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建築デザインコース

2025年10月02日

【建築デザインコース】古代の建築模型?家形埴輪の魅力

こんにちは、建築デザインコースの池田美月です。普段はOBJECTAL ARCHITECTS という設計事務所を営んでいるのですが、建築の仕事と並行しながら「建築未満の建築」を日々リサーチしています。今日は、最近特に気になっているかわいい建築模型みたいな存在、家形埴輪 をご紹介します。

埴輪 切妻造家 群馬県藤岡市 白石稲荷山古墳出土 古墳時代・5世紀
東京国立博物館にて筆者撮影


家形埴輪ってなに?


埴輪といえば人や馬の姿を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実は「家」をかたどった埴輪も存在します。それが家形埴輪です。古墳時代の重要な建物をもとに作られたと考えられていますが、その実態については研究者の間でもまだはっきりしていない部分が多いようです。

この家形埴輪を考古学的な側面からでなく、純粋なオブジェクトとして観察してみると、何か建築の新しいアイディアにつながりそうな気がしませんか?この何とも言えない不思議なかわいさは一体どこから生まれるのでしょうか。

埴輪 寄棟造家 群馬県伊勢崎市紙植木出土 古墳時代・6世紀
東京国立博物館にて筆者撮影


コロンとしたフォルム


古墳時代の家屋は、木の柱や梁に茅葺き屋根という構造をしていますが、家形埴輪は粘土で作られているために、全体にコロンとした丸みが出ています。土のあたたかい色合い、不均一な手作業の跡、少し丸まったエッジ──それらが全体をやわらかくてかわいらしい見た目へと変化させています。

家形埴輪 大阪府高槻市 今城塚古墳出土 古墳時代・6世紀
奈良県立橿原考古学研究所「家形埴輪の世界:令和6年度春季特別展 The world of haniwa house」,2024.4,p64


デフォルメされたカタチ


細かい部分は省略される一方で、屋根の破風板や千木などは強調されています。柱が微妙に曲がっていて、なんだか足がよちよち歩いているみたいに見えませんか?このような「デフォルメ」のセンスが、建築要素をキャラクターっぽく見せて、思わず「かわいい」と感じさせるのかもしれません。

家形埴輪 栃木県壬生町大字羽生田字古敷 富士山古墳出土 古墳時代後期
https://www.mibu-rekimin.jp/cultural_property/fujiyamakofun-enchuunoie/


粘土表面の装飾


屋根には「網代文」や「連続三角文」など、様々な模様が刻まれているものもあります。実際の茅葺き屋根を再現するのではなく独自の文様が施されており、まるでテキスタイルのようです。

おわりに


少し視点を変えてみるだけで家形埴輪の造形はかわいい建築模型のようにも見えてきませんか?

博物館や資料館で実物を見る機会があれば、ぜひ細かい部分までじっくり観察してみてください。古代の知恵や美意識に触れると同時に、きっと「かわいい!」と笑顔になれるはずです。

 

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