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芸術教養学科

2018年10月02日

【芸術教養学科】卒業生ゲストトーク開催報告

こんにちは。通信教育部 入学課です。
先日、大阪と東京にて「芸術教養学科(手のひら芸大)秋の入学説明会」を開催しましたが、当日は、カリキュラム説明のほか、卒業生をお招きしてリアルな学生生活についてお話しいただきました。

入学を決めたきっかけや、実際に本学で学んでみて良かったことや得たもの、学び続ける上での支えやモチベーション、入学を検討されている方々へのメッセージなど、それぞれの言葉で熱く語っていただき、学科の学びの本質が垣間見える機会になったのではないかと思います。

さてここでは、その1時間を越えるインタビューの一部を、ダイジェストでご紹介いたします!




/// インタビュー内容


Q1. 入学を決めたきっかけ、目的は?
Q2. 入学してよかったこと、得たもの
Q3. 日々、どのように学んでいる?
Q4. 学び続けるうえでの気持ちの支えや、モチベーションは?
Q5. 入学を検討されている皆さんに伝えたいこと

 

/// 卒業生のプロフィール


M・Kさん(2017年度 春 卒業)
50代男性・京都府在住
会社員

K・Kさん(2015年度 春 卒業)
40代女性・滋賀県在住
美術教師

M・Sさん(2017年度 秋 卒業)
50代男性・千葉県在住
金融機関勤務

 

Q1. 入学を決めたきっかけ、目的は?


M・Kさん
短大卒だったのですが、仕事をしている間で別に学歴などあまり考えなくてもいいかな、とずっと思っていたんですけれど、やはりどこかで4年制の大学卒業資格を得たかったという思いがあったことも、偽りのない気持ちだったんですね。
それでもう一回大学に行ってみようかなと思い、あまり真剣でもないのですが、色々ネットとかで探していたら、ちょうど「手のひら芸大」というものがヒットしてきて、ポンポンポンと入学してしまったという形です。

 

K・Kさん
学生時代は洋画を専攻していて、卒業してからも絵の制作をずっと続けていたのですが、長く描いていると行き詰まるというか、もうちょっと自分で「ものの見方」を変えたり、もう少し知識を増やして頭をやわらかくさせた方が良いのかなという時期が来ていました。
手のひら芸大のことはもともと知っていて、お値段的にもかなりいい感じだったのでここがいいなと思っていたんですけど、入学を決めるというところまでは結構時間がかかったんです。
しばらく検討して、自分の学びにもなるし、スクーリングがない分、自分のペースで学習が進められるし、仕事している上ではかなりそれは大きなメリットだなぁと思って入学しました。

 

M・Sさん
ずっと金融関係の仕事をしていて、ちょっと思うところがあって入学しました。
そもそも美術館巡りが大好きなのですが、実際に見比べてみてもよく分からないことがあるんですね。自分で本とか読んでみてもサッパリ上手くいかないですし、印象派とかはまだしも、昔のキリスト教の絵画だったり、さらには現代アートになるとサッパリで。勉強したらもっと楽しくなるかなというのが、すごく大きなキッカケでした。
もう一つは仕事関係の理由です。日本のビジネスパーソンって、いわゆる「教養」がなければという議論がありますよね。確かに自分に置き換えると「教養」ってあまりないなと。そういった反省もあり、教養っていうのはかっこいいな、というのが2つ目の邪心です。
一番はじめに言った美術館の話ですが、今では見方が深くなったというか、知った風なことを言えるようになったと思いますね。で、実際楽しくなりました。このあたりが、非常に良い大学だなと思います。



加藤志織 先生(共通科目 主任)
大学の卒業資格「学士」を取りたいという方が多いとは思います。
そしてもう一つが、すでに学士は持っているのだけれども、仕事の都合上で芸術やデザインなどの基本的な知識を身につけたいという方。あるいは美術や芸術にもともと興味があってある程度自分で勉強しているんだけれども、さらに詳しく掘り下げて知りたいという方。
また、伝統文化を学び、デザイン思考によって世の中の「モノやコト」を評価し、それによって私たちの身近な生活空間を改善する、あるいはそうした着想によって得た知見を仕事の企画等に役立てる、といったような、大きく分けるとだいたいこうした3つの動機で入学されるという方がいらっしゃると思います。



早川克美 先生(芸術教養学科 学科長)
M・Sさんのように、ビジネスパーソンの方が、芸術とかアート・デザインについて学ぼうという意識を持たれてる方っていうのが、本当にここ1~2年でやっと出てきたっていう感じがっします。徐々に増えてきているという感じで、嬉しいなと思っています。

 

