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食文化デザインコース

2024年06月25日

【食文化デザインコース】料理人にとって大事な学びとは~前編~

食文化デザインコース専任教員の宇城安都美です。

食文化デザインコースには様々なキャリアを持った方々が学んでいます。
食業界ですでにキャリアを持っている方、地域や企業で食を通じた仕事をされている方、直接的には食の仕事をしていないけれど、日々の食をより楽しみたいと思っている方もいらっしゃいます。

食文化デザインコースでは調理技術に関する直接的な科目はないのですが、プロの料理人の方にも学び深い科目がたくさんあります。料理人は調理技術以外にどんな学びが必要なのでしょうか?今回は私が以前携わっていた料理人コンペティション『RED U-35 (RYORININ’s EMERGING DREAM U-35)』を取り上げながら、料理人にとって大事な学びについて考えようと思います。

RED U-35
RED U-35公式WEBサイト

RED U-35とは、35歳以下の新時代の若き才能を発掘する、日本最大級の料理人コンペティション。「食で未来と世界を変えたい」と本気で信じ挑む料理人たちと出会いたい。希望の星を探したい。夢と野望を抱く、新しい世代の、新しい価値観の料理人(クリエイター)を発掘し、世の中に後押ししていくため、これまでの料理コンテストとはまったく異なる視点で、日本の食業界の総力を挙げて開催している料理人コンペティションです。

RED U-35の始まりは、昨今料理人を目指す人が減ってきた。このままだと、外食文化がすたれてしまう。料理人は飲食店では厨房の中にいて、お客様と接することが少ないこともあり、料理人とはどんな人たちなのかもっと知ってもらうことが必要なのではないか。料理人がスターになれば、将来子どもたちの憧れの職業の1つになるかもしれない。そうすれば外食はもっと盛り上がる。料理人を応援していこう。という思いから始まりました。2013年にスタートし、今年の2024年で11回目を迎えます(コロナの影響で2020年は開催なし)。

 今年2024年の応募テーマは「自分らしさ」でした。毎年応募テーマが発表され、まずは書類審査(レシピ・作文)、二次審査では映像審査(料理や思いを映像で伝える)、まではおおよそ大会が始まった当初から同じ審査方法です。2019年までは三次審査で試食審査が行われることが多く、2021年以降は三次審査ではディスカッション審査が行われ、最終審査はいつもサプライズ審査となり直前に審査方法が発表されます。

 

 RED U-35は「料理」のコンペティションではなく、「料理人」コンペティションなのです。参加資格は35歳以下の料理人。料理ジャンルも分けずに一斉に審査されますし、地元のラーメン屋の料理人でもファインダイニングのオーナーシェフでもフリーランスで料理人をしている人も参加OKです。現時点で料理技術が一番高い人が選ばれるわけでもなく、食の知識を一番持っている人が選ばれるわけでもありません。これからの日本の食業界を担っていく料理人の卵を発掘することが目的です。

 RED U-35はその場しのぎでは立ち向かえない、傾向と対策がとれないコンペティションです。最終審査はサプライズ審査となっており、直前に審査方法が発表されます。これまでの人生で料理技術に関わらずさまざまなことに関する学び方、出会った師匠や先輩、同僚、後輩、料理以外に自分が影響を受けたもの、センス、素材への知識と向き合い方、食べ手との向き合い方、日頃の料理人という仕事への向き合い方、それらすべてが自身の能力であり、セレンディピティと出会う力なのです。その集大成が書類審査、映像審査、試食審査、最終審査に現れてきます。





このようなコンペティションに挑むのはどんな料理人で、どんな実力がある人たちなのでしょうか。ひとつの審査会を取り上げて説明することはできませんが、少しこのことが垣間見られるイベントが2024年5月に行われたのでそちらのレポートをしようと思います。

「料理人にとって大切な学びとは~後編~」に続きます。

写真提供:RED U-35実行委員会

 

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