PHOTO

PHOTO

通信教育課程 入学課

2023年03月19日

芸術の力を支えに、新たな未来へ―2022年度 京都芸術大学 通信教育課程 学位授与式・卒業式

3/18(土)に挙行した「2022年度 京都芸術大学 通信教育課程 学位授与式・卒業式の様子を紹介します。

書画コース桐生眞輔先生による書で皆さんをお迎え



日本全国、そして海外在住の18歳から90歳代の方々が集う本課程。本年度は修士・学士あわせて1,048名に学位を授与しました。京都瓜生山キャンパスでの式典へは参加任意となりますが今年は約820名の学生が全国から参加したほか、ライブ配信でも式典を中継しました。

▼式典のアーカイブ配信はこちら(15:00ごろから式典開始)
https://youtu.be/jl-TDUudbn8

本学の理念「京都文藝復興」を本学教授の松平定知先生が朗読し、式が始まります。





代表の方へ「学位記・卒業証書授与」を行ったあとは、吉左紀子学長からの式辞です。

認知心理学やコミュニケーションがご専門の学長。仕事や生活を持ちながら学びを続け、卒業・修了を迎えられた皆さんを以下の言葉でねぎらいました。
人間の行動の中で一番難しいのは「習慣を変える」ということです。

皆さんにとって通信教育課程に入学し、勉強すること。それはこれまでの習慣を大きく変えることだったのではないかと思います。

日々の生活の中に「学び」という新しい行動をとりいれ、その成果を定期的に提出することはそれまでの習慣を大きく変え、新しい習慣を身に付けることだったと思います。

ですから、本当に大きな努力を払って実行しなければできなかったことなのです。そうした努力を乗り越えて今日という日を迎えられたことに心から敬意を表したいと思います。



続いて、本学の姉妹校である東北芸術工科大学の学長、中山ダイスケ先生の祝辞。

式典前に通信教育課程の🔗「卒業・修了制作展」(Web展示は3/31まで開催中)を鑑賞した中山先生。挨拶の次に、以下から祝辞が始まりました。
びっくりしました。
はっきり言って、最も強烈な展覧会はここにあるんじゃないかと思うくらい。

その完成度と研究の深さに驚いて、何度も見てしまいました。

間違いなく今シーズンの日本一の卒業・制作展はそこにあったと思います。

それぞれの人生経験で培われた課題感、思い出、愛情から生まれた作品や研究の精度、深さを称えられました。

数多くの大学の展覧会を訪れている中山先生のこの言葉は、卒業生・修了生の皆さんにとって、何より嬉しいものだったのではないでしょうか。



卒業・修了生を代表して修了の辞をお読みいただいたのは、通信制大学院の芸術環境研究領域比較芸術学分野を修了された中瀬古 智子さん。通信教育部芸術学科芸術学コースから大学院に進学され、本学通信教育課程で通算10年間学ばれました。

家庭や仕事と両立しながら在籍されたこの期間を「芸術に支えられた10年間」とお話されました(記事の最後に中瀬古さんの修了の辞の全文をご紹介しますのでぜひお読みください)。

最後に徳山豊理事長から歓送の辞があり、式典は終了しました。



式典終了後は各コースの分科会会場に移動。

完全オンライン課程で学んでいた方、東京・外苑キャンパスで学んでいた方など「はじめて京都・瓜生山キャンパスを訪れた」という学生さんも多くいらっしゃいます。各校舎の建築に感動しながら「美術館を訪れる時のように楽しい」とお話される方も。

分科会では、先生からお一人お一人に卒業・修了証書が授与されます。

ともに苦労や感動を分かち合ってきた学友・教員と過ごす分科会。皆さんほっとしたような表情で過ごされており、各教室は喜びにあふれていました。

 

美術科 洋画コース



芸術学科 芸術学コース



デザイン科 グラフィックデザインコース



芸術教養学科



美術科 写真コース。学生の皆さんがカメラマンになって記念撮影



2021年4月に開設したイラストレーションコースでは、はじめての卒業生を輩出しました。

デザイン科 イラストレーションコース



美術科 陶芸コース



美術科 日本画コース。卒業生から各先生に花束が贈られました



あるコースの先生からは、卒業・修了生の皆さんへ、以下の言葉がおくられました。
これからは作家同士として、一緒に頑張っていきましょう

今後は「教員と学生」ではなく、同じ立場で各分野の制作・研究をし、学び合う仲間としてのつながりがつづいていきます。

本学通信教育課程では、「藝術学舎」(一般公開講座)や、全国各地で開催する「収穫祭」(卒業生・在学生との交流を目的に、日本各地に集いその土地の芸術活動を学ぶイベント)、airUコミュニティ(本学SNS)など、皆さんが卒業後も学び続られる仕組みや教職員と在学生・卒業生がつながりあう機会が複数あります。

