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芸術教養学科

2024年08月20日

【芸術教養学科】「○○演習」って、何をする科目?

芸術教養学科 岩元宏輔


大学選びや授業選びの際、シラバスを見ていると、時々目にする「○○演習」という科目名。「演習」と聞いて、「一体どんなことをするんだろう?」と疑問に思ったり、不安になったりしたことはありませんか?特に初めて目にすると、「普通の講義とは違うのかな?」「難しい内容だったらどうしよう…」と思い、つい敬遠してしまうこともあるかもしれません。

そんな「演習」という科目ですが、実はとても興味深く、やりがいのある内容が詰まっていたりするのです。芸術教養学科では学科専門教育科目として「芸術教養演習1」「芸術教養演習2」という2つの演習科目があります。今回は、私が科目責任者を務めている「芸術教養演習1」という科目を例に挙げて、どのようなことを行うのか、具体的にご紹介していきます。このブログを執筆している現在、この演習は夏期授業期間の真っ最中で、学生同士のディスカッションが無事終了したところです。ブログがアップされる時にはレポート作成の段階に入っていることでしょう。皆さんも、このブログを読み終えるころには、少しでも「演習って面白そうだな」と思っていただけると嬉しく思います。

何をやるのか?
「芸術教養演習1」では、学生一人ひとりが自分の興味や関心に基づいて題材を選び、その題材について調査を行い、最終的にレポートとしてまとめることが目標となります。具体的なテーマとしては、現在「伝統行事」「食文化」「工芸・美術・プロダクト」「景観」の4つのジャンルが設定されています。学生の方々は、この中から自分が特に関心を持っているジャンルを選び、さらにその中で具体的な題材を絞って調査を進めます。

例えば、「伝統行事」のジャンルを選んだ場合、国内外のさまざまなお祭りや儀式などについて調べることができます。「食文化」では、各地の郷土料理や、特定の地域や時代に根付いた食の習慣などを取り上げることができます。「工芸・美術・プロダクト」では、伝統的な工芸品から現代アート、さらには最新のデザインプロジェクトまで、幅広い対象範囲の制作物を扱うことができます。「景観」のジャンルでは、国内外の美しい景勝地や都市計画・まちづくりの事例などを調査し、景観と文化の関わりについてなどを深く考察したります。

どうやるのか?
それでは、具体的にこの演習がどのように進行するのかを見ていきましょう。

ステップ1:自己紹介と調査テーマの選定
最初に、授業サイト上で自己紹介とともに、自分が選んだジャンルと題材の概要を投稿してもらいます。題材選びで大切なことは、「自分はなぜこのジャンル・題材に興味を持ったのか?」という動機をしっかり考えることです。単に「面白そうだから」「身近だから」という理由でも構わないのですが、少しでもテーマに関連する背景や経験があると、調査がより深みを増します。

ステップ2:グループ分けとオンラインディスカッション
次に、皆さんの提出した題材を確認し、同じジャンルを選んだ学生たちを5名前後のグループに分けます。グループが決まったら、いよいよディスカッションがスタートです。このディスカッションは、オンラインの掲示板上で行われ、約2週間にわたって続けられます。テキストベースのやりとりで進めるため、時間や場所にとらわれずに自由に意見交換ができます。リアルに集まる必要はなく、Zoomなどのビデオツールも使いません。生活スタイルが違っていても、あるいは海外在住の学生の方で時差があっても、対等にディスカッションに参加できます。

ディスカッションでは、お互いの調査テーマに対して意見や質問を投げかけ合います。例えば、ある学生が「この祭りの起源をより深く調べたい」と言ったときに、他のメンバーが「その祭りと地域の歴史的背景はどう関係しているの?」と質問することで、調査がより具体的で深いものになっていきます。このように、他者の視点からの質問やコメントを得ることで、自分一人では気づけなかった点に目を向けることができるのです。また自分の調査についての関連情報を得られることもあります。

ステップ3:レポート作成
ディスカッションを通じて集めた情報や新たに得た視点などをもとに、最終的に各自がレポートを作成します。ここで重要なのは、ディスカッションでのやりとりを単にレポートに反映させるだけでなく、自分なりに情報を整理し、新たな知見を盛り込むことです。レポートは単なる事実の羅列ではなく、調査対象に対する自分の考察や意見をしっかりと述べる場です。ディスカッションを経て深まった理解を、いかにしてレポートに反映させるかがポイントとなります。

演習の魅力やメリット
この「芸術教養演習1」の最大の魅力は、さまざまなジャンルについて深く学べるだけでなく、他の学生との意見交換を通じて新たな発見ができる点です。例えば、他のメンバーが持っている情報や視点から、自分では気づかなかった視点に気づけたり、調査の方向性を見直したりすることができます。また関心が近い人同士でのコミュニケーション機会が得られるため、演習科目をきっかけに学友ができることもあるようです。

さらに、この演習で得た知識やスキルは、卒業研究にも大いに役立ちます。これまでの学生たちからも、「演習を通じて得た経験が、卒業研究の質を向上させた」といった声があがっています。特に、自分の興味を深める過程で得られる「調査」や「分析」の経験は、卒業後のキャリアにも影響するでしょう。

最後に
「演習」という言葉が持つ曖昧さから、授業選択の際に少し不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、この「芸術教養演習1」や「芸術教養演習2」を通じて得られる学びは、単なる知識の習得にとどまらず、ご自身の成長や新たな視点と出会う機会を提供してくれます。大学での学びの醍醐味を味わえる科目と言ってもよいのではないでしょうか。ぜひチャレンジしてみていただければと思っています。

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