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映像コース

2026年03月16日

【映像コース】かぜまちぐさ咲く

少し前から、街のあちこちに梅の花が咲き乱れていますね。映像コースの丹下紘希です。
梅の花は古来の呼び方で「風待草(かぜまちぐさ)」と呼ばれていました。長い冬の厳しい時間に耐え、風に乗って春の訪れの知らせを待っている姿と重ねているのです。

この呼び名を聞くと、私たちはその冬の厳しい時間の終わりを想像します。

通信教育の多くの方が、映像を作ることも初心者の状態から始まり、大きな不安の中でなんとか制作に取り組んできました。学びの期間は、長い冬のように厳しく感じられたであろうことは、容易に想像がつきます。

映像コースにとっての風待草のような、初めての卒業制作展が開かれています。
そんな中で、小野寺あゆみさんの作品「沈黙の中の聲(ちんもくのなかのこえ)」が学長賞を受賞したという、うれしい知らせをいただきました。

この作品は、人前で話すことが苦手な自分自身の心の声を表現した作品です。
技術や表現の巧みさというよりも、か細く、声にならない声をすくい上げることの大切さ、そして私たちはなぜ作品をつくるのかという問いに、真正面から向き合ったことが評価されたのではないかと思います。

小野寺さんは、入学してから学割でMacBookを購入するところからのスタートでした。Adobeソフトの操作は、最初はまるで暗号のように感じられ、授業動画を超スロー再生して何度も見返したり、時には泣きながら格闘していたこともあったそうです。

小野寺さんは、次のように語っています。

「卒業制作では、授業で学んだ『映像思考』――観察・発見・想像・共有――というプロセスに沿って、自分の内面と丁寧に向き合いながら作品を作りました。
タイトルの『沈黙の中の聲』は、リサーチの中で出会った『聲』という漢字から生まれました。声は、ただ口から出る音ではなく、それが響き、誰かに受け止められて初めて『聲』になるのだと知りました。
緊張やあがり症で言葉に詰まっていた幼い頃の自分を思い出しながら、自分の中にはちゃんと聲があったのだと気づけたことが、この作品につながったように思います。」

自分自身を「観察」し、心の声を「発見」し、内面で起きていることを「想像」しながら表現し、それを誰かと「共有」する。
この作品は、何のために芸術が存在するのかを、多くの人に考えさせることになったのではないかと思います。

それは、声にならない声に耳を澄ませるためなのかもしれません。
長い冬を越えた先で、静かに咲く風待草のように。

 

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