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2025年09月11日
【芸術教養学科】トーベとムーミン展、あるいは「家に帰るまでが遠足です」
みなさん、こんにちは。芸術教養学科の宮です。
先日、ようやく「トーベとムーミン展 ~とっておきのものを探しに~」(森アーツセンターギャラリー)にいってきました。
ムーミン小説の第1作『小さなトロールと大きな洪水』が刊行されたのは1945年。つまり、2025年はムーミン小説の出版80周年にあたります。おめでとう!
それを記念して開催されたのが、この「トーベとムーミン展 ~とっておきのものを探しに~」です。フィンランドのヘルシンキ市立美術館やムーミンキャラクターズ社協力のもと、トーベ・ヤンソン(1914-2001)の油彩画や風刺画、ムーミン小説・コミックスの原画やスケッチ、愛用品などなど、300点にも及ぶ貴重な作品や資料の数々が出品されました。
なかでも個人的に楽しかったのは、政治風刺雑誌『ガルム』の表紙にこっそりと描きこまれた「スノーク」の姿を見つけだすこと。トーベが自分のサインとして描き加え、のちにトーベの風刺画へ辛辣なコメントをするなど、ちょっぴり皮肉なキャラクターとして成長していくスノークは、ムーミンのルーツのひとつだといわれています。
ほかにも、ムーミン小説の挿絵映像作品や好きな言葉のカードを1枚選んで持ち帰れるといった愉快な演出もあり、2時間ほどかけて、じっくりと展示を堪能しました。が、美術展の醍醐味といえば、もちろんそれだけではありませんよね。そう、ミュージアムショップです!
ミュージアムショップを楽しみにするなんて本末転倒、邪道だと怒られるかも知れませんが、でも好きなんだから、しょうがない。どうしようもありません。
この展覧会のミュージアムショップにも、魅力的なオリジナルグッズがズラリと並んでいました。どれにしようかと目移りしてしまい、ショップ内を何周もグルグル、グルグルと歩き回ることになってしまいましたが、そんな時間もうれしいものです。それでもなんとか自制心を保って、あまり散財しないように心がけました。大人ですからね。
ここでは、今回購入したものをいくつかご紹介してみましょう。
まずは公式図録です。会場に展示されているトーベの作品が全点カラーで掲載されています。
次に、ミムラねえさんバッグと「遊び1(アウロラ病院小児病棟の壁画のためのコンペティション用スケッチ)」が表紙になったノートです。

また、展覧会場と同フロアにあるカフェ「THE SUN & THE MOON」では、期間限定のコラボカフェ「トーベとムーミン展~とっておきのものを探しに~カフェ」がオープンしていました。キャラクターをモチーフにしたスイーツやドリンクなど、メニューはこんな感じです。
ちなみに、私は「ユラユラニョロニョロホワイトウォーター」を注文しました。
ところで、美術館や映画館、劇場や寄席にいくという行為は、いったいどこから始まっているのでしょうか。その入り口からというのでは、少し味気ないように思いませんか? また、美術館や映画館、劇場や寄席にいくという体験はどこで終わるのでしょうか。これもその出口というのでは、いささか寂しすぎるように感じます。
家から出かける、いや、そのまえに「今日は何を着て出かけようか」とウキウキワクワクしているところから、もしかするとその行為はすでに始まっているのではないでしょうか。小学校の遠足で、担任の先生に「家に帰るまでが遠足ですよ」とよく注意されて困ったものですが、懐かしく思い出される方も少なくないでしょう。家に帰るまで、いや、家に帰ってからも、展示や映画、芝居や落語について、あれこれと思いを巡らしているその時間も大切な体験にちがいありません。
だとすれば、ミュージアムショップでグッズを買い漁ることも、カフェでスイーツやドリンクに舌鼓を打つことも、映画や芝居、落語をみた後に、居酒屋で一杯やりながら、その体験を反芻することも、立派に美術館や映画館、劇場や寄席にいくという行為の一部なのではないでしょうか。決して自己弁護しているわけではありません(完全にゼロかといえば、後ろめたさがまったくないわけではありませんが……)。
いずれにしても、私が所属している芸術教養学科では、作品や作家、美術史や芸術史を学ぶだけでなく、その周囲や関連する事柄なども含めて、芸術やデザイン、伝統や文化といったものの構造を広く、そして深く読み解いていきます。美術展もその内部のみで完結するものではなりません。ミュージアムショップやカフェも含めて(さらには自宅でそのグッズを眺めて悦に入っている時間も含めて)、さまざまな視点から対象に迫り、その魅力を明らかにしていきます。そうすることで “暮らしの中に芸術を生かす方法” を獲得するというのが、我われ芸術教養学科のもくろみのひとつだからです。
いま思えば、「家に帰るまでが遠足です」って素敵な言葉ですよね。
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先日、ようやく「トーベとムーミン展 ~とっておきのものを探しに~」(森アーツセンターギャラリー)にいってきました。
ムーミン小説の第1作『小さなトロールと大きな洪水』が刊行されたのは1945年。つまり、2025年はムーミン小説の出版80周年にあたります。おめでとう!
それを記念して開催されたのが、この「トーベとムーミン展 ~とっておきのものを探しに~」です。フィンランドのヘルシンキ市立美術館やムーミンキャラクターズ社協力のもと、トーベ・ヤンソン(1914-2001)の油彩画や風刺画、ムーミン小説・コミックスの原画やスケッチ、愛用品などなど、300点にも及ぶ貴重な作品や資料の数々が出品されました。

