文芸領域
Creative Writing Field
自らの内にある豊かな
「言葉の世界」を
広げ、
深めて、
「言葉のプロ」を目指す。
作家になりたい方、あるいは編集制作や記事執筆で独自のメディア活動を志す方など、書くことを仕事やライフワークとしたい方を対象とする、本格的な指導の場です。「小説創作」または「編集制作」ゼミに所属して各分野の専門家の指導を受けつつ、皆さんの内に眠っている「言葉の世界」をより豊かにし、高め、ゆくゆくはそれぞれの道のプロフェッショナルを目指せるレベルへの到達を目指します。
本領域の特長
-
「小説創作」「編集制作」
各ゼミでの実践的な学び -
社会で役立ち、
人生を豊かにする表現・編集力が
身につくカリキュラム -
地域・世代を超えて
文芸を学び合う
オンラインコミュニティ
領域長メッセージ
言葉の世界の学びを通して
自分の人生を変えようとする方へ。
作家になったひとたちにそのキャリアのプロセスを尋ねると、たいてい「作家は自分で勉強して自力でなるもの」という答えが返ってきます。これまではそれでよかったのかもしれませんが、これからは、もう違います。たとえば国外では、英米をはじめとして、大学や大学院における文芸創作教育は過去数十年、真剣に追求されていて、大学院から第3世代の作家たちを輩出しているケースさえあるのです。この大学院で、本気でことばの世界を目指す皆さんの指導に当たるのは、いずれも指導経験の豊富な現役作家、気鋭の評論家、編集者。「オンライン」の仕組みをフル活用しつつ、学生の皆さんの作品の質を実質的に向上させるため、たとえば集団的な合評制度や、個々の作品への複数の「目利き」による学内サイトでの「講評」システムなど、より効果的な学習の仕組みを整えてゆきます。
これまでは自分の作品を「気が向いた時」「好きなだけ」書く、という取り組みだったのが、自作を世に問う、あるいは自分にとってより意味のある作品を書こうとする、本領域での意識的かつ実践的な取り組みを通して、よりレベルの高い作品作りを目指せます。
辻井 南青紀
1967年生まれ。早稲田大学第一文学部仏文専修を卒業後、読売新聞記者、NHK番組制作ディレクターを経て、2000年に『無頭人』でデビュー(朝日新聞社)。その後、『アトピー・リゾート』『イントゥ・ザ・サーフィン』『ミルトンのアベーリャ』(以上講談社)、『蠢く吉原』(幻冬舎)、『結婚奉行』(新潮文庫)など、現代文学からエンタテインメントジャンルまで幅広く執筆。
教員一覧
池田 雄一
1969年、栃木県鹿沼市生まれ。1994年に「原形式に抗して」により、第37回『群像』新人文学賞の評論部門を受賞。文芸評論家として、批評、書評、文芸時評などを執筆。
著書に『カントの哲学ーシニシズムに抗して』(河出書房新社)、『メガクリティック―ジャンルの闘争としての文学』(文藝春秋)がある。また共著に『思想としての3.11』(河出書房新社)、『戦後思想の再審判―丸山眞男から柄谷行人まで』(法律文化社)などがある。
これまでに早稲田大学、東京工業大学、東京大学などで非常勤講師をつとめる。また2013年から2017年にかけて東北芸術工科大学にて准教授をつとめる。現在は、法政大学、武蔵野大学、京都芸術大学で非常勤講師を、朝日カルチャーセンター新宿教室にてオンライン講座の講師をつとめている。専門領域は現代文学、美学、哲学、政治思想など。
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藤野 可織

京都市生まれ。同志社大学大学院修士課程修了。2006年「いやしい鳥」(『いやしい鳥』河出文庫)で第103回文學界新人賞を受賞し、作家デビュー。13年「爪と目」(『爪と目』新潮文庫)で第149回芥川龍之介賞を受賞。14年『おはなしして子ちゃん』(講談社文庫)で第2回フラウ文芸大賞受賞。他の著書に『ドレス』(河出文庫)、『私は幽霊を見ない』(KADOKAWA)、『ピエタとトランジ〈完全版〉』(講談社)、『来世の記憶』(KADOKAWA)など。
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松岡 弘城
1967年神戸生まれ。1991年京都大学法学部を卒業後、日本経済新聞社に入社し、新聞記者として勤務。文化部で書評欄の運営、作家の取材、連載小説の編集作業に携わる。2005年に退職、現在はフリーランスで小説の編集とコラムの執筆を手がけている。
田中 尚史

1967年生まれ。出版社勤務、書籍編集者。京都大学大学院文学研究科フランス語学フランス文学専攻修士課程修了。
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野上 千夏
編集者。1988年立教大学文学部日本文学科卒。大手出版社にて婦人実用書を中心に多くのジャンルの書籍やムックを手掛けている。現在までに担当した本は300冊以上。
ゼミ紹介
小説創作ゼミ
小説、エッセイ、コラム、取材記事など、広義の文芸創作について、実践的に学びます。
こんな方におすすめ
- 作家やシナリオライター、評論家、書評家など、言葉の表現の世界に進んで、仕事にしたい方。
