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ランドスケープデザインコース

2019年09月17日

【ランドスケープデザインコース】変化していく庭から学ぶ庭園デザイン

ランドスケープデザインコース教員の木村です。
今回は、8月24日に行われた、東京でのスクーリング「管理から日本庭園を学ぶ」の様子をお伝えします。

このテーマは、一見すると庭の管理技術論のように見えますが、スクーリングを体験すると、庭の全体構造から樹木の剪定に至るまで、変化し続ける庭園のあり方全般について学べることが分かります。


まずは、高崎先生とともにめぐる、新宿御苑の見学から始まります。
大木戸門から入園すると、先生は、まず学生たちを日本庭園「玉川園」の休憩所に集め、その歴史と併せて、庭園の正面はどこかという話から語り始めました。

続いて、池の向かい側にある白樫の剪定が不十分であるため、本来重要な視点場から見えるはずの滝が隠れている事などを指摘していきます。
高崎先生は、新宿御苑の歴史や生態学の深い知識から、園内の様々な空間に対してコメントをしていきます。学生たちが一番驚いたのは、アンリ・マルチネ設計のフランス整形式庭園のプラタナス並木に行った時でした。


開園以来100年以上、剪定管理を続けられてきた並木のプラタナスと、その奥の自然に育ったプラタナス(ともに樹齢約130年)の大きさは、驚くべき違いを見せていたのです。

美しく並ぶ並木にも、自由に育った大木にもそれぞれの美しさが宿っていました。このプラタナスは、変化し続ける生き物としての庭園とその管理について考える象徴として、学生たちに印象を残しました。

こちらは、先生に「まあ見てきてごらん」とおすすめしていただいたラクウショウ。立派な気根がこれほどまでに出ている姿は、まさに解説抜きで見事な風景です。

午後は、尼崎先生による講義です。

毎回、先生の講義では、発掘調査を通じた科学的な知識に裏打ちされた、庭の管理・デザイン論を聴くことができます。

桂離宮の敷石が建物の庇の増築により雨落ちが必要になってできたこと。修学院離宮の大刈込が、長い間放置されていた植え込みをバッサリと切ったことで生まれたこと。誰もが知る庭園の意匠が、その庭の長い歴史のある一時期に、庭を管理する現場の裁量で生まれた経緯を聞くと目を見開かされました。(筆者メモ参照)



庭のデザインの大事な部分は、デザイナーの意図を超えた、奥深いところにある事を学んだ日でした。

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