Q:入学して、あるいは卒業して良かったこと、得たもの


K・Kさん
私は「ともに学べる友人」を得られたことが大きいなと思います。いろいろな人たちとSNSのコミュニティなどで繋がりながら、オフ会などでたまたま出会うことがあった時に「あ、こういう人なんだ」となりましたね。
そういう友人たちに出会うことによって、学ぶ興味の範囲も広がったり、自分が何を深く学びたいのかとか、レポート課題で悩むこととかでもアドバイスをもらえたり、そういうところで学習における人との繋がりを、けっこう得られたことが良かったと思っています。

 

M・Kさん
当初の入学の目的である「学士の資格」を得ることはもう間違いないんですけれど、それだけではなくて、やはり「学ぶことは楽しいこと」なんだと、「学ぶことの面白さとか尊さ」というものがわかりました。これは本当に大きなことだったと思います。
また、在学中はレポートをたくさん書きますので、学術的な文章の書き方というのが、だいたい身についたかなと思います。根拠を示しながら自分の主張を書いていくという、こういう書き方というのは、別に大学の中だけでもなくても日常的に使えることですので、これは本当に自分の宝かな、と思います。

 

M・Sさん
卒業してちょうど一年くらい経っているわけなんですが、少なくとも美術展に行って見える世界が全然変わったなっていう感じがしますよ。
知っていることを言えるということだけではなくて、芸術史・歴史がすごく大切な気がしますし、特に現代アートだと、歴史を踏まえて作っている作品だったりとかコンセプトとか、そういうものは知っていないとですね、ただ綺麗だとか、ただ形が良いなで終わってしまうんですけども、もう少し踏み込んだ見方が出来るかと。これが快感というか気持ちが良いですね。綺麗なものをもっと深く知れるみたいな感じで、これはすごく良かったと思います。
それとですね「網羅できた」というのもすごく良いと思うんですね。カリキュラムに日本美術もあれば西洋美術もあれば現代アートもあるって、やはり良いと思いますね。
仕事への影響は「目線が広がったな」という感じもします。自分では教養が身についたつもりなのですが、教養をあまりひけらかすと人間関係に問題が出てくるので、そういうわけにはいかないんですけども(笑)、まぁいつか言ってやろうと思ってはおりますが。仕事上のいろいろな判断は、少し選択肢が増えて広がったなというのは思います。やはり「全体の世界が豊かになった」というのは言えると思います。


Q:印象に残っている授業や先生の言葉


M・Sさん
まずは、「芸術教養講義4」ですね。これは「情報の編集」というような講義なんですけども、情報を幅広く捉えて編集するということなので、卒業研究のテーマでは「博物館において情報をどのような観点で整理しているのか」というようなことでまとめました。
「編集する」ということの概念が、すごく大きくなった授業でしたね。そういう意味で、重要というか非常に良かったなと思います。

もう一つは「芸術教養講義5」。これはワークショップのデザイン、やり方を学ぶ授業で、日頃から仕事で研修をしているものですから、実務で非常に役に立ちました。ワークショップといえば、何人かで集まって知恵を出し合って作り上げるみたいな感じなんですが、そういう中でのファシリテーション手法とか、非常に勉強になりました。

また「芸術教養講義8」は、伝統的な空間、まぁ日本庭園を学ぶ授業。それまでは日本庭園を勉強してもサッパリ分からなかったんですが、これも京都のお庭に行って何かカッコいいこと言いたいな、などという野望があったんですけども。
講義の中で確か「桂離宮の香り」とかを解説する章があって、ここにこういう花が生けてあって、ここの香りがこう流れてきてとか、いつかこれを誰かに披露しようと思っているんですけども(笑)、ものすごく良かったです。やはり日本庭園も、ただ綺麗で終わるのではなく、造った人の意図が分かると、より深く感じることができますね


Q. 日々、どのように学んでいる?


M・Kさん
勉強時間は色々で、1時間以下とか、何十分という時もあれば、詰めてやる時は5〜6時間やっていた時もあります。隙間時間を使って、例えば通勤電車の中で動画などは見れますし、スマホでヘッドフォンをしながら見ていました。
あまり「やらない期間」を作ってしまうのではなくて、短い時間でもいいので、日々の生活のなかで「学習する習慣」が離れてしまわないように注意していました。

 

K・Kさん
私も電車通勤だったのですが、その1時間程の間で動画を見るのは、私には貴重な学習の時間だったと思います。仕事をして家に帰るとクタクタなので「さぁ、どうしよう、ちょっとはやらないと」ということで何とかやるんです。でも、あまり根をつめてやると本当にもたないので、タイマーを置いておいて「20分たったら一回ストップ」とかルールを決めてはいましたが、もうだめだったらそこで終わってもいいし、もう少しできそうならやってみようという感じで、自分の体調とかを考えながらやったりしていました。
また、あまり家にこもっているとしんどいので、違う場所でやったりしながら、気楽に続けられるようにしました。

