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通信制大学院

2023年10月24日

【通信制大学院】たった一人に戻るために―文芸領域 小説創作ゼミ1年目の様子

「文芸演習(小説創作ゼミ)」研究におけるコミュニケーションについての動画教材



小説創作ゼミ1のクラスは池田雄一先生と二人で担当しています。ゼミでは学生さんたちの相談に乗ったり、書かれたものを読んでその作品のすばらしいところともしかしたらここはこうしたらいいんじゃないかなと思うようなところを言葉にして伝えてみたりして、なんとか力になれるよう試みています。学生さんが関心を持っていること、考えていることを聞くのは楽しいです。また、池田先生の知識や関心をコンパクトな講義のかたちで私と学生さんたちに共有してくださる時間もとても面白くて、いつも楽しみにしています。

学生さんたちは年齢も住んでいる場所も日々の生活のあり方もいろいろで、月に一度、パソコン越しに顔を合わせて小説の話をするのは本当に不思議なことだと思います。私たちはお互いのことを一生知らずに生きて死んでもおかしくなかったし、もし出会っていたとしてもそれが小説を書いたり読んだりするこの場所でなければ互いに対等な立場ではなかったかもしれません。

学生さんたちの話を聞き、書いたものを読んでいると、情報を小説のかたちにするために誰もがあれこれ工夫したり苦労したりしていることを実感します。そうそう、私も、と思うことばかりです。小説は基本的にはたった一人で孤独とともに書くしかないので、ときにはついつい立ち止まってしまう学生さんもいます。そうそう、私もいつもそう、と思います。私ができる助言はたかが知れているのですが、ひとつだけ自信をもって言っていることは「不完全でもいいからとにかく書いて出しちゃいましょう」です。私にとってはそれはすごく難しいことでなかなかできていないために、私はいつも自分自身に向かって言っていると感じながら言います。きっと私はそれを言うためにこの場所にいるのだと思っています。

私にもそれぞれの学生さんたちにも、きっとなんらかの理想があるはずです。でも自分の思い描くとおりの理想の小説を実際に書きあげることはないでしょう。私たちはそのときそのときの、持てる力の限界までしか小説の精度を高めることはできず、それは夢の実現にはほど遠いにちがいありません。私には私の、学生さんたちには学生さんたちの書けるものしか書けません。それは書きたいものとは少しずれがあるかもしれませんが、しかたがありません。あきらめて書きましょう。なかなかあきらめられませんが、最後にはあきらめるしかないのです。

ここは、一生続くそんな楽しい絶望をちょっとのあいだだけ分かち合い、またたった一人へと戻る元気を生成するための場所です。そういう場所が必要かな、と思ったら来てもらえたらうれしいです。

藤野可織

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説明会情報


2023年12月12日(火)19:00~20:30
文芸領域 入学説明会
担当:辻井 南青紀先生

↓説明会の参加申し込みは文芸領域ページ内「説明会情報」から!

▼京都芸術大学大学院(通信教育)webサイト 文芸領域ページ


文芸領域では入学後、以下いずれかのゼミに分かれて研究・制作を進めます。

●小説創作ゼミ


小説、エッセイ、コラム、取材記事など、広義の文芸創作について、実践的に学びます。

●クリティカル・ライティングゼミ


企画、構成、取材、ライティングから編集レイアウトまで、有効な情報発信とメディアのつくり方を実践的に学びます。

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