MENU

美術科

染織

TEXTILES

布と生きる。布は生きる。

伝統の地、京都で多彩な染織技法を基礎から習得します。布を生かし、自分を生かす力を身につけます。

コースの特徴

01「染」と「織」の両方を学べる。

「染」と「織」両方の基礎を学んだのち、自分の深めたい技法を選択。卒業後の活動につながる卒業制作に取り組みます。

02総合的な力をつけるカリキュラム

染めたり織ったりする技法を駆使するためには魅力的なモチーフを描くことや色彩構成の知識を得ることが必要です。それらの基本をいちから丁寧に身につけます。

03多様な染織世界から、自分だけの表現を発見。

幅広いカリキュラムを通して、生活を彩るテキスタイルや自己表現としての作品制作など、多様な染織世界を体感。そこから、新しいものの見方、自分だけの表現方法を見つけだします。

大学、短大、専門卒の方は、最短2年卒で卒業可

学びのポイント

自宅で染織

1、2年次の自宅学習では、台所のコンロで植物染料を煮出して染めたり、テーブルで腰機を織ったりします。大がかりな道具や広い場所がなくてもできる課題で、生活の中に染織を取り入れます。

京都ならではの授業

「金箔」を使った友禅染を体験したり、京都で活躍する作家や職人の工房を訪ねる授業を受けたり、京都ならではの学びにふれられます。

学びのステップ

STEP1

素材、技法に手で触れ、
染織の可能性を感じとる。
まずは生活の中の布や身近な染料を知り、人と染織との関わりを考えます。「染」と「織」の基本的技法を学ぶとともに、造形の基礎となる「物を見て描く方法」を習得し、つくる楽しさを実感。布や糸の感触、染まる感覚など、手を通して染織表現の可能性を発見します。

 スクーリング科目例 / 絞り染の浴衣を染める浴衣の構造を踏まえ、12〜13メートルの生地を染めます。

STEP2

基本の技術を身につけながら、
染めること、織ることを理解する。
ひきつづき、基本的な技術を学習しながら、染技法、織技法が発展してきた歴史を知り、装うことや生活を彩ることに込める人の心を考えます。また、「色彩」や「構成」を理論的に学び、作品制作の基礎としていきます。

 スクーリング科目例 / 絣のショールを織る「経絣(たてがすり)」の方法を学び、実際に織機で織り上げることで、織技法を身につけます。

STEP3

深めていきたい技法を選び、
自分自身の方向性を見つける。
「ろう染」「友禅のふくさを染める」「綴織の壁掛を織る」「絹の裂を織る」の中から2科目を選択し、理解を深めます。また、「フェルトメイキング」「沖縄産地研究」などの選択科目を履修し、自分と染織との関わりを考えながら、表現の幅を広げていきます。

 スクーリング科目例 / 沖縄産地研究亜熱帯の気候風土や歴史的背景の影響を受けて育まれた、沖縄の染織について学びます。

STEP4

テーマ設定から作品完成まで、自分にとっての染・織をかたちにする。
1年をかけて、じっくりと卒業制作に取り組みます。発想から仕上げまで計画的に制作をすすめ、卒業後の活動の土台を築きます。自分にとっての「染」「織」をかたちにすること、美しい仕上げ方や効果的な展示方法など、作品の見せ方までを学びます。

 スクーリング科目例 / 前期制作4年間の集大成として、各自設定したテーマにもとづいて作品制作を行います。

入学~卒業までのステップ

4年間で学ぶことがら

1年間の学習ペース

【1年次入学】専門教育科目の1年間の履修スケジュール例

【3年次入学】専門教育科目の2年間の履修スケジュール例

学費の目安

授業料 300,000円
スクーリング受講料 104,000〜128,000円
単位修得試験受講料 12,000円
1年間の合計金額 416,000〜440,000円