 

M・Sさん
勉強時間の確保というのは、どうしても働いてますので、大変でした。
まず動画を見て、そこで取り上げられている内容をテキストにラインマーカーを引いて、あとで読み返すということをしていました。そうするとだいたい大切なところを動画で言っていると思うので、それを読むことが出来ると。
それと、参考図書を読むために図書館に結構行っていました。参考図書も良し悪しでして、ものすごく分厚いものもありますので、その場合は似たような本を読むと。そういったことでレポートは何とか書けるようになったかなと思います。



早川克美 先生(芸術教養学科 学科長)
毎朝早起きして、仕事の前に勉強する癖をつけた方もいらっしゃるし、「ウィークデーは呑んじゃうから、お酒をやめたくないんで週末に集中しました」と言って、最短で卒業された方もいるし、あとは仕事の隙間隙間で、15分でも30分でも小刻みにとにかく合間合間で勉強した方もいらっしゃるし、本当に人それぞれなんです。
自分の生活の中に、今まで学習をするという時間がなかったんですよね。みなさん。それを、入学すると「学習する」という時間を埋め込まなければならない。それって結構大変なんです。
ですので、大切なのは「どう生活の中に埋め込むか」ということを試行錯誤しながら、とにかく焦らないこと。周りの人と比較すると自分がとても遅れて感じてしまうのだけれど、それぞれのペースで良いのがこの通信教育の魅力なので、焦らず徐々に埋め込んでいければ大丈夫だと思います。
自分なりの学習スタイルが3ヶ月くらいで身につく人と半年経ってやっと自分のスタイルが身についたという人と、1年経ってやっとペースが掴めてきましたという人と、本当に人それぞれなので、焦らずご自身の学習スタイルを身に着けて欲しいと思います。

 

Q. 学び続けるうえでの気持ちの支えや、モチベーションは?


M・Kさん
最初は卒業さえできればいいんだと、単位さえ取れればいいんだという風に思っていたんですけれど、提出したレポートに対する講評文がそれぞれ先生から返ってくるんですけれども、そういう講評文で褒められたりすることがモチベーションになったりしました。先生からの映像での全体講評で、自分のレポートが紹介されたりすると嬉しく思いましたね。
それともう一つは、やはりSNSのコミニュティなどで、同じように学んでいる学友の方との交流というのは大きな励みになったと思います。

 

加藤志織 先生(共通科目 主任)
テキスト科目のレポートに対して、教員から添削講評文を一人ひとりにお戻ししますが、それは単に「成績が何点」とだけ返すのではなくて、「皆さんこんな風に勉強してくださったんだな。でもこんな箇所が、ちょっと理解が不十分かな」というところを、皆さんに向けてお答えするというものなんです。単に成績だけ良ければいい、悪ければがっかりするというものではなくて、「より皆さんの学びを充実させるもの」が講評文なんですね。
良い成績を取るということを励みにしていただくのは、教員にとっては有難いことなんですけれども、逆に言うと、それが悪かったからといって悲観する、嘆いたりするというようなものじゃないんです。講評文を皆さんに読んでいただき、理解していただいて、「最終的により充実した授業内容の理解に到っていただく」ということが、目的であるといえます。

 

下村泰史 先生(芸術教養学科 教員)
「やった!Aだった!」「いや、Bだ」と、それだけを見てしまって、講評文を読まずに飛ばしてしまうことも可能なのかもしれませんが、やっぱりぜひ講評文を読んでほしいです。
皆さんがレポートを書いて素晴らしかったところ「ここは本当によかった、ここは見所あるよな、だけどここはちょっとね」みたいな、良い所や悪い所、その両方を読んでいただくと、次の他のレポートを書くときに絶対生かせるはずなんです。皆さんにステップアップしていただくことを願って書いています。なので、ぜひ読んでいただけたらなと思います。



K・Kさん
私はSNSのコミュニティの中で「ちょっとこれってどうなんだろうか?」とか「こういうところがちょっと困っているんだけどな」ということを、入学して最初の頃にチラッと日記に書いたんですね。その時に、既に入学されている方からアドバイスをいただいたり、同じく入ったばかりの人たちも「確かにそこね。そこが疑問よね。」みたいな感じで共感してもらえる部分とかも結構あって、「こういう感じでやっていけばいいんだな」というコツを掴むきっかけになったかな、と思ったりします。
あとは、フライングカフェ(学習会)で、先生が京都の寺社を巡るイベントを企画してくださったりしたので、そういう所でリフレッシュしながら、また相談にのってもらいながら、なんとか乗り越えられたかなというように思います。


