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芸術教養学科

2019年08月30日

【芸術教養学科】ウェブサイトのあちらとこちら

皆さん、こんにちは。芸術教養学科教員の下村です。

 

フライング・カフェで訪れた、興福寺中金堂。
1717年の焼亡以来ほぼ300年ぶりに再建された。


去る8月10日にフライング・カフェ(学習相談会)を奈良で開催しました。昨年ほぼ300年ぶりに再建された興福寺中金堂や、ならまちの街並みや町割りなどを実見したのち、涼しい場所で学習相談会、その後交流会という、鉄板の構成でなかなか良い会になったので、その時のことを書こうかと思ったのですが、改めて振り返ると、フライング・カフェの記事はこれまでも結構あったようです。

芸術教養学科は、webだけで学びを完結させることができる学科です。ですから他の学科のように、みんなが顔を合わせるスクーリングのような機会は少ないのです。そういうことで、こういう場所で交流の様子を紹介しようとすると、どうしてもこうした学習相談会や、ガイダンスなどになってしまいがちなのです。

芸術教養学科の学びには、学友や教員との交流の場が数多く用意されています。これは、勉強が行き詰まったときに、何より頼りになるものです。ですが、日常的な交流からはやや距離を置いて、とりあえずは一人でPCに向かって励まれている方も多いと思います。他の人との関わりに、さまざまなグラデーションがありうる、というのはこの芸術教養学科の一つのよいところなのだと思います。

通学部の大学であれば、毎週決まった時間に決まった先生の講義があります。先生も規則正しく「大学に勤める」という形になります。では、通信教育の、特にこの芸術教養学科のような、web完結の場合はどうなのでしょうか。このあたりは先生によって差もありますが、結構みんな普通に大学に顔を出しています。授業のふりかえり、次の学舎や他学科のヘルプで入る授業の準備、さまざまな企画の打ち合わせ、会議そういった用事が結構あるのです。これは通学部の先生方とあまり変わりません。
それから多忙でなかなか余裕がないのですが、教員の本分として、みんな制作・研究に励んでいます。最近では、野村朋弘先生の著書「諡(おくりな)-天皇の呼び名」(中央公論新社)が話題になりました。

何が言いたいのかと言うと、webの向こう側にいる教員たちが、どういう人たちなのかわからないままレポートを執筆されている方もいるのだと思いますが、決してAIなどではなく、血の通った人間がレポートを読み、文章を吟味して講評文を書いているのです。

奈良のフライング・カフェは、夏期のテキストレポート(TR)科目の添削採点の山場と重なっていました。数十件という件数のレポートを読み、どこが優れているか、どこに問題があるかを、できるだけわかりやすく伝える講評文を執筆します。毎週の授業がない代わりに、このレポートは一時に集中して届くので、その講評期間はPCに張り付いての生活になります。みなさんがレポートを書いている時と、たぶんよく似ているでしょう。

当たり前のことですが、レポートはひとつひとつ異なる個性を持っています。私たちはそれを読み取り応えていかなくてはなりません。共通の問題点というのももちろんあって、そういう部分についてきちんと指導を行っていくのも大事なのですが、ひとりひとりのもつ問題点、際立つおもしろさ、というものがあり、そのたびごとに鼓舞したり、時には辛辣なことを書いたりしなくてはなりません。
このレポートの講評は、私たち芸術教養学科の教員にとって、学生とのもっとも大切なふれあいの時間だと思います。芸術教養学科には、全国に二千人を超える在籍者がいます。先の奈良のフライング・カフェは賑やかなものでしたが、その参加者は全在籍者の1%にも及びません(それでもそういう機会の学びの上での有効性を私たちは知っていますので、毎月のように、日本の東西、時にはいろいろな地方で学習相談会を開催しているのです)。しかし、レポートは、学ぼうとしている学生全員が提出してくるものです。顔を見たことのない学生も、ここでは言葉を交わすことができるのです。

8月のテキストレポート科目の講評締め切りのあと、すぐに9月卒業の人たちの卒業研究レポートの採点講評の時期がやってきました。芸術教養学科は他の学科と違って、4月だけでなく、10月にも入学することができます。こうした人たちは数年後、9月に卒業していくのです。
今年の夏の卒業研究レポートも味読させていただきました。その一部(本人と取材先の許諾のあるもの)は、10月に公開されることになっています。


Web卒業制作展のトップページ。
報告事例の蓄積は日本全国はもちろん、海外にも及ぶ。


卒業研究レポートは、これまでのものも含めウェブサイト(http://g.kyoto-art.ac.jp/)でご覧になることができます。芸術教養学科の学びが、有名芸術家によるいわゆる芸術作品だけでなく、人々の創造的な営み全般に及ぶものだということがお分かりになると思います。

興味を感じた方は、
芸術教養学科(手のひら芸大)2019秋入学のご案内と今後のイベント情報
https://www.kyoto-art.ac.jp/t/news/148
を是非ご覧ください。

 

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