ほかにも、ムーミン小説の挿絵映像作品や好きな言葉のカードを1枚選んで持ち帰れるといった愉快な演出もあり、2時間ほどかけて、じっくりと展示を堪能しました。が、美術展の醍醐味といえば、もちろんそれだけではありませんよね。そう、ミュージアムショップです!
ミュージアムショップを楽しみにするなんて本末転倒、邪道だと怒られるかも知れませんが、でも好きなんだから、しょうがない。どうしようもありません。
この展覧会のミュージアムショップにも、魅力的なオリジナルグッズがズラリと並んでいました。どれにしようかと目移りしてしまい、ショップ内を何周もグルグル、グルグルと歩き回ることになってしまいましたが、そんな時間もうれしいものです。それでもなんとか自制心を保って、あまり散財しないように心がけました。大人ですからね。
ここでは、今回購入したものをいくつかご紹介してみましょう。
まずは公式図録です。会場に展示されているトーベの作品が全点カラーで掲載されています。





家から出かける、いや、そのまえに「今日は何を着て出かけようか」とウキウキワクワクしているところから、もしかするとその行為はすでに始まっているのではないでしょうか。小学校の遠足で、担任の先生に「家に帰るまでが遠足ですよ」とよく注意されて困ったものですが、懐かしく思い出される方も少なくないでしょう。家に帰るまで、いや、家に帰ってからも、展示や映画、芝居や落語について、あれこれと思いを巡らしているその時間も大切な体験にちがいありません。
だとすれば、ミュージアムショップでグッズを買い漁ることも、カフェでスイーツやドリンクに舌鼓を打つことも、映画や芝居、落語をみた後に、居酒屋で一杯やりながら、その体験を反芻することも、立派に美術館や映画館、劇場や寄席にいくという行為の一部なのではないでしょうか。決して自己弁護しているわけではありません(完全にゼロかといえば、後ろめたさがまったくないわけではありませんが……)。
いずれにしても、私が所属している芸術教養学科では、作品や作家、美術史や芸術史を学ぶだけでなく、その周囲や関連する事柄なども含めて、芸術やデザイン、伝統や文化といったものの構造を広く、そして深く読み解いていきます。美術展もその内部のみで完結するものではなりません。ミュージアムショップやカフェも含めて(さらには自宅でそのグッズを眺めて悦に入っている時間も含めて)、さまざまな視点から対象に迫り、その魅力を明らかにしていきます。そうすることで “暮らしの中に芸術を生かす方法” を獲得するというのが、我われ芸術教養学科のもくろみのひとつだからです。
いま思えば、「家に帰るまでが遠足です」って素敵な言葉ですよね。
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