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2023年10月20日
【通信制大学院】作家をめざす(かもしれない)あなたへ
通信制大学院文芸領域の教員による大学院での学びを紹介するブログをお届けします。文芸領域では入学後、以下いずれかのゼミに分かれて研究・制作を進めます。
小説、エッセイ、コラム、取材記事など、広義の文芸創作について、実践的に学びます。
企画、構成、取材、ライティングから編集レイアウトまで、有効な情報発信とメディアのつくり方を実践的に学びます。
今回は文芸領域長の辻井南青紀先生によるブログをご紹介します。
—
このブログ記事をお読みくださっている皆様はきっと、「ことばで何かを表現すること」に、興味や関心があるのだと思います。
ほんとうに素晴らしいですが、よく考えてみると、とても不思議な事です。
他にも面白いことやチャレンジしたくなることが世の中にはたくさんあるのに、何かを書いて表現し、それを誰かに読んでもらいたい、という気持ちが、なぜ、皆様の中に生まれたのでしょうか。
それは、どこか外からやって来たものなのでしょうか。
ことばの表現を本格的に志そうとしている皆様おひとりおひとりの内奥には、絶対に消えない「ともしび」のようなものがあるように思います。
内側から突き上げるマグマのような、純粋エネルギーの塊です。
いったいどこからやって来たのか。そもそも、なぜ自分の奥底にあるのか。自分でもわからない、不思議な何かです。
……いったい、何なのでしょう?
十九世紀にロシアの民話を研究したウラジーミル・プロップという人が、『魔法物語の起源』という本の中で、面白いことを述べていました。
民話や寓話、いわゆる昔話にはいろんなパターンがあるよ、ということを、調査研究し分類した大変面白い本なのですが、ある種類の民話には、こんな謎めいたメッセージが、結構はっきりと読み取れるのだそうです。
曰く、『おまえの家の中にある、お前の知らないものを、よこせ』
……いったいどういう意味なのでしょう?
これは、ご自身の内奥に表現の謎めいた純粋エネルギーを抱いている皆様に、実はよくあてはまるキーフレーズではないかと、私は感じています。
すなわち、「あなたの中にある」「あなたの知らない何か」を、なんとか「形にして」「誰かに伝えようとする」ということ。
単に言いたいことを言うのでも、あるいは厳密には「自己表現」ですらないような、切実な何かを。
……御託はいいから、何をどうすれば作家になれるのか、早く教えてくれ、というお声もあるかもしれません。
何をどうすればもっとも手っ取り早く、ことばの表現の道で何かをなしえるのか、そうしたことを、なるべく具体的に手ほどきして支援するのがこの大学院文芸領域ですけれども、でもほんとうは、すべての芸術の道に、手っ取り早い近道や早道は、ありません。
誰にもわからない、自分にすらよくわからないかもしれないようなことを、誰もいない荒野の中で、ひとりで始めて、歩き始めてみて、ずっとずっと行く。それを歩んでいることが自分にしかわからないような種類の、輝かしい道があります。
その先に何があるのかは自分にしか見えないけれど、でも、その道はきっと輝くような希望に満ちています。
あなたの作品が、あなたを作る。知らないどこかへ向かって、ぐいぐいあなたの背中を押していく。その手応えを、あなたは確かに感じるでしょう。
ここまでお読みくださったあなたが、こちらの世界に意気揚々と足を踏み入れて、ご自身の奥底に眠る純粋エネルギーを、ことばの表現において思いきり輝かせることを、心から願っています。
あなたにしかできないことを、どうか、これから先の輝かしい人生において実現させてください。
その気になれば本当はすぐにでも始められて、あなたの素晴らしい生涯を強く導き続けるかもしれない事が、今、目の前にあります。
辻井 南青紀
——————————————————
2023年10月26日(木)19:00~20:30
文芸領域 説明会
担当:辻井 南青紀先生
2023年11月22日(水)19:00~20:30
文芸領域 クリティカル・ライティングゼミ特別講義
「人の心を動かす文章とは~自ら発信する時代のライティングスキル~」
担当(クリティカル・ライティングゼミ教員):田中尚史先生、野上千夏先生
2023年11月29日(水)19:00~20:30
文芸領域 小説創作ゼミ特別講義
「物語創作ジャンルの近未来 ~書き手が育つ「場」の実現にむけて~」
担当(小説創作ゼミ教員):池田雄一先生、藤野可織先生、松岡弘城先生
↓説明会の参加申し込みは文芸領域ページ内「説明会情報」から!
