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ランドスケープデザインコース

2018年12月04日

【ランドスケープデザインコース】「農的な暮らし」を軽やかに学ぶ

こんにちは。
ランドスケープデザインコース・業務担当非常勤の木村です。

今回は、11月3日に行われた、「里地・里山の構造と風景デザイン」のスクーリング実習について紹介します。私たちは、中村良三先生の導きで、東京近郊で「農ある暮らし」を提唱・実践している、後藤雅浩先生(一級建築士)が暮らす「雨読晴耕村舎」を訪問しました。

里地・里山のランドスケープへ

東京から1時間半ほど電車に乗り、羽生市内をバスで行くと、郊外の田園風景が広がっています。私たちの一行が、バスを降りて、その明るい田んぼ道を歩いていくと、屋敷林に囲まれた古民家「雨読晴耕村舎」にたどり着きました。密度が高く薄暗い屋敷林の間を抜けると、程よく光が差し込む庭がひらけます。築100年以上という古民家が見えると、学生たちは、思わず歓声をあげていました。





農地と屋敷林を活用した生業

後藤先生は、「雨読晴耕村舎」の周囲にある、畑と水田で作物を育てています。自家用に消費するほかは、加工品用にバジルやニンジン、大豆などを育て、製品を販売していますし、遊休農地ではヤギも飼っていて、自家用のミルクを得たり、レンタルで貸し出したりもしているそうです。

また、家の周りの屋敷林は建築家として仕事をする際に、木材としても使われます。実習中スライドで見せていただいた、保育園の増築事例では、木の幹や枝の形をそのまま生かし、子供たちが登って遊べる空間づくりをしていたのが印象的でした。







素敵なランチタイム

ランチタイムは、この課外授業で最も楽しい時間です。庭のテーブルに、自家製の窯で焼いたピザ、薪と羽釜で炊いたご飯、納豆、サラダ、みそ汁など、ほとんどすべてが自家製の料理が並べられ、バイキング形式で食べます。暖かな太陽の下で、農的暮らしの豊かさを、全員が実感しました。





「田植えは瞑想のようで楽しい」

後藤先生の農業は、自己流でマイペースな農業と言えそうです。例えば、水田では、耕運機を全く使わない不耕起栽培を実践しているそうです。近隣の農家からも驚かれるような、自己流の農法を常に試行錯誤している訳を、「無理をしないで農業をするため」と説明されました。また、「手で植える田植えは瞑想のようで楽しい」という言葉も印象的でした。これらの言葉からは、身の丈にあった農的生活を、楽しみながら継続する事が重要なのだ、というメッセージが伝わってきました。



持続可能なライフスタイルとランドスケープ

この講義で学生たちは、中村先生の力を借りながら、里地・里山が担ってきた機能や、持続可能なランドスケープの在り方について学びます。現場を訪問する課外授業で、実際に里地・里山の風景に入り込み、そこで暮らす人に出会う事で、一単位分の持続的ランドスケープについて実感として理解する事ができます。

「雨読晴耕村舎」では、かつて都市的生活をしていた後藤先生が、農のある暮らしへとライフスタイルを転換させ、身の丈に合ったやり方で、豊かに暮らしている事を実感する事ができます。「農ある暮らし」というと、都市に暮らす人々が、都市を捨て一大決心のもと始めるというイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。このロールモデルは、私たちに、都市に暮らす比較的多くの人々が、無理なく、「農ある暮らし」へとライフスタイルを転換していく可能性を示してくれています。それにより、私たちも、持続可能なランドスケープを軽やかに構想することができるようになりそうです。


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