そういった場所を活用、あるいは新たな場所で、ぜひ学びを重ねていただきたいと思います。

改めまして、皆さま、ご卒業・修了おめでとうございます。

それでは最後に、中瀬古 智子さんの「修了の辞」を紹介します。



 




修了の辞

コロナ禍も収束の兆しが見え、ようやく日常が戻りつつあります。本日、この美しい眺望の講堂に一堂に会した修了式・卒業式を迎えられること、心より嬉しく思います。開催にご尽力くださった先生方、関係者の皆様に卒業生、修了生一同心よりお礼申し上げます。

私は、2013年、本学芸術学コースに入学しました。在籍年限の7年を経て大学院へ進学し、コロナ禍での休学1年を含めると10年もの間、本学で学びました。いえ、10年間本学に、芸術に支えられたといってもいいでしょう。

大学入学を決めた頃の私は、家庭や仕事、長時間勤務による過労、様々な問題を抱えて疲弊していました。そんな時、広く門戸を開く本学を知り、私の中にあった芸術を学びたいという夢が、あふれ出しました。新たな大学での学びは、薬や治療では治せない心の平静と喜びを取り戻してくれました。

大学院に進み、私はバレエの振付家、ジョージ・バランシンの研究を行いました。果たしてこの研究が大学院での研究としてふさわしいのかと考えもしましたが、ご指導いただいた大辻都先生に後押ししていただき、さらに全く予想していなかったフランス文学との関りに気づかせていただき、新たな視点で研究を進めることができました。大学院とはそういうところなのだと、これから大学院に進まれる皆様には先輩としてお伝えできると思います。大学院は、何かを教えてもらうところではありません。豊富な知識と経験を持つ先生方は、私たちに自ら気付くヒントを示してくださいます。そして気づいた時の喜びを経験させてくれるのです。楽しみにしていてください。

研究を進める中、周りから、今更そんな研究をして何かの役に立つの?そのような言葉に出くわすこともありました。当然でしょう。私自身もそう思いました。

ですが、私の研究するバランシン―彼は振付家として偉業を成し遂げた人物です、その彼はこういいました。私はバレエを創作するとき、振付のことを考えるのではない。美しい音楽を、その作曲家のことを考える、そしていかにその美しさを表現するかを考えると。
私はバランシンのことを想い、研究を進めました。

そして本日修了の日を迎えることができました。と同時に新たな出発点に立ちました。
さて、研究は問いを立てるところから始まります。ここで私は自らに問いたいと思います。私にはこれから何ができるのかと。本学での学びが私を救い、人生を豊かにしてくれたことは間違いありません。今度は私がそれを、人に、社会にどう還元できるのかと。

またこの10年間で得られたことは学問だけではありません。芸術や美の力は崇高なものですが、特に大学院で得られた人間関係は何物にも代えがたいものでした。限られたゼミの時間の中で、お互いの研究を知り、認め合えたこと、時に予想外の質問や、鋭い指摘を受けたこと、その喜びは格別のものでした。
ここで更に問いたいと思います。一人では到達できなかった学問の喜びを、これからもこの仲間とともに発展させることはできないだろうか。

そして、本日1,048名が卒業を迎えます。顔を知らない仲間がほとんどです。しかし、想いは必ず繋がっていると信じています。私たちは皆、これより、本学卒業生・修了生という名とともに本学の理念を受け継いで生きていくことになります。
そこで最後にもう一度、自らに問いかけたいと思います。広く学びと出会の場を与えてくれた本学にいかに恩返しができるだろうか、それはどのようなことだろうか。

最後になりましたが、私たちを支えてくださった方々のことをいつまでも忘れてはなりません。惜しみなくご指導してくださった先生方や事務的なサポートをしてくださった職員の皆様、共に学んだ仲間や家族のことを。ここに心より深く感謝申し上げ、修了の辞とさせていただきます。

令和5年3月18日
令和4年度修了生・卒業生代表
京都芸術大学 芸術環境研究領域
中瀬古 智子



オンラインで

Web卒展に参加しよう!



▼「京都芸術大学(通信教育課程)2022年度WEB卒業・修了制作展」(〜3月31日(金)18:00)


▼2023年度出願手続きはこちら

この記事をシェアする