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ランドスケープデザインコース

2022年07月27日

【ランドスケープデザインコース】五感で感じ、体験から学ぶ

こんにちは。ランドスケープデザインコース業務担当非常勤教員の大嶋です。
6月に行われたスクーリングⅠ-3「ランドスケープデザインへの視点」について紹介をいたします。
このスクーリングでは近代都市公園の現地視察や高尾山周辺の自然観察を通した現地実習で、それぞれ歴史や樹木(植物)の分類・生態・機能などを学びます。京都・東京にて開催されましたが、今回ご紹介する内容は東京外苑キャンパスでの様子です。

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【1日目】手ぼうき制作・日比谷公園現地研修


1日目の午前中は庭園管理で使用する「手ぼうき」を制作します。手ぼうきは、苔の手入れや細かな小石、落ち葉などの掃除をする時に使用するものです。竹の穂を40~50cmに切って束ね、それぞれ手に馴染むサイズで作ります。秋に行われる庭園実習で使用するため、穂の元を切りそろえ丁寧に仕上げていきます。制作中に松中徹先生より、庭園管理における庭師の所作、勘所などのお話がありました。手入れをする姿や心も庭の一部となり風景ができていくといった言葉が大変印象的でした。

 





午後は日比谷公園を見学しました。東京の代表的な公園の一つでもある日比谷公園は、ビジネスの中心地にありながら深い木々に覆われ豊富な緑とダイナミックな噴水や芝生広場、バラや草花で彩られた華やかな花壇、落ち着いた雰囲気の心字池や江戸城警備の歴史的遺構「日比谷見附跡の石垣」など、歴史、文化、憩いの場としての公園の在り方など多くを学ぶことができます。高橋康夫先生から日本で最初の洋風公園として計画された日比谷公園の概要についてレクチャーをしていただきました。江戸時代には多くの武家屋敷があったこの場所ですが、明治期の公園計画当初は洋風公園とは何か、市民に愛される公園とはと議論を重ね、多くの著名な造園家により繰り返し検討されました。数々の計画とその情熱、そして本多静六博士の設計に至るまでの経緯など公園誕生にまつわるエピソードについてもお話いただきました。



公園内の「緑と水の市民カレッジ」には緑に関する資料や書籍が多く所蔵されており、日比谷公園計画当時の貴重な図面や古写真なども保管されています。



公園内はゆったりとしたS字の園路で繋がり、雄大なイチョウ並木が美しく、松本楼や音楽堂などの歴史的施設も多く見どころが満載です。また周囲には帝国ホテル、鹿鳴館跡地などは当時の公園界隈の賑わいを感じさせます。ここで、今の東京におけるセントラルパークとしての日比谷公園の在り方、都心の緑の価値について考えると共に、市民のための公園とは?経済か緑か?などの課題も発見し議論する機会にもなりました。後半はそれぞれテーマを決めてスケッチをします。建築、植物、人物など印象に残ったものを描き、プレゼンテーションをしました。






2日目】植物生態実習


2日目は高尾山にて自然観察を通して植生や分布、植物の生態について学びました。自然環境調査や環境保全に精通した本池祐貴先生、本学名誉教授の高梨武彦先生にご指導いただきました。高梨先生は生物自然科学がご専門で、通信教育部では設立当初より長年ランドスケープデザインコースを担当いただき、多くの学生を卒業に導いた熱意ある指導者でもあります。

高尾山は観光の山として大変有名ですが、豊かな自然に恵まれた山々の植物は戦国時代より竹林から下草に至るまで厳しく保護されてきました。杉、その他多くの巨木がそびえる天然林は、代々保護されてきた山の歴史そのものと言えます。豊富な動植物が生きる環境は、自然観察には最適です。しかし、近年は台風による表層崩壊、管理されず放置された人工林、草本類の繁茂による問題点も多く森林の保全も大きな課題となっています。

 























見る、触るといった五感で感じるリアルな学びが盛りだくさんのスクーリングでした。ランドスケープデザインへの興味がより深まり、多くの体験や印象に残るシーンが今後の成果に活かされることに期待しています。

 

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