PHOTO

PHOTO

ランドスケープデザインコース

2019年12月03日

【ランドスケープデザインコース】特別講義レビュー「村文明の日本と都市文明のイタリア」

ランドスケープデザインコースでは、年2回(京都キャンパス1回、東京キャンパス1回)ゲスト講師を招いて、どなたでも聴講(無料)できる特別公開講義を開講しています。
今回は11月16日(土)に、京都キャンパスで開講された講義のレビューになります。

—-
今回のゲスト講師は、井口勝文(いのくち・よしふみ)先生。
イタリアで長く活動する井口先生による「村文明の日本と都市文明のイタリア」と題した講義が行われました。

講義はまず、スクリーンに映し出された都市風景のスライドからスタートしました。
先生はスライド前に一言、「よく観てください」と。
ヨーロッパやアメリカ、アジアの各都