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書画コース

2022年09月22日

【書画コース】文房四宝、墨を訪ねて

書画に欠かせない文房四宝である筆、紙、硯そして、墨。この夏、書画コースの桐生先生と古都奈良にある老舗墨屋・古梅園を訪れた日のことを綴ります。担当は書画研究室の奥田です。

皆さんご存知でしょうか?奈良は書画材のお店が軒を連ねています。伝統的工芸品「奈良墨」「奈良筆」を生産する会社もあり、その製造を見学できるところもあります。

なかでも墨づくりは1300年の歴史をもつ、奈良を代表する伝統産業でもあります。今回訪れた古梅園はなんと創業1577年、今なお墨づくりの伝統を守る墨屋の一つです。

 



株式会社 古梅園
http://kobaien.jp

お店に入るとスタッフの方が様々な種類の固形墨を見せて下さいました。古梅園といえば、紅花墨(こうかぼく)を思い浮かべる方もいらっしゃるかと思います。写真のように、紅花墨は表面に美しい光沢があります。それは墨づくりの過程で行われる“磨き”の際に、蛤の貝殻で磨くことで生まれます。紅花墨のなかには等級があり、こちらの写真は「聖煙紅花墨」という商品になります。



墨の表面をヘチマで模様付けたこちらの「究極之墨」も見せていただきました。非常に細かな粒子でつくられた高品質な墨のため、これほどまでに繊細なヘチマの表面を見事に写しとることができるのだと教えて下さいました。細かい粒子がギュッと詰まり重いのかと思いきや、想像以上に軽かったことも驚きでした。



墨の主な原料は、煤(すす)・膠(にかわ)・香料。古梅園の墨の原料に着目すると、菜種油から採煙した煤以外にも椿、胡麻などの油から採られた煤の他、阿膠(ロバの膠)や山羊膠など今では珍しい膠を原料に使った墨もありました。次の写真はお店に展示されていた墨色見本です。この見本は奈良で製造される墨のごく一部に過ぎませんが、これだけ豊かな墨色があることに興味をもたれる方も多いのではないでしょうか。



実用ではありませんが「花墨(かぼく)」という古くは鑑賞用につくられた墨もいくつかご紹介いただきました。



様々な墨のお話をお聞きでき、とても勉強になり、楽しいひと時でした。

古梅園製に限らず私も様々な墨を使いますが、墨によってその表情は実に多様です。墨と一緒に使う硯や紙や絹本などの支持体の質だけでなく、水、気候、年月もその表現に影響します。
奥深い墨の世界をきっかけに、書画の扉を開いてみるのも良いかもしれませんね。

※写真は古梅園のスタッフに許可を得て撮影、掲載しています。無断転載・二次利用禁止。

🔗書画コース詳細ページ(大学HP)



🔗書画コース|体験入学、入学説明会(アーカイブ動画)

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