▼京都芸術大学大学院(通信教育)webサイト 文芸領域ページ
小説創作ゼミ
小説、エッセイ、コラム、取材記事など、広義の文芸創作について、実践的に学びます。
クリティカル・ライティングゼミ
企画、構成、取材、ライティングから編集レイアウトまで、有効な情報発信とメディアのつくり方を実践的に学びます。
今回は文芸領域長の辻井南青紀先生によるブログをご紹介します。
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このブログ記事をお読みくださっている皆様はきっと、「ことばで何かを表現すること」に、興味や関心があるのだと思います。
ほんとうに素晴らしいですが、よく考えてみると、とても不思議な事です。
他にも面白いことやチャレンジしたくなることが世の中にはたくさんあるのに、何かを書いて表現し、それを誰かに読んでもらいたい、という気持ちが、なぜ、皆様の中に生まれたのでしょうか。
それは、どこか外からやって来たものなのでしょうか。
ことばの表現を本格的に志そうとしている皆様おひとりおひとりの内奥には、絶対に消えない「ともしび」のようなものがあるように思います。
内側から突き上げるマグマのような、純粋エネルギーの塊です。
いったいどこからやって来たのか。そもそも、なぜ自分の奥底にあるのか。自分でもわからない、不思議な何かです。
……いったい、何なのでしょう?
十九世紀にロシアの民話を研究したウラジーミル・プロップという人が、『魔法物語の起源』という本の中で、面白いことを述べていました。
民話や寓話、いわゆる昔話にはいろんなパターンがあるよ、ということを、調査研究し分類した大変面白い本なのですが、ある種類の民話には、こんな謎めいたメッセージが、結構はっきりと読み取れるのだそうです。
曰く、『おまえの家の中にある、お前の知らないものを、よこせ』
……いったいどういう意味なのでしょう?
これは、ご自身の内奥に表現の謎めいた純粋エネルギーを抱いている皆様に、実はよくあてはまるキーフレーズではないかと、私は感じています。
すなわち、「あなたの中にある」「あなたの知らない何か」を、なんとか「形にして」「誰かに伝えようとする」ということ。
単に言いたいことを言うのでも、あるいは厳密には「自己表現」ですらないような、切実な何かを。
……御託はいいから、何をどうすれば作家になれるのか、早く教えてくれ、というお声もあるかもしれません。
何をどうすればもっとも手っ取り早く、ことばの表現の道で何かをなしえるのか、そうしたことを、なるべく具体的に手ほどきして支援するのがこの大学院文芸領域ですけれども、でもほんとうは、すべての芸術の道に、手っ取り早い近道や早道は、ありません。
誰にもわからない、自分にすらよくわからないかもしれないようなことを、誰もいない荒野の中で、ひとりで始めて、歩き始めてみて、ずっとずっと行く。それを歩んでいることが自分にしかわからないような種類の、輝かしい道があります。
その先に何があるのかは自分にしか見えないけれど、でも、その道はきっと輝くような希望に満ちています。
あなたの作品が、あなたを作る。知らないどこかへ向かって、ぐいぐいあなたの背中を押していく。その手応えを、あなたは確かに感じるでしょう。
ここまでお読みくださったあなたが、こちらの世界に意気揚々と足を踏み入れて、ご自身の奥底に眠る純粋エネルギーを、ことばの表現において思いきり輝かせることを、心から願っています。
あなたにしかできないことを、どうか、これから先の輝かしい人生において実現させてください。
その気になれば本当はすぐにでも始められて、あなたの素晴らしい生涯を強く導き続けるかもしれない事が、今、目の前にあります。
辻井 南青紀
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説明会情報
2023年10月26日(木)19:00~20:30
文芸領域 説明会
担当:辻井 南青紀先生
2023年11月22日(水)19:00~20:30
文芸領域 クリティカル・ライティングゼミ特別講義
「人の心を動かす文章とは~自ら発信する時代のライティングスキル~」
担当(クリティカル・ライティングゼミ教員):田中尚史先生、野上千夏先生
2023年11月29日(水)19:00~20:30
文芸領域 小説創作ゼミ特別講義
「物語創作ジャンルの近未来 ~書き手が育つ「場」の実現にむけて~」
担当(小説創作ゼミ教員):池田雄一先生、藤野可織先生、松岡弘城先生
↓説明会の参加申し込みは文芸領域ページ内「説明会情報」から!
▼京都芸術大学大学院(通信教育)webサイト 文芸領域ページ
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