Q. 入学を検討されている皆さんに伝えたいこと


M・Kさん
仕事があって、家事があって、子育てや介護をしながらの勉強になると思いますが、それらと共存して学習できるようなシステムになっていると思います。少々遅れても、前倒しにも後ろ倒しにもできるようになっていて、なにかが抜けてしまったらそれで留年してしまうとか、そういう感じではないんですね。自分の仕事やプライベートと共存できるような学科で、それはすごく大きなメリットだと思います。
また、大学卒業資格が得られることは非常に大きなことですけど、それ以上に「学生にもう一度なれる」ということは、非常に楽しく、面白いことで、これを味わうことがなかったら、多分死ぬまでそんなことを思うことはなかったのではないかなと。「学生気分」というのは、社会人になってからとなると、良くない言葉のように感じますが、実際にその学生気分が味わえるというのは、すごく良いことだったなと思います。

 

K・Kさん
とくに仕事などですごく忙しかったんですけど、勉強となったときだけは「自分のための時間」という感じでした。しんどいんですけど、ちょっと逃げ場になれる時間を作れたりもするので、そういう貴重な、豊かな時間みたいなものを、もやもやするときもあるんですけど、それも含めて楽しんでいただけたらなと思います。

 

M・Sさん
卒業した後、自分なりの素敵な世界みたいなのを考えていただくと、ものすごくやりがいがあると思いますし、コストパフォーマンスがめちゃくちゃ良いと思います。
大学ですから難しいことももちろんあるのは前提ですが、いろんな質問にも答えてくれますし、先生方も親切ですし、やはりやる価値はあるかなと思います。
あとは、ネットのコミュニティですね。私は初めて参加したのが卒業した後なのですが、そういうものに積極的に参加いただくと、情報交換だったり、いろんな方が頑張っているというのが励みになったりとかもあるようですから、ぜひお使いいただいた方が良いのかなと思っています。
楽しみながら勉強するということをお考えいただければ、意外に早く卒業できると思いますし、その後もすごく良い世界が来るんじゃないかなと思いますので、ぜひ頑張っていただければと思います。

早川克美 先生(芸術教養学科 学科長)
在学生 2,000人となると、ほんとうにいろんな方がいらしていて、M・Sさんのように芸術と触れ合うことの豊かさに気付いた方もいらっしゃるし、大学で学ぶことによって、物事を構造的に考えられるようになって、仕事のプレゼンや企画書がすごく通るようになったという女性もいらっしゃいました。
あと、介護をしながら勉強していた方から、メッセージをいただいたことがあるんですね。介護は、本当に辛い時間だったんだけれど、勉強しているときは「○○さんの娘さん」ではなくて「私」になれたことが、すごく幸せだったと言われたんです。今も話していると胸がいっぱいになってしまいます。
また、子育てで苦労している方も「○○さんのお母さん」ではなくて、勉強している時だけは一人の人間、「自由な私」になれたとおっしゃるんですね。やはり「学んでいること」って、すごくその人を「自由にしてくれること」だと思うんです。
皆さんそれぞれの2年、3年、4年があって、すごく真摯に学ばれた良い時間を過ごされていたと思います。それを皆さんにも味わっていただけたら、私は幸せだなと思います。

野村朋弘 先生(芸術教養学科 主任)
芸術教養学科は、芸術を教養として学ぶ学科ですよね。それというのは、卒業した後に何かしら私的に、例えば「英語が何点以上取れる」とか、もしくは他コースのように「100号のパネルに絵を描いた」とか、「模型を作った」とかでは全くないんですね。
僕が入学説明会で必ず言っているのは、入学して学ぶことによって「脳みそをヌカ床のようにできる」と。要は、幅広い教養を学ぶと、何かインプットした時に、より豊かな発想とか着眼点というのが培われるのが教養だと僕は思っています。
人生の基盤となるようなヌカ床を一人ひとりが作れるように、教員はもとより事務局の皆さんによるサポート体制を構築して、日々より良くなるように考えていますので、ぜひ前向きに学ぶことを検討いただければと思います。
ぜひ入学してみて、単発ではない「体系的な学び」というのを味わって、噛み締めてもらえると嬉しいかなと思います。

 

芸術教養学科|学科・コース紹介

出願手続方法について詳しくはこちら ↓
https://www.kyoto-art.ac.jp/t/shutsugan/

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