卒業までの合計⾦額(4年間)
1,664,000〜1,760,000円

  • ※入学初年度は、上記に加えて⼊学・編⼊学選考料20,000円と、⼊学・編入学金30,000円、学生 教育研究災害保険料140円の合計50,140円が必要となります。
  • ※スクーリング受講料は、科目の種類や開講場所によって料金が異なります。
授業料 300,000円
スクーリング受講料 156,000〜192,000円
単位修得試験受講料 12,000円
1年間の合計金額 468,000〜504,000円

卒業までの合計⾦額(2年間)
936,000〜1,008,000円

  • ※入学初年度は、上記に加えて⼊学・編⼊学選考料20,000円と、⼊学・編入学金30,000円、学生 教育研究災害保険料140円の合計50,140円が必要となります。
  • ※スクーリング受講料は、科目の種類や開講場所によって料金が異なります。

教員メッセージ

久田 多恵准教授

自分の可能性や社会につながる、
染織の糸をたどりませんか。

久田 多恵
HISADA Tae
准教授

1997年-2008年アクアート水中作品展(鹿児島県、島根県)、2005年Contemporary Japanese andDanish Art and Craf(t デンマーク)、2007 年MAESTRI E ALLIEVI(イタリア)、2008-2009 年 布の記憶/ 糸の時間 日中交流展(中国、京都)、2010-2012 年"FromLausanne To Beijing" InternationalFiber Art Biennale(中国)その他個展、グループ展にて発表。

「sublimation」
絹/平織 H200×W580×D25cm 2009年
撮影:矢野誠

このコースでは何を学べますか?
染織の可能性と自分の可能性。
染めることや織ることを通して自分の可能性を発見します。染織といっても壁に掛けるタピストリーから、コップの下に敷くコースター、衣服を彩る模様やかたち、絵画や彫刻のような自己表現までさまざまです。どのような染織をめざすか、いろいろな試みの中で見つけていきます。染織を通してまずは自分を知ること、次に自分の得意な方法で社会に発信することを考えます。授業では「染織の技術を基礎から丁寧に身につける」、「その技術を使ってどんなものを作るのかを考える」を両輪として学びます。染織は人間が生きていくための知恵の集積ですが、現代に生きる私たちは染織の技術がなくても困ることはありません。だからこそ「何のために何をつくるのか」考えることが大切です。
通信教育という点での配慮は?
自宅制作の基盤をつくる。
大学での対面授業のスクーリング科目と、自宅で取り組むテキスト科目をバランスよく組み合わせています。スクーリングは教員や一緒に学ぶ仲間たちからの刺激もあり、あっという間に充実した時間が過ぎます。一方で自宅での取り組みは、日々の生活の中に時間を見つけて制作場所を確保することから始まります。忙しい毎日、やる気を保ち続けることは簡単ではありません。でもそれができなければ作品を作る人にはなれません。自宅で一人染織と向き合っていける課題内容を組み立て、無理なく学べるようサポートをしています。
どんな人に学んでもらいたいですか?
染織で社会と関わる人へ。
手で物を作る実感を得たい、知らなかった世界に踏み込みたい、美しい色やはっとする模様が好き、という人はぜひ入学を。卒業後は、染織を通して何らかのかたちで社会と関わっていってほしい。展覧会で発表するのも、実用品として売るのもいいと思います。卒業生の中にはギャラリーを開いた人もいます。教室を開く、テキスタイルデザイナーや研究者になるなど、夢は大きく持ってほしいですね。やってみて楽しいと思えることや没頭できることは、それだけで大きな才能です。ぜひ思い切って飛び込んでください。

作家志望×染織=

北岡 悦子
染織コース(1年次入学)
15年度卒業 大阪府在住40代

「卒業生・修了生全国公募展には間に合いませんでしたが、卒業後の第一作が、駒ヶ根シルクミュージアムの「第9回現代手織物クラフト公募展」で奨励賞を受賞しました!」。

染織十色

北岡さんが卒業制作でつくった着物には、いろんな色が織り込まれている。「くちなし、茜、藍、えんじゅ。植物からこんな多彩な色が出るなんて、すごいですよね」。日本舞踊を習ったのが、着物への思いを深めたきっかけ。着付けや和裁を教わり、ついに〝糸から着物を織る〞原点をめざして本コースへ。「織る様子を間近で見て、こんなに忍耐強い作業ができるかな、と心配しました」。初めての体験に四苦八苦しながらも、自分の手から生まれる、形と色の面白さに魅了されていった。