- 作家デビュー、あるいは文章を書くキャリアをスタートさせていて、自分自身の表現を突き詰めたい方。
【仕事に活かしたい方】
【働きながら書きつづけたい方】
- 働きながらも、自分が感じていることを形にして、広く世の中に読まれたい方。
- 独学で文学や物語を書いたり、探究したり、新人賞への応募や同人誌の活動などをしているが、「ひとりでできることには限界がある」と感じている方。
【書くことで人生を豊かにしたい方】
- 文学や小説に情熱を持っていたが、家庭や仕事が忙しくて時間がとれず、これから物語や小説について本格的に学んでみたい方。
- 文学や映画や広義の物語が好きで、自身も作品を書きあげる力をつけたい方。
ゼミの特長
- 学友同士での合評や相互コメントに加え、各種新人文学賞などの下読み委員レベルの若手作家、編集者、文学研究者からのアドバイスを受ける機会を設け、多角的な気づきを得られます。
- 文学を研究するのみならず、小説家と文芸評論家により、物語創作における理論と実践の両面からゼミ指導を受けられます。
【教員・学友との学び合い】
【基礎から実践まで】
- 小説や物語の持つ原理や法則、仕組み、構造を、基本からじっくり学べます。
- 自作を書きあげるために必要な技術について、実作を重ね、書き手として成長するためのヒントやきっかけ、経験を得られます。
【学べる多彩なジャンル】
小説、フィクションのみならず、文芸、美術、映画などの評論やエッセイ、非フィクション系のさまざまなライティングを実践的に学べます。
編集制作ゼミ
書籍編集、雑誌編集を軸に、広義の編集制作について、実践的に学びます。
こんな方におすすめ
【仕事に活かしたい方】
出版業界で編集の仕事をしたい方。企業等の広報担当として社内報やメルマガ、チラシの編集など、言葉を使う優れたコンテンツを作りたい方。
【働きながら学びたい方】
書籍・雑誌に限らず、WebサイトやSNSなどの言葉を使う場面で編集力を活かし、情報発信をしたい方。
【伝える力で人生を豊かにしたい方】
趣味や個人の活動記録をZINEなどの冊子にまとめてみたい、仲間とつくる同人誌をもっと面白くするために見せ方のスキルをつけたい方。
ゼミの特長
- 学生同士で同じ素材をつかって各自が制作をし、「どう見せるか」意見を交わしながらより良い制作を完成するための力を身に付けます。
- プロの編集者から、編集制作における理論と実践の両面からゼミ指導を受けられます。
【教員・学友との学び合い】
【基礎から実践まで】
企画・構成・取材・原稿整理・組版レイアウト・校正まで、編集にかかわる技術を基礎から一通り身につけられます。
【学べるジャンル】
フィクションの構成はもちろん、評論・エッセイからビジュアルを使った実用書まで、ノンフィクション全般の制作に必須の知識が学べます。
カリキュラム
分野特論科目ではテキスト・参考文献で学びレポート課題によるアウトプットで知識や考えを深めます。
演習科目と研究科目では2年間を通してのゼミ指導と報告書作成を重ね、最終的な修士制作・論文にまとめ上げます。
創作や編集に必要な 基礎知識と 広い視野を身に付ける 分野特論 |
小説創作系 (特論Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ) |
「文芸領域」における物語創作・編集制作などの専門的な学びに際して、これらを習得し自らのものとするための、幅広い土台作り/基礎固めを行う。たとえば、「教員によるブックリスト」をもとに、書くために読み、幅広く学ぶ、「文芸特論Ⅰ・Ⅱ」“文芸創作のための基礎理論(純文学/現代文学編)”。あるいは「物語の原理と構造」を他ジャンルから幅広く学ぶ「文芸特論Ⅲ」、エッセイやコラム、取材記事など非フィクション系のテクスト執筆について学ぶ「文芸特論Ⅳ」など、文芸作品の執筆を準備するための基礎的な知識、ものの考え方などを会得することを目指す。広い視野から物語について考え、また最先端の問題を扱うための条件も獲得することを目的とする。 |
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編集制作系 (特論Ⅴ、Ⅵ) |
書籍編集、雑誌編集などのカテゴリを軸としつつ、紙媒体・電子媒体を問わず「広義の編集行為」について、実践的に学ぶことで、学生自身が自らメディアを興し、社会の中で活動してゆけるためのさまざまな知と技術を習得する。 | |
制作の方向性を探る 演習 | 小説創作ゼミ | 「文芸領域」における物語創作の専門的な学びに際して、これらを習得し自らのものとするため、通年での持続的指導と創作・制作活動を通じて、幅広い土台作り/基礎固めを行う。また、物語創作の専門的な学びを、より確かなものとしてゆく。まずはショートショートなどの短い物語から始め、ひとつの物語を最初から最後まで書く「成功体験」を得たうえで、徐々に長いストーリーを書けるようにチャレンジする。 |
編集制作ゼミ | 「文芸領域」における編集制作の専門的な学びに際して、これらを習得し自らのものとするため、通年での持続的指導と創作・制作活動を通じて、幅広い土台作り/基礎固めを行う。また、編集制作などの専門的な学びを、より確かなものとしてゆく。1年目(演習)は基礎的なワーク、2年目(研究)では実際に冊子を編集制作します。加えて、コピーライティングのトレーニングも通年で行います。 | |
