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2026年06月15日
【芸術教養学科】いろんな人の、芸術教養学科

高野川のアオサギ
芸術教養学科 下村泰史
私が所属している芸術教養学科は、本学通信教育部初の完全遠隔教育の課程として開設されて13年になります。それから今まで、完全遠隔で学べるコースは増えてきましたが、その中で芸術教養学科はますます異彩を放っているように思います。
というのは、他のコースには明瞭な専門性があり、その専門性に応じた獲得目標があるのですが、芸術教養学科は人間の創造的な営みであれば、どんなものでもその思考対象とするので、その何でもありの感じは、一層際立ってきているように思います。
芸術教養学科の教授陣をかいつまんでご紹介しましょう。
学科長の宮信明先生は、芸能史・伝統芸能研究がご専門。学科創立メンバーでもある早川克美先生は、アートディレクター、デザイナーとして活躍されるとともに、教育工学の専門家でもあります。岩元宏輔先生は、デザイン思考に基づくワークショップデザインの実践家であり、近年は作詞家としても目覚ましい活躍をなさっています。松本理沙先生のご専門は、美術史、表象文化論。パブリックアートやアートプロジェクトなどについて研究されています。わたくし下村泰史は、この中では唯一の理系出身(農学生命科学)で、ランドスケープ計画、コミュニティデザインあたりが専門。「生態学」のテキストも執筆しました。他に多くの非常勤の先生方が関わられています。
この専門性のバラバラさが、この芸術教養学科の本質をよく表していると思います。先端的なアートプロジェクトから、伝統文化に至るまで、人間の創造について一緒に学んでいける布陣になっているのです。
専門はバラバラなように見えますが、一緒に添削講評に取り組んでいると、芸術教養の視線と方法というものがおのずから共有されてきます。すべての学問分野共通の、対象を見つめる視点や、根拠立てた立論という軸があるのです。芸術教養学科では、大学だからこそ学べる学的な「まなざし」「方法」を得て、多様なものやできごとについて考えることができるようになるのです。
さて、教員陣の多様さについて触れてきましたが、集う学生たちもまた多様です。一般的な通学制の大学では、やはり10代20代の若い人たちが中心となりますが、この通信教育部では30代から50代といったミドル層、60から80代といったシニアの方々も多くおられます。学生側もまた多様なのです。人生経験の豊かな人との触れ合いも、通信教育部ならではの醍醐味といえると思います。
ただ、ミドルやシニアといっても、10年以上経ってくると世代の入れ替わりもあります。ビートルズ世代や団塊の世代の方々が学ぶ仲間になって久しいですが、今般ではパンク、ニューウェーブ世代の方々もおられると思います。春に公開された映画「ストリート・キングダム」(田口トモロヲ監督)を見て、大いに刺激を受けたのですが、そこに描かれた70年代後半から80年代初頭の世界の若者たちの爆発的な創造性、DIY精神は素晴らしいものでした。そうした世代の方々が、その時代の空気を学友たちに伝えてくれたらと思っています。
そうした時代を生きた人たちがおられる一方で、ここ1〜2年大きな動きがありました。多世代が学ぶこの芸術教養学科を、改めて選ぶ10代が増えているのです。アニメーション制作や声優の訓練を受けながら、大学での学びを求める若い人たちが、本学科を進学先として選んでくれるようになったのです。こうした方々の新鮮なレポートを読み、私たち教員も新鮮な気持ちで添削講評させていただいています。
さて、取り扱う対象も教員も学生たちも多様を極めるこの芸術教養学科、特に「京都らしさ」というものとは関係ないように思われるかもしれません。私自身は、これは京都だから、この左京区発だから可能になったところがあるのかもしれないと思っています。
私自身は瓜生山キャンパスから歩いて15分ほどの、高野川のほとりの団地で暮らしているのですが、この文を執筆している6月上旬では、夜9時くらいになると、蛍の乱舞が見られます。高野川ではよくアオサギやシカの親子に出逢いますし、下鴨神社にはアニメにもなったタヌキたちがいます。
こうした自然の多様性のうえに、京都大学を中心にさまざまな国のさまざまな年代の人たちが集まり、そこかしこの面白い場所で遅くまで笑いながら議論しているのです。そういう場所には謎めいたアーティストも出入りしていたりします。
一見、そうした京都のローカルな様子と関わりなく見える芸術教養学科ですが、この学科の渦を巻くような多様さは、瓜生山キャンパスがあるこの街の空気とどこか繋がっているように思うのです。
芸術教養学科ではどのような方も、きっと居場所を見つけられると思います。
芸術教養学科|学科・コース紹介

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