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通信教育課程 入学課

2019年03月16日

この学びは、人生。― 2018年度 京都造形芸術大学通信教育部 卒業式のご報告

※2019年03月16日に挙行された2018年度「学位授与式・卒業式」のレポートになります。

こんにちは。通信教育部の作山です。
本日、3/16(土)に挙行された「学位授与式・卒業式」の様子をご紹介させていただきます。

通学部および通信教育部の2つの課程がある本学では、例年、午前中に通学部を、そして午後より通信教育部の卒業・修了式を執り行っています。
夜半よりあいにくの雨となってしまいましたが、通学部の式典が始まる10時頃からは、天候も徐々に回復。時折、晴れ間がのぞいていました。


会場となるのは、学内にある「京都芸術劇場・春秋座」。
喜ばしいことに年々卒業者数が増えており、今年は修士課程:83名、学士課程:567名ほどいらっしゃいます。会場の一階には卒業・修了生が、二階はご同伴者席と教員席となっていました。

まずは、本学教授の松平定知先生による、本学の理念「京都文藝復興」の朗読から式がスタート。


そして、各領域や学科代表の方々への「学位記授与・卒業証書授与」

尾池和夫学長からの式辞、そして、姉妹校・東北芸術工科大学の中山ダイスケ学長からの祝辞と続きます。


式辞や祝辞に共通していたのは、型や形式を乗り越えた先にある「創造」の難しさとその奥深さについて。
このたび卒業を迎えることとなりましたが、ここから、そしてこれからも芸術を追求せんとする卒業生への激励の言葉だったように思います。

そして続いて、本学名物の和太鼓の演奏です。祝奏が、会場中に力強く響き渡りました。

なかなか文章ではお伝えしにくいのですが、その演奏は「音が聞こえる」というよりも、音そのものが身体の奥に響いてきて、心を揺さぶってくるような感じです。

卒業・修了生を代表して「修了の辞」をお読みいただいたのは、通信制大学院の洋画分野を修了された林里美さん。
幼い頃より絵を描くことが好きだったという林さんは、6年前に洋画コースに入学し、卒業後は大学院へと進学。「日本人にしか描けない洋画とは何か」を追求なさったとのこと。(修了の辞の内容は、後ほどご紹介します。)


そして徳山豊理事長からの歓送の辞です。


最後は学園歌「59段の架け橋」を、皆さんで斉唱。
「僕たちの目の前には、59段の架け橋、ひとつ階段を上ると、未来が近づいてくる」




入学式においても斉唱したこの学園歌。卒業式では、学生生活の様子のVTR映像を見ながら、学びの様子を振り返りつつ、斉唱しました。
今こうして卒業を迎え、思い入れのある特別な歌になりましたでしょうか。
悩みや不安、夢や希望を分かち合える学友が日本全国にできること。それも通信教育部で学ぶことで得られる大きな財産なのだな、とVTRから伝わってきました。

学内では、ちょうど通信教育部の卒業・修了展が開催されていますが、その作品の一つひとつに、皆さんの人生そのものを感じます。
「この学びは、人生。」

仕事や家庭との両立、学ぶ時間や場所の確保、ご家族やご友人方々からの支援など、さまざまなご苦労を乗り越えた皆さんの挑戦に感動を覚えます。

芸術を学ぶことに限りはありません。
本学通信教育部は、藝術学舎(一般公開講座)や全国各地で開催する収穫祭など、皆さんがこれからもさまざまな形で学び続けることができるよう、引き続き学習環境を整えてまいります。

これからも皆さんそれぞれが、自身を更新し続ける「学びの旅」を続けていただくことを祈念しております。
では、また別の学びの場でお会いしましょう。

改めまして、皆さま、ご卒業・修了、おめでとうございます。

それでは最後に、林里美さんの「修了の辞」をご紹介させていただきます。




修了の辞

冬の寒さが和らぎ、柔らかな春の兆しを感じるようになりました。本日は、このような素晴らしい式典を挙行していただき、修了生・卒業生一同を代表して厚く御礼申し上げます。また、ご多忙の中ご臨席賜りましたご来賓の皆様、先生方、関係者の皆様方に心より御礼申し上げます。

本日、ここに650名の修了生・卒業生が本学から旅立ちます。通信教育課程で学ぶ私達は、多くが働きながら様々な時間の制約の中、学業に励んでまいりました。家庭や仕事と学業を両立させることは自分自身との闘いでもあります。今日この場に立つことが出来たのは自分だけの力ではないことを修了生・卒業生の誰もが深く感じていることと思います。

さて、思い起こせば6年前、本学の洋画コースの門を叩いたことが私の現在に至る初めの第一歩でした。絵を描くことが幼い頃より好きで大人になっても描いていた私は、自分の絵の限界を感じ本格的に学習したいという欲求に従い本学に入学しました。入学後初めて受けたスクーリングでは何もかもが新鮮で楽しく、多くの学友に囲まれて緊張しながらもワクワク過ごしたことが思い出されます。また先生方の熱心なご指導は、未熟な私に描くことの楽しさと自信を与えてくださいました。私はますます描くことが好きになり、気がつけば卒業制作に取り組んでいました。ところが順調に進んでいた学生生活もあと少しで卒業という段階で家族の病気という障害にみまわれました。一時は卒業を諦めかけた私を支えてくれたのが学友達でした。落ち込む私に励ましのメールや言葉を何度もかけて卒業まで導いてくれたことは感謝してもしきれません。私は、このように素晴らしい学友達に恵まれ学部を卒業し大学院に進学することができました。

私にとって大学院での2年間は、絵を描くということについて深く考える機会を得られた想像以上に濃密で濃厚なものでした。私は、洋画だから油絵だからと必ず西洋画家を手本とする必要があるのかという疑問に端を発し、日本人の描く油絵とはどんなものか、日本人にしか描けない絵はあるのかということに興味を持ち、それが研究テーマに繋がりました。元来言葉を用いて論理的に表現することが苦手な私にとって制作研究ノートの執筆は苦労の連続でした。しかし先生方の的確なご指導と学友達のアドバイスにより完成に至りましたことは、私が大きく成長した証となったと自負しております。

また、作品制作ではF120号4枚という身の丈を超える大作を仕上げられたことは自信となりました。作品完成に至るまでの苦労も先生方のアドバイスに逆らい自分の意思をつらぬいたことも、学友達と切磋琢磨し合った日々も、全て私にとってキラキラと輝くかけがえのない宝物となりました。

今後はこの度の修士作品のテーマであります、私の表現方法の確立と日本人にしか描けない洋画とは何かを実現するために、大学院で学んだことをさらに発展させ世の中の人々に発信していくことが、私に課せられた使命でありこれからの人生の指標になると確信しております。「芸術文化探求へ絶えることなき研鑽が、人類を希望ある未来へと導くことを信じる」と徳山詳直前理事長の宣言文「京都文藝復興」の最後にありました。その言葉が今深く私の中に蘇ります。

最後になりましたが、諸先生方をはじめ、大学の関係者の皆様、家族、学友の方々へ改めて感謝申し上げて、私の修了の辞とさせていただきます。
本当にありがとうございました。

平成31年3月16日
2018年度修了生・卒業生代表
美術・工芸領域 洋画分野修了
林 里美

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