卒業しても
「香りがね、あるんですよ、それぞれの日本庭園ごとに。昔からいろんな庭園を訪れていまたが、教わってはじめてわかりました」と目を輝かせる真殿さん。芸術教養学科を卒業したいまも、大学院で学んでいる。入学したきっかけは、「これからの時代、ビジネスの世界にも芸術的教養のある人材が求められる」と職場で感じたこと。まず自らが実践しようと、多忙な身でありながら進学を決めた。予想以上にうまくいったのは、出張の移動中など、空き時間を活用できるオンラインならではの学習スタイル。想像以上に厳しかったのは、仕事ひとすじで凝りかたまっていた自分の考え方に対する、先生方からの容赦ない指摘。「歳を重ねて役職につくと、叱ってくれる人もいなくなります。ときにキツイなぁと感じても、自分では気づかない課題点を明らかにしてもらえるのはありがたいですね」。
本格的な学びを通して、「ものごとを観察し、整理して答えを見つける”デザイン思考“は、個人レベルでも事業レベルでも、さまざまに応用できるはず」と確信した真殿さん。幅広くビジネスで活かせるよう、実践力を磨くために大学院へ。多彩な学友の研究にふれるグループワークで、個人的な興味の幅も広がったという。「香りや花、風景、建物、陰影など。オンラインの大学だけど、その内容はリアルな世界につながるものばかり。さまざまなものの見方を学んだおかげで、なんとなく目にしてきた景色や社寺を、より深く楽しめるようになり、広い意味で人生が豊かになりました」。
「まだまだ学びの入り口に立ったところですが、私がつくる旅行プランの芸術面が充実したので、とりあえず妻には喜ばれていますよ」と笑う真殿さん。大学院を修了しても、学びの習慣はなくしたくないという。「”永遠に生きるかのように学びなさい“という偉人の言葉を聞いて、素晴らしいなと。私も、少しずつだとしても、元気のあるかぎり学びつづけたいです」。