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芸術教養学科

2025年02月19日

【芸術教養学科】芸術教養学科への入学を考えている方へ:おすすめの二冊を紹介



みなさん、こんにちは。芸術教養学科の松本です。今日は芸術教養学科への入学を検討している方に向けて、おすすめの本を紹介したいと思います。
大学での学びの傍らにはいつも本があります。教科書はもちろんのこと、レポートを書くための資料や、レポートの書き方を学ぶためのノウハウ本まで、入学後は様々な書籍を読んでいただくことになるでしょう。
そこで今回は、最近出版されたものの中から、芸術教養学科の学びにリンクする書籍を二冊紹介していきます。入学前から本を読む習慣を身につけておくと、大学での学びに役立つこと間違いなしですよ。

 

1.青田麻未『「ふつうの暮らし」を美学する――家から考える「日常美学」入門』光文社新書、2024年。

一冊目は、美学者の青田麻未氏が「日常美学」の入門書として出版した『「ふつうの暮らし」を美学する――家から考える「日常美学」入門』です。芸術教養学科は「モノの見方、感じ方」を変え、暮らしの中に芸術を取り入れ、活かす方法を学ぶことを目指す学科です。日常をつぶさに観察し、その中での感性の働きを捉えようとする『「ふつうの暮らし」を美学する』は、こうした芸術教養学科の学びと響き合うものであるように思います。
私が特に面白いと思ったのは、「地元」について書かれた第四章「親しみと新奇さ――地元を事例として」です。地元は、私たちにとって日常的で親しみのある場所です。一方で、慣れ親しんだ場所でも、新しいものに出会うことがあります。著者はこうした新しさを「新奇さ」と呼び、日常生活が退屈にならないために必要なものであると語ります。散歩や地元観光は、むしろ日常の中に新奇さを見出すためにわざわざ行うものなのではないかという青田氏の指摘には、なるほどと膝を打ちました。確かに私たちは、日々の生活が退屈なものになってしまわないために、定期的に地元を歩いて新奇さを探しているのかもしれません。
さらに、著者はこの新奇さに出会う方法として、①建築に触れる、②モビリティ、③アプリを使うという三つを提案しています。こうしたことを通じて、地元の魅力を再確認し、自らの暮らす地域に愛着を持ち続けることは、自分にとっての世界の解釈を変えていくことにも繋がるのではないかと、著者は語ります。
実は、芸術教養学科の科目でも、皆さんが住んでいる地域の中から事例を探してきて、レポートを執筆してもらう課題があります。こうした課題は、まさに日々の生活や住み慣れた地域に新奇さを見出す試みにもなり得ます。実際、こうした課題を通して、地域の新たな側面に出会うことができたという在学生や卒業生の話もよく聞きます。芸術教養学科での学びもまた、自分にとっての世界の見え方を何度でも解釈し直すためのものとなりうるのです。

 

2.阿部幸大 『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』光文社、2024年。

二冊目は、阿部幸大 『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』です。大学に入学すると、アカデミック・ライティングという手法でレポートを書かなければなりません。アカデミック・ライティングは感想文やエッセイ、小説といったみなさんがこれまで触れてきた文章とは異なるものです。そのため、はじめは戸惑うかもしれません。もちろん、本学ではアカデミック・ライティングの基礎を学べるカリキュラムを用意しているため心配はご無用ですが、大学入学前にその世界を先取りしてみたいという方には本書をおすすめします。「期末レポートからトップジャーナルまで、「独学で書く」ためのすべてを網羅する」とある通り、研究者が読んでも読み応えのある本書の難易度は高め。ですが、アカデミック・ライティングについて学ぶにはうってつけの本です。
特に私が重要だと思ったのは、第四章「パラグラフを解析する」です。この章では、実際に書かれた論文を解析して、自分が書きたい文章にはどの程度の字数が必要なのかを探る方法を教えてくれています。この章のすごいところは、実際に著者の阿部氏が作成した例題をもとに、一文一文に目を向けさせ、各文章の役割を明らかにしているところ。これを読むと、研究者が漫然と文章を重ねているわけではないことがよくわかります。同時に、一文一文の役割の解説が、レポートや論文のための文章の書き方を教える丁寧な手引きにもなっています。この章は入学してレポートを書くようになってからの方が役立つかもしれませんが、ぜひ入学前にも読んでみてください。大学での学びのイメージがより具体的になると思います。この本を片手に、論文を読む練習をしておくのも良いかもしれませんね。

今回は、芸術教養学科の学びに役立つ二冊の本を紹介しました。難易度も目的も異なる二冊ですので、ご自身の関心に合わせて手に取ってみてくださいね。たとえ難しくて読み進めることができなくても、焦ったり、入学を諦めたりする必要はありません。入学後は一から学びを積み重ねていただけるようなカリキュラムを用意しています。むしろ大学での学びを通して、これまで難しくて諦めていた本が読めるようになることもあります。芸術教養学科での学びを通して、様々な本と出会っていただけると嬉しいです。みなさんのご入学をお待ちしております。

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