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2024年08月29日
【食文化デザインコース】食べられる課外授業「御菓子丸 杉山早陽子氏の世界観」開催
こんにちは。食文化デザインコースの教員 中山晴奈です。
7月末に京都市内のアートギャラリーにて、和菓子作家の杉山早陽子さんによる課外授業「御菓子丸 杉山早陽子氏の世界観〜和菓子を通してみる自然」を開催しました。 今回はその様子をレポートします。
杉山さんは2021年にNHKで放映された「美の壺 和菓子」編で、和菓子の表現を次世代に継ぐものとして紹介されたこともある注目の和菓子作家です。食文化デザインコースの学生さんにとっては、「食文化デザイン入門」の8章で目にしますので、すでにおなじみとなっていますね。御菓子丸のお菓子はウェブから予約するか、月に数日のみの喫茶イベントでしかお目にかかれない、特別なお菓子です。今回は杉山さんに直接お会いしてお話を聞くことができるだけでなく、なんとその場で作りたてのお菓子もいただけるということで、真夏の京都の昼過ぎでしたが、30名近い学生さんたちが集まりました。
お話は杉山さんの和菓子との出会いから、和菓子作家として活躍するまでのお話、そして男性中心の現場で得たさまざまな気づきなど、多岐に渡りました。これまでにない和菓子のデザインがどのようなものから着想を得て、かたちになったのか、手元の資料でも振り返っていきます。
当日は3品の作品をいただきました。1品目は代表作とも言える「鉱物の実」です。琥珀糖という伝統的な和菓子の技法に、レモンとクロモジの香りを移し入れて作り上げられています。ほのかにかおる樹木の香りにみなさん感覚を研ぎ澄まして召し上がっていました。
2品目は「山芋とカラメルのきんとん」です。
キャラメリゼの風味を餡に加え、山芋の香りがさわやかなきんとんで鳥の巣の姿に仕立てています。上にはふわっと鳥の羽のようにハーブのディルが重なり、さわやかな香りも楽しめます。1品ずつ丁寧に説明をいただき、参加者は杉山さんの自然への眼差しを感じ、そして味わうことができました。
このミニゼミの前の週には写真講座もあったのですが、参加した方が率先して撮影を行い、互いにコツを教え合う姿も見られました。みなさん、半逆光で撮影されていますね。
お菓子には、水出しの鳳凰単叢という中国茶を合わせてご提供いただきました。茶席菓子でありながらも、中国茶の香りにインスピレーションを得たという御菓子丸のはじまりのエピソードに耳を傾けながら、清々しい香りと和菓子との調和を堪能しました。
引き続き杉山さんのお話に耳を傾けていると、会場の後方から香ばしい香りがしてきました。なんと、お醤油の焦げた香りです。次のお菓子に期待が膨らみます。
こちらが3品目の「玉蜀黍(トウモロコシ)の葛焼き」です。
一見、フレンチトーストのようにも見えますが、葛焼きという伝統的な技法を応用したお菓子です。とうもろこしの甘みを存分に引き出した少し塩気のあるスープを、葛でゆるく固め、表面に醤油を薄く塗って香ばしく焼き上げてあります。上にはネパールの柑橘味の強い山椒が散らされ、エキゾチックな香りが印象的です。夏のお祭りで食べる焼きとうもろこしのような懐かしさもあり、会場から「美味しい」とおもわず声が漏れていました。こちらは講義の中でも出てきた、杉山さんが挑戦している「塩菓子」にあたるものです。
講義の最後には、質疑の時間も多めにとることができました。食文化デザインコースの学生はすでに食の活動をはじめている方も多いので、ご自身の活動と重ね合わせて質問をする方も多くおられました。学びを深めるために、杉山さんに影響を受けた資料の案内をいただくなど、次へとつながるお話をいただくことができました。
当日は涼やかなお着物で参加してくださった学生さんもいらっしゃいました。千葉や名古屋からも足を運んでくださった学生さんもおられ、学生同士の交流も楽しく、充実した時間になりました。
講義後のアンケートでは
「杉山さんの日々の観察眼と探求心、ぶれない姿勢に感服しました。また、五感をフルに使ったものは記憶に残りやすいと改めて感じました」
「日常のかけがえのない瞬間が作品になると学びました」
「無→有(お菓子作り)→無(食べる)→有(記憶に残る)の移ろいが非常に面白いと思いました」
「「自分らしい」働き方を実現され貫いておられる点が非常に魅力的だと感じました」
と、通常の授業動画だけでは得られない学びがみなさんにあったようです。
教員として感動したのは、学生さんたちが講義から感じ得たものを言語化する力です。まだ半年の学生生活のなかで、味覚の表現や、美学などを学んでいる成果が出ているのではないでしょうか。
講義の後はみなさんわいわいとお話しも弾んで、駅までお帰りになられたようです。
食文化デザインコースは完全オンラインの通信制大学ですが、このような体験型の課外授業や、学生同士の交流も積極的に行っています。これからもどうぞお楽しみに!
7月末に京都市内のアートギャラリーにて、和菓子作家の杉山早陽子さんによる課外授業「御菓子丸 杉山早陽子氏の世界観〜和菓子を通してみる自然」を開催しました。 今回はその様子をレポートします。
杉山さんは2021年にNHKで放映された「美の壺 和菓子」編で、和菓子の表現を次世代に継ぐものとして紹介されたこともある注目の和菓子作家です。食文化デザインコースの学生さんにとっては、「食文化デザイン入門」の8章で目にしますので、すでにおなじみとなっていますね。御菓子丸のお菓子はウェブから予約するか、月に数日のみの喫茶イベントでしかお目にかかれない、特別なお菓子です。今回は杉山さんに直接お会いしてお話を聞くことができるだけでなく、なんとその場で作りたてのお菓子もいただけるということで、真夏の京都の昼過ぎでしたが、30名近い学生さんたちが集まりました。
お話は杉山さんの和菓子との出会いから、和菓子作家として活躍するまでのお話、そして男性中心の現場で得たさまざまな気づきなど、多岐に渡りました。これまでにない和菓子のデザインがどのようなものから着想を得て、かたちになったのか、手元の資料でも振り返っていきます。
当日は3品の作品をいただきました。1品目は代表作とも言える「鉱物の実」です。琥珀糖という伝統的な和菓子の技法に、レモンとクロモジの香りを移し入れて作り上げられています。ほのかにかおる樹木の香りにみなさん感覚を研ぎ澄まして召し上がっていました。
2品目は「山芋とカラメルのきんとん」です。
キャラメリゼの風味を餡に加え、山芋の香りがさわやかなきんとんで鳥の巣の姿に仕立てています。上にはふわっと鳥の羽のようにハーブのディルが重なり、さわやかな香りも楽しめます。1品ずつ丁寧に説明をいただき、参加者は杉山さんの自然への眼差しを感じ、そして味わうことができました。
このミニゼミの前の週には写真講座もあったのですが、参加した方が率先して撮影を行い、互いにコツを教え合う姿も見られました。みなさん、半逆光で撮影されていますね。
お菓子には、水出しの鳳凰単叢という中国茶を合わせてご提供いただきました。茶席菓子でありながらも、中国茶の香りにインスピレーションを得たという御菓子丸のはじまりのエピソードに耳を傾けながら、清々しい香りと和菓子との調和を堪能しました。
引き続き杉山さんのお話に耳を傾けていると、会場の後方から香ばしい香りがしてきました。なんと、お醤油の焦げた香りです。次のお菓子に期待が膨らみます。
こちらが3品目の「玉蜀黍(トウモロコシ)の葛焼き」です。
一見、フレンチトーストのようにも見えますが、葛焼きという伝統的な技法を応用したお菓子です。とうもろこしの甘みを存分に引き出した少し塩気のあるスープを、葛でゆるく固め、表面に醤油を薄く塗って香ばしく焼き上げてあります。上にはネパールの柑橘味の強い山椒が散らされ、エキゾチックな香りが印象的です。夏のお祭りで食べる焼きとうもろこしのような懐かしさもあり、会場から「美味しい」とおもわず声が漏れていました。こちらは講義の中でも出てきた、杉山さんが挑戦している「塩菓子」にあたるものです。
講義の最後には、質疑の時間も多めにとることができました。食文化デザインコースの学生はすでに食の活動をはじめている方も多いので、ご自身の活動と重ね合わせて質問をする方も多くおられました。学びを深めるために、杉山さんに影響を受けた資料の案内をいただくなど、次へとつながるお話をいただくことができました。
当日は涼やかなお着物で参加してくださった学生さんもいらっしゃいました。千葉や名古屋からも足を運んでくださった学生さんもおられ、学生同士の交流も楽しく、充実した時間になりました。
講義後のアンケートでは
「杉山さんの日々の観察眼と探求心、ぶれない姿勢に感服しました。また、五感をフルに使ったものは記憶に残りやすいと改めて感じました」
「日常のかけがえのない瞬間が作品になると学びました」
「無→有(お菓子作り)→無(食べる)→有(記憶に残る)の移ろいが非常に面白いと思いました」
「「自分らしい」働き方を実現され貫いておられる点が非常に魅力的だと感じました」
と、通常の授業動画だけでは得られない学びがみなさんにあったようです。
教員として感動したのは、学生さんたちが講義から感じ得たものを言語化する力です。まだ半年の学生生活のなかで、味覚の表現や、美学などを学んでいる成果が出ているのではないでしょうか。
講義の後はみなさんわいわいとお話しも弾んで、駅までお帰りになられたようです。
食文化デザインコースは完全オンラインの通信制大学ですが、このような体験型の課外授業や、学生同士の交流も積極的に行っています。これからもどうぞお楽しみに!
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