界」】
このセミナーの講師は、文部科学省科学研究費(通称:科研費)の研究代表者である、11名の本学教員です。科研費は、人文・社会科学から自然科学まで、あらゆる分野の優れた研究を発展させることを目的として国から支給される研究費で、厳正な審査を経て採択され、数年間、申請した研究計画に沿って研究に取り組み、その成果を公表します。オンラインセミナー「芸術研究の世界」では、本学の教員が現在取り組んでいる芸術研究について、その研究を発想した経緯や研究の面白さ、難しさなども含めて存分に語っていただきます。セミナーでの質疑を通して、参加者の皆さんとともに、芸術研究の奥行きと拡がりに触れる機会となることを願っています。
【今後の予定】 (タイトルは科研の採択課題です。講演内容は追ってご連絡します)
11月3日 天野文雄 アジアの舞台芸術創造における国際的な「ラボラトリー機能」の実践的研究
12月1日 河上眞理 〈美術建築〉の観点から見た明治期における家屋装飾の歴史的位置づけに関する研究
1月12日 町田香 『四親王家実録』を中心とした近世四親王家の生活環境に関する復元的研究
1月19日 齋藤亜矢 描画のプロセスにおける想像と創造の関わりの検証
2月2日 増渕麻里耶 希土類元素に着目した古代鉄製品の非破壊製作地推定法の開発
3月2日 森田都紀 日本の芸能「能」の演奏技法の伝承過程に関する歴史的研究‐能管を中心に‐
※日程は講師の都合等で変更の可能性があります
2021年9月30日
ART meets SCIENCE
9月29日(水)18:30より、文哲研オンラインセミナーART meets SCIENCE#7 『「未開の知」に触れる-ユニバーサル・ミュージアムとは何か-』をzoomにて開催いたしました。
ART meets SCIENCE#7 『「未開の知」に触れる-ユニバーサル・ミュージアムとは何か-』
講師:広瀬浩二郎(国立民族学博物館准教授)
日時:2021年9月29日(水)18:30-20:00
参加者:105名(京都芸術大学教職員・学生)
*講演概要ほか詳細:http://www.kyoto-art.ac.jp/iphv/topics/4789/
【参加者感想(一部抜粋)】
*触ってもよい博物館の導入、既成概念の変革のために展示の始めに触ってよい像を設置するという発想が良い意味で驚きました。
*「確認型(目が見えるひと)」と「探索型(目が見えないひと)」はモノの触り方が違うのは面白いです。博物館学芸員資格課程を取りましたが、展示をつくる際は、できるだけ多くの視点やニーズを持つ人たちと話し合うことで、それぞれの立場では当たり前のことが、そうではない世界がある、と気づけると思いました。
*興味深いお話ありがとうございました。プラトンの詩人追放論を思い出しました。未開の知、魂から感じらるようになりたいです。
*「触って美しい」はとても新鮮でした!これから意識してみたいと思います。美学の問題とも関わりそうですね。
*とても興味深い講義ありがとうございました。いろいろな作品を触ってみたくなりました。民博は近いので、明日さっそく観に行きたいと思います。
*赤ちゃんは生まれながらに触覚型ということでしたが、大人でも美術品とかを見て「触りたい!」と思うこともあります。これは見たから「触りたい欲求」と思うのであって、「触って知りたい」とは少し違うのかなと、お話を聴いて思いましたが、どうでしょう。「触りたい」と思うことが、どういう気持ちから起こることなのかも気になりました。
【関連動画】セミナーでご紹介しきれなかった動画です。ぜひご視聴ください。
*自然との濃厚接触動画「バリアアリー森の冒険」 https://youtu.be/8sY9_UU3aH0
*オンライン・ワークショップ「世界の感触を取り戻す」(完全版) https://youtu.be/KW5M8ucd14M
*オンライン・ワークショップ上級編「トーテムポールをさわる」 https://youtu.be/OOazfqbMV_s
*触文化のプロモーション動画「仏像触察映像」 https://youtu.be/rifkU9obBY8
【広瀬先生新刊のご紹介】
広瀬浩二郎先生の新刊えほんが刊行されました。
ぜひお手にとって、触れて、感じてみてください。
*てんじつきさわるえほん『音にさわる-はるなつあきふゆをたのしむ”手”』(偕成社)
えほん詳細 https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784032261608
ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました。
対面での開催が難しい情勢ではありますが、今後もzoom等を活用しながらセミナーや研究会などを開催する予定です。一般公開セミナー開催の際はこのホームページにてお知らせいたしますので、ぜひ楽しみにお待ちください。
2021年9月28日
出版・メディア情報
月刊ART Collectors’ No.151(生活の友社,2021年10月号)に、齋藤亜矢のインタビュー記事「意味から離れてみる-ヒトはなぜアートを観るのか」が掲載されています。
amazon等のネット書店でもご購入いただけますので、ぜひご一読ください。
