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洋画コース

2025年01月15日

【洋画コース】弘法筆を選ばず?

こんにちは、洋画研究室の山河です。今回は筆について…。
油絵と言うと大胆な筆のタッチや分厚い絵具のマチエールを思い浮かべがちですが、ルネッサンスやフランドルの巨匠、多くの写実画家の絵のように繊細な表現もあることはご存じでしょう。
油絵具は粘りが強いためやや硬めの豚毛の筆が代表的ですが、他にも用途により馬・狸・イタチ毛など硬軟の種類や各種形状、サイズもあります。描画技術は細部まで思いのままに描けることが基本中の基本、勿論これらの油彩筆を上手く使いこなせるにこしたことはありませんが、学生時代各種類の毛やサイズ、形状などで試みましたが、細部の描画が思うようにいかず制作に嫌気がさした時期もありました。はたして歴代巨匠たちはそれらの油彩筆のみで細部まで描いていたのだろうか?と。

学生時代



卒業後



左油彩筆、右和筆



苦心の末、卒業後に使いだしたのが和筆の彩色筆や面相筆。油彩筆は均質に毛を束ねてあり絵具を含み塗りやすい反面細部が苦手、比して和筆は穂先に命毛という長めの毛が使われ細く纏まるので線や細部が描き易いのが特徴です。この和筆数本の追加で制作が進み、今迄絵を続けてくることができたように思います。
「弘法筆を選ばず」という諺がありますが、あくまで「腕前を道具のせいにするな」という教訓に過ぎません。弘法大師は却って「毛筆は時と処に応じてよく選ばなければならない」と言及していたようで、「弘法こそ筆を選んだ」のが事実らしく、油彩の歴代巨匠達が筆を選んできたことも想像されます。
和筆に拘る必要はありませんが、意外に一本の筆が名作の秘密なのかもしれませんね。

 

 

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