「最初は、デザインなんて自分にはできない、と思っていたんですよ」。美術に深く関わったことがなく、絵を教わるのは学生時代以来。もちろんすぐには上達しないが、描いてみると、見慣れた花や野菜の思わぬ美しさに気づいた。また、天然染料の課題では、道ばたの草が出す鮮やかな色彩に感動。そうして見つけた形や色を、糸にのせて表現していく。「初めの頃にスクーリングで、先生に色の助言を求めたら、〝色決めは一番楽しいところなんだから、自分で決めなきゃ!〞と言われて。その通りだな、と今は思えますね」。

生来の凝り性も手伝って、気づけば予定より2年も長く在学。しかし、学んだすべてが制作の糧になるという。やがて迎えた卒業制作では、先生の厳しい指摘に落ち込みつつも奮起し、さまざまな色に染まる落日の海を完成。「達成感はあるけど、大変でした」と苦笑しながらも、すでに次作に取り組んでいる。「自宅作業は孤独な戦いだけど、失敗するたびに何かを学んで、強く、たくましくなれました」。表に出ない苦悩や悲しみ、喜びや感動まで、すべてが染みこんだ北岡さんの糸。その経糸と緯糸が織りなす色は、ときに予想をこえ、本人さえハッとする美しさを見せるという。「とにかく制作して、発表して、いつか人から依頼される作家になりたい」。北岡さんが布の上に織りあげた落日は、新たな夢へのあけぼのでもあった。

お稽古好き×染織=

大日方 明美
染織コース(1年次入学)
14年度卒業 東京都在住 55歳

「せっかく社会人で学生という贅沢な身分になれたんだから、じっくり取り組みたい」と、在籍できる最長年数の9年かけて卒業。以後は大学院で、新たな技法や素材に挑戦中。

織り重ねる学び

ただの細い糸を、一本ずつ交互にくぐらせると、いつの間にか布になる。「そんな、積み重ねる感覚が好きなんです」と、織り機の前で微笑むのは大日方さん。しかし本学に来るまでは、染織の知識などまったくのゼロ。芸大は特別な人が行くもの、と思い込んでいた。「きっかけは、お茶のお稽古ですね。和装に気に入った着物がなくて、いっそ自分でつくってみようと」。

思いたったら吉日、と勢いよく入学。しかし初めての専門科目のスクーリングで、思わず手が止まった。「糸にも布にもふれず、スケッチブック片手に静物デッサンする授業だったんです。絵は高校以来でしたね」。じつは絵を描くのが苦手だった大日方さん。まずは鉛筆の持ち方から教わり、時間をかけて描き写すうち、少しずつ苦手意識が和らいでいった。「何より励まされたのは、先生からの言葉です。 〝ちゃんと見て、丁寧に取り組んでいますね〞というテキスト課題の添削が返ってくると、〝ああ、下手でもわかってもらえるんだ〞と嬉しくなって。次のやる気につながりました」。

初心者ならではの不安を受けとめてくれたのは、先生の言葉だけではない。カリキュラムの巧みさにも感心した。「2年次までは、自宅に織り機がなくても、簡単に用意できる棒や木枠だけで織れる課題になっているんです。その間に、基本的な仕組みをしっかり学べました」。少しずつ織り方や道具の種類を覚え、自分に合うものを見つけることで、自宅制作の場が整っていく。技術もまた同じだという。「最初のうちは、どうなるかと思っていましたが」。いきなり完成形をめざすのではなく、できることからやっていくうちに、自分でも思いがけない大作の下図を描け、作品に仕上げることができた。

「とはいえ、まだまだ勉強中です。知れ ば知るほど、未知の世界にふれ、また知 りたくなるのが染織ですから」と、目を 輝かせる大日方さん。ひとつ学びを重ねる たびに、その手は新しい答えをつかむ。糸から織りあげる布のように。