アートの見方は習うものじゃなく、自分で体得すべき? それも一つの真理ですが、「達人」が作品をどう見て、どう感じているのか、みんな知りたいものではないでしょうか。今回は、「アートは好きだけど、もっと深い見方ができるようになりたい!」という読者のための特集をお届け。コレクター、キュレーター、美術史家など、様々な「達人」に話を聞き、様々な視点から一歩先の「観る力」を探ります。(公式ホームページより)
2021年9月23日
ART meets SCIENCE
日程終了しました
10月25日(月)18:30より、学内教職員・学生対象に文哲研オンラインセミナーART meets SCIENCE #8 「美術技量の他分野への応用:美術解剖学から科学へ」を開催します。
ART meets SCIENCE #8 「美術技量の他分野への応用:美術解剖学から科学へ」
美術や音楽をはじめとした芸術分野は、芸術分野に限らずその技量を様々な分野に応用することが可能です。普段何気なく行っている観察力が、描写技量が様々な場面で何かを媒介するための重要な役割を持って活用されることも少なくありません。今回は、自身が取り組んでいるメディカルイラストレーションを一例とし、いかに芸術、とりわけ美術分野の技量が他分野への応用が重要であるのかについてお話ししていきます。
講師:原木 万紀子(埼玉県立大学 健康開発学科 健康行動科学専 准教授)
日時:10月25日(月)18:30〜20:00
対象:京都芸術大学教職員、学生
【講師略歴】
原木 万紀子
埼玉県立大学 健康開発学科 健康行動科学専 准教授
2012年 東京藝術大学大学院美術研究科 芸術学専攻 美術解剖学研究室 修士課程 修了後、東京大学医学系研究科 社会医学専攻 医療コミュニケーション学教室にてメディカルイラストレーションを用いた研究に取り組み博士課程修了。2016-2019年 立命館大学 共通教育推進機構 特任招聘准教授として勤務し、2020年より現職
美術の技量を用いて、様々な分野のビジュアルコミュニケーションの円滑化に取り組んでいる。著書に『芸術と情報のあいだ インフォグラフィックの素描』(勁草書房)、『伝わる医療の描き方』(羊土社)。
日程 | 2021年10月25日 |
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時間 | 18:30 - 20:00 |
費用 | 無料 |
対象 | 京都芸術大学教職員、学生 |
申込方法 | 学内掲示板・学生専用サイト(通学・通信)をご確認ください |
主催 | 文明哲学研究所 |
2021年9月22日
ART meets SCIENCE
9月21日(火)13:00より、文哲研オンラインセミナー「ART meets SCIENCE #6 絵画とリアリティ」をzoomにて開催いたしました。
ART meets SCIENCE #6 絵画とリアリティ
日時:9月21日(火)13:00〜15:00
参加者:96名(京都芸術大学教職員・学生)
講師:
森本玄(画家,美術工芸学科油画コース教授)
齋藤亜矢(芸術認知科学,文明哲学研究所准教授)(企画)
パネリスト:
辻井南青紀(小説家,文芸表現学科教授)※インタビュー映像での参加に変更
岡村寛生(映像作家,情報デザイン学科准教授) and more..
*講演概要ほか詳細:http://www.kyoto-art.ac.jp/iphv/topics/4757/
【特別公開】
第2部 デッサンのコツと絵画のリアリティ、第3部 パネルディスカッションのトークパート覚え書きを公開いたしました。
ぜひご一読ください。
【参加者感想(一部抜粋)】
*科学的に整理された「写実的に書く方法」とても興味深く参考になりました。遠近法の話で「画家が先に発見して化学が後から追いついてきた」という話も特に興味深かったです。
*言語をもって育ってきた以上言語から離れることってとても難しいと感じました。リアリティは言葉や視覚によるものだけではなく経験によるものもあると思います。
*これまでの視点を変化させてものをみることも必要だと感じました。
*科学的知見が聞けたこと、先生の制作過程が見られたことなど、とても有意義でした。先生同士の対話も興味深かったです。
*スキーマ的描き方を極めたのがマンガであるという話にはなるほどと思いました。絵を描かない人から「キャラクターを描いてよ」と言われて困ってしまうことがよくあるのですが、これは自分がスキーマによる描き方に慣れていないせいだったのかと気づきました。写実的な絵を目指す者にとっては落ち込むことではないのかも、と気持ちが軽くなりました。
また、森本先生の実際の写生の様子を紹介していただいたのも興味深かったです。夜明け前から取り掛かったり時間の経過も含めて描いたり、実際的なことが色々と参考になりました。
*デッサン、写実的に描くことの難しさと、その上達のための科学的アプローチ方法?の片鱗をつかむことができたように感じる。
*これまで写実画に対して「写真でいいじゃん」と無知蒙昧な思いを抱いていたのですが写実画と写真は全然違うものであると理解できました。デッサン本とかでよく見る「デッサンは観察する力」という言葉の意義も腑に落ちました。齋藤亜矢准教授が「芸術は抽出」とおっしゃってたのが印象的でした。
ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました。
対面での開催が難しい情勢ではありますが、今後もzoom等を活用しながらセミナーや研究会などを開催する予定です。一般公開セミナー開催の際はこのホームページにてお知らせいたしますので、ぜひ楽しみにお待ちください。