自己のテーマをかたちにする 研究 | 1年次からジャンルごと(小説創作/編集制作)に分かれてスタートしているゼミを、基本的には踏襲したうえで受講する。「分野特論」および1年次のゼミでの学びを土台としつつ修了制作に取り組むことで、自らの創作・制作活動のレベルを高め、修了後にも社会的に通用するものとなるよう尽力する。年間を通じ、「修了制作の計画書提出~作品の構想~執筆~中間総括~第一稿完成~改稿~修了制作審査(口頭試問)および合評」といったプロセスを経て、修了制作の完成までの持続的な指導を受ける。最終成果物(修了制作)は、「作品※」と「制作研究ノート(4,000字程度)」の2点。 ※「作品」の例:小説40,000字程度(400字詰原稿用紙換算で100枚程度)、ノンフィクション各種ジャンル20,000字程度(400字詰原稿用紙換算で50枚程度) |
学び方
「分野特論」科目
オンデマンド動画教材(約2週間)またはリアルタイムでオンライン授業を受講後、初回提出があります。教員からの全体講評(中間講評)をリアルタイム配信で視聴し、全体講評をふまえて最終成果に集約します。この流れを3か月間で履修します。
リアルタイム配信のオンライン授業は特段の理由がない限り、指定の日時に出席が必須です。
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01
動画・テキスト等による
知識学習 -
02
出された課題に対しての初回
提出(レポート・作品等) -
03
リアルタイム配信の動画に
よる全体講評(中間講評) -
04
最終成果に集約
-
05
教員による評価コメント
「演習」「研究」科目
リアルタイムでのオンライン授業(週末1日×年間6~8回)と各自の研究・制作を並行して進めます。授業では、講義、グループワークやグループ単位でのディスカッション、作品指導などを通じて、演習および研究ゼミにおける持続的な創作・制作についての学びを高めていきます。
年間のスケジュールモデル
(月) | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 1 | 2 | 3 | |
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1年次 |
芸術文化論特論I、Ⅱ(各2単位) | 動画視聴およびレポート提出 | 動画視聴およびレポート提出 | ||||||||||
制作行為原論Ⅳ(2単位) | 初回提出/中間講評/最終提出 | ||||||||||||
文芸特論I、Ⅱ(各2単位) | 初回提出/中間講評/最終提出 | 初回提出/中間講評/最終提出 | |||||||||||
文芸演習(8単位) | 1日間 | 1日間 | ※1 | 1日間 | 1日間 | 1日間 | 1日間 | 1日間 | |||||
2年次 |
制作行為原論Ⅴ(2単位) | 初回提出/中間講評/最終提出 | |||||||||||
文芸特論Ⅴ(2単位) | 初回提出/中間講評/最終提出 | ||||||||||||
文芸研究(8単位) | 1日間 | 1日間 | ※1 | 1日間 | 1日間 | 1日間 | 1日間 |
1:小説創作(純文学)ゼミのみ、6月も開催。
演習/研究科目では、スクーリングとは別に前期末と後期末にゼミ合評会および領域合評会を実施予定です。
開講期は現時点(2022年8月現在)の予定のため、変更となる場合があります。
説明会情報
教員インタビュー
未経験の方も大学で基礎から学び、最短4年で修士取得できます。
大学、短期大学、専門学校等をすでに卒業している方は、京都芸術大学通信教育部(大学)に3年次編入学ができるため、最短2年間で専門分野の基礎を身に付けられます。大学入学から大学院修了まで、最短4年間で学ぶことができます。
また、通信教育部卒業生は大学院入学時に入学金10万円が免除されます。
文芸領域へ入学するために基礎から学びたい方は、芸術学科文芸コース、アートライティングコース(下記、関連リンク参照)がおすすめです。
関連リンク
よくあるご質問
- 大学(本学通信教育部文芸コース、アートライティングコース)との違いを教えてください。
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大学は、基礎から網羅的に文芸やアートライティングを学ぶ場です。大学院は、創作・制作テーマが決まっている方が自身にとっての確かな手本を見つけ、社会において実践力を身に付ける場です。ご自身が文芸創作および編集制作ジャンルにおいて、どのようなことをやりたいか、という大まかな方向性さえ決まっていれば、既存の文学部や創作系学部のご出身でなくとも大丈夫です。あたらしく創作や編集を志すひとにとっての「立ち位置」「足場」をいち早く定めることができるようなカリキュラム、そしてこれが定まったあとは自作や制作に集中できる環境を、本領域では整えています。