ランドスケープデザインコース
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2023年03月10日
【ランドスケープデザインコース】卒業制作のプロセスと風景
こんにちは、ランドスケープデザインコース教員の稲田です。 当コースでは1~3年次の専門科目を履修した後の学びの集大成として「卒業制作」に取り組みますが、この1月に「卒業制作」最後のスクーリング『最終発表』が開催されました。
1~3年次までに取り組む科目では、テーマや敷地など諸条件は大学から指定されていますが、卒業制作では各自で選んだテーマと敷地を課題にして、1年間をかけて自分のペースで取り組んでいきます。今回はランドスケープデザインコースの「卒業制作」全体の流れをご紹介します。
🔗ランドスケープデザインコース|学科コース紹介
卒業制作は4年次の1年間をかけて、全6回のスクーリングで取り組みます。
上でも書きましたが、テーマや敷地の選択は十人十色のため、指導も個別に対応しています。また他の科目と同様に、スクーリングの受講は京都キャンパス、東京キャンパス、遠隔いずれも選択可能で、日程やお住まいの地域など都合に合わせて各回ごとに変更することもできます。
🔗スクーリング日程表2023
シラバスや事前の相談などを経て、まずはじめにテーマや敷地、コンセプトなどを決めた後に、一年の前半では主に敷地の環境や上位計画などの調査をし、テーマに沿った計画などについて検討していきます。
後半になると平面プランや断面構成など具体的な設計を進め、さらに各自のコンセプトに合わせて素材や工法などティテールの検討や、ワークショップや管理・運営のプログラムなどソフトのデザインについても計画を進め、最後のスクーリングで最終発表をしていただきます。
スクーリング各回にはそれぞれテーマを設けており、おおよそそれに従って進めています。
スクーリング-1『コンセプトと敷地の発表』(6月頃)
各自が選択したテーマや敷地と、その地域の社会的な背景や生態・気象的な条件などを調査しまとめたものを発表してもらいます。それについて指導教員を中心に学友とも議論し、課題の妥当性や広がりについて、また今後の調査・分析の方向性について見定めていきます。この発表と議論を経ることにより、頭の中でイメージしていたものにカタチを与えることができます。
以降もそうですが、調査や設計の作業は基本的には自宅で進めていただき、週末二日間のスクーリングではそれまでの作業の進捗を発表・共有して、その作業の妥当性とその後の進め方などを確認する時間としています。
スクーリング-2『平面・断面プランの作成、パネルレイアウトイメージ』(8月頃)
前回のスクーリングで決まったテーマと敷地について、各自で調査をしてきたものを発表していただきます。また計画地が決まったところで、スケールを設定したA1サイズの敷地図面を作成し、そのなかに平面配置案(施設配置やゾーニングなど)を作成していきます。敷地の規模にもよりますが、詳細な測量図がない状態での敷地図面づくりも、ランドスケープデザインの中では重要なスキルでしょう。
また次回の『中間発表』に向けて、ゲスト講師による「プレゼンテーションの組み立て方」の指導があります。具体的には 1. パワーポイントの構成 2. 口頭プレゼンテーションの時間配分 3. A1パネルのレイアウトの基本的な構成などについて学び、個別に準備したレイアウトイメージなどを元にアドバイスをしています。この2日の指導を踏まえて、2ヶ月後の次回スクーリングまでにA1サイズ×6枚のパネルレイアウト案と、A1サイズの平面プランを自宅で作成してきます。
スクーリング-3『中間発表』(10月頃)
このスクーリングでは、各自の案の中間発表をしてもらいます。
6回目の最終発表を想定してプレゼンテーション(約7分)をし、ゲストを含めた講師陣からの質疑(約7分)に答えていただきます。プレゼンテーションには、平面図を含めたA1サイズで6枚のプレゼンパネルと、同じ内容を再構成したパワーポイントを準備してもらいます。当然各パネルや平面図は途中段階の暫定的なものですが、このタイミングでいちど形にすることで、次の課題が明確になります。プレゼンの後には、時間が許す範囲で生徒同士でも意見を出し合います。通信コースならではですが、それぞれの専門性やバックボーンからの意見も多く出されとても刺激的な議論になります。
また、このスクーリングの内容にリンクしたテキスト科目(自宅で取り組む課題です)も設定されており、このタイミングで合わせて履修します。
スクーリング-4『スケッチ、パース』(11月頃)
毎回のことですが、まずは前回のスクーリングからの進捗報告としてプレゼンテーションをしてもらい、それを全員で共有します。プレゼンは場数を踏むことで上達します。話の順序やバランスなどを工夫して、どうしたら自分の計画に賛同してもらえるか?試行錯誤していきます。
またこのスクーリングでは、ゲスト講師による「パースやスケッチの描き方」の指導があります。個別に準備した平面図やスケッチなどを元に視点場やアングルを決め、そこからパースを起こし、描く方法を一人づつアドバイスをしています。最終的なプレゼンパネルでは、図面の他に各所のスケッチやパースを求めています。平面的なデザインが固まってきたところでパースを描き、そこで気づきを得ることで、さらに平面図や断面図を良いものにしていくことができます。
スクーリング-5『模型』(12月頃)
進捗報告の後に、プレゼン模型の土台や、模型やパネルを梱包して郵送するための箱をつくります。このタイミングになると悩む猶予はなく、平面図を仕上げたり模型やパネルを製作したり、ひたすらプレゼンのための準備を進めていきます。毎年卒制のはじめに「今年はクリスマスやお正月はありませんよ」という話しをしていますが、このころになるとそれも理解されるようです。
この回のゲスト講師による指導は「模型製作」です。個別に準備したスタディ模型、プレゼン模型のイメージ写真などを元に、スケールや模型材料、表現の仕方など、一人づつアドバイスをしています。
5回目と6回目の間には年末年始がありますが、そこでどこまで諦めずに粘れるか?が、最終作品の強度に現れます。ただここで迷って手が止まってしまう人も多いようです。そのため年明けのタイミングでzoomによる卒制相談会を開催しています。任意参加ですが、毎年ほぼ100%の人が参加しています。あらかじめ時間を区切って、一人ずつ進捗を確認し、最終発表までにすべきことを整理します。
スクーリング-6『最終発表(1月頃)』(1月頃)
最終スクーリングは、自宅で制作した模型やパネルをキャンパスに郵送(または持参)してもらいます。まず1日目はそれらの仕上げをしながら、発表のリハーサルを行います。プレゼンテーションは7分と短いため、1年かけて製作した作品を説明するには時間が足りません。どうしたら短い時間の中で効果的に伝わるのか?リハーサルを2回も3回も繰り返すことで、次第に見えてきます。二日目の最終発表では、中間発表と同様にゲスト講師を迎えて幅広い視点からの評価とアドバイスをもらいます。皆さん緊張しながらも1年の成果を出し切り、笑顔で最後のスクーリングを終えています。
スクーリングの他にも「airUコンシェルジュ」というメールによる質問や相談の窓口(24時間受け付け)や、月に一回学習全般の相談ができるオープンゼミ(zoom)、卒業制作に特化した学習相談会(zoom)など、自宅での学習をスムースに進めるためのさまざまな機会を設けています。
それらを複合的に利用しながら皆さんの卒業制作が充実したものになるように、私たちも精一杯サポートをしています。
今年の卒業制作の成果は、実物の展示とオンラインによる「卒業制作展」で観ていただくことができます。
学びの集大成!学科コース別・卒業制作の様子(まとめ)と卒業制作展のご案内
◆2022年度卒業制作展(実物展)
日時:3月12日(日)~3月19日(日)11:00~18:00(最終日は16時まで)
会場:京都芸術大学 京都瓜生山キャンパス(アクセスはこちら)
◆WEB卒業制作展(オンライン)
公開期間:2023年3月12日(日)11時~3月31日(金)18時
https://www.kyoto-art.ac.jp/t/graduationworks/
※3/12(日)11時以降よりサイトにアクセスできるようになります。
🔗ランドスケープデザインコース| 学科・コース紹介
🔗ランドスケープデザインコースカリキュラム説明|アーカイブ動画
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