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2024年10月29日
【文芸コース】冬の怪談

皆さん、こんにちは。文芸コース主任の川﨑昌平です。
通信教育部には「airUコミュニティ」という、独自のSNSがあります。
学生同士が学習上の質問をしあったり、展覧会の情報を交換したり、教員とコミュニケーションをしたりと、いろいろと有意義な使い方がされているSNSです。
文芸コースも「airUコミュニティ」を活用して、教員が疑問や質問に回答したり、最近読んだ本の話やオススメの本について議論したり、他にも幅広く文章表現に関係しそうな話題をのんびりと語らい合っている……のですが、年に数回、「airU合評会」という創作イベントをやります。
簡単に言えば、教員がお題を発表し、そのお題をもとに(SNSで掲載できそうな文量の)作品を学生それぞれが創作して、airUコミュニティ上で発表する、というイベントです。合評会なので、学生や教員がそれぞれの作品について意見や感想を述べ合うところもポイント。毎回、なかなか盛り上がります。学生の皆さんが「文章を書いて表現をすること」が心底好きなんだなあとわかるので、私も大好きなイベントです。
そんな文芸コースの独自イベント「airU合評会」なのですが、2024年12月開催の「第15回airU合評会」のテーマは「怪談」(正確には「「怪談」の形式あるいは内容をもつ作品。」)。お題をつくってくださったのは、文芸コースの中嶋優隆先生なのですが、中嶋先生から「今回のテーマ、怪談はどうですか?」とお話をうかがったとき、私は膝を打ちました。流石ですとうなりました。私程度ではどうしたって思いつかない主題だったからです。
文芸コースの講義では「読者のことをよく考えよう」と私はしょっちゅう口にしますが、やはり学生は書き手として学習しているわけですから、読み手の当事者性を確かめるのは、なかなか難しいものがあります。常に読者の視点を意識しながら書くことがスラスラできたら、もう立派なプロです。が、言うは易しで、やはり挑戦と失敗を繰り返さない限りは、読者を思考の裡に宿らせる業は身につきません。
その前提をベースに考えてみると、「怪談」という文芸表現は、かなり特殊というか、とてつもなく「読者の反応」を計測しやすいジャンルと言えるでしょう。なにしろ出来不出来を「恐怖」という、非常に人間の根源的な感情の機微によって確認できるわけですから。読者目線にも立ちやすい表現であることは明白です。少しでも「うわ、怖い……」と感じられたら、その作品は秀逸な「怪談」ですし、情動に何の揺れ動きも生じないようならそれはダメな「怪談」です。他者の作品に対しても、自己の表現に対しても、かなり正確な批評性を持った接し方ができるでしょう。「おもしろい/おもしろくない」以前に「怖い/怖くない」という価値基準が来るのですから、そこをベースに考えれば、自ずと書き直しや読み直しもしやすくなるかもしれません。
実際に学生の作品が「第15回airU合評会」にアップされはじめるのは、12月からですが、今からもう、私は楽しみで仕方がありません。というより、本音を漏らせば私も書き手として参加したいぐらいです。ありとあらゆるジャンルの文章表現を仕事で書いてきた身ですが、「怪談」だけは未経験の私です。どんなロジックや経歴も通用しない、むき出しの表現性が求められる舞台となれば……興奮しますし、挑戦したい欲望が沸々と湧き上がります。あー、もう、主任という立場を擲って、思い切って投稿しちゃおうかな。
川崎昌平
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