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ランドスケープデザインコース

2018年08月31日

【ランドスケープデザインコース】特別公開講義「ランドスケープデザインの半世紀」の紹介

みなさん、こんにちは。ランドスケープデザインコースの河野です。
今回は、東京の外苑キャンパスで8月4日に行われた特別公開講義を紹介します。ランドスケープデザインコースでは、年2回特別公開講義を行っています。学生から一般の方まで自由に参加できる講義になります。

去年の特別公開講義は、京都では「都市の自画像 洛中洛外図の世界」、東京では「明治神宮と本多静六、そしてこれからの神宮の森・外苑の空間」が行われました。



1964年東京オリンピックと同時期に第9回IFLA日本大会が「人間生活と造園」をテーマに東京と京都を中心に開催されたのを契機に「造園設計事務所連合」が設立されました。
それから約50年を経て、2020年東京オリンピックが開催される節目として、今年は1960年代から第一線でご活躍をされている小林治人先生に「ランドスケープデザインの半世紀」と題して、講義していただきました。



講義ではまず「設景」という言葉について解説していただきました。

「設景」とは、明治の漢学者小沢圭次郎が「デザイン」の訳語として、単に建物をつくる(設計)のではなく、全体の景を意識した言葉であり、
小林先生は「設景」の概念として、
人と自然の関係を科学的(生態的)・芸術的に理解して、相互の関係が総合的に調和した空間を創造し、持続的に管理運営する職能

と定義されました。

そこには、陸域、水域、気域を対象として、

  • 20世紀までの文明の矛盾、人間中心の環境創造から生き物の多様性、地域の歴史・文化などの計画であること。

  • 景観は文化であることを前提として地域固有の景観回復・育成。

  • アノニマス(存在性)、オニマス(作品性)の調和、時間の経過の中でオニマスがアノニマスにもなる。

    ことをお話しいただきました。




 

続いて、当時の貴重な写真や図面を見ながらの時代とその活動内容について紹介していただきました。

1960・70年代からの自然地形を活かしたリゾート地の開発、大阪万博、JICAの専門家派遣による海外プロジェクトに始まり、1980年代の造園設計事務所連合の拡大、大規模公園整備事業や国際協働、IFLAの第一副会長としての活動。
1990年代は、造園設計事務所連合が現在のCLAとなり会員が200社を超え、2000年代に入り、公共事業としての公園緑地整備事業の激減のなか、海外で活動された中国のプロジェクトやノルウェーのベルゲン大学との両国交友庭園の設計。
2010年代に入り中国を中心とした海外プロジェクトについてお話がありました。

そして2020年以降のランドスケープデザインとして、「知識から知恵の時代」がさらに進むというお話をいただきました。
文明は知識の進化、文化は知恵の深化。
知識偏重時代が生んだ矛盾を知恵で解決する為に、文明的豊かさへの進化から文化的豊かさへの深化とのバランスを計りながら計画することが大事。
文明的進化を縦糸に、文化的深化を横糸にしていかに美しく紡いでいくかが問われている。

とのご意見を伺いました。



 

最後に、参加者からの東北大震災後の風景について、女性がランドスケープの職能に進む意義など、質問に丁重に答えていただき、貴重なお話の聞ける講義となりました。小林先生、ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

WEBでも公開講座が視聴できます。ぜひご覧ください。
URL:https://youtu.be/oljqjV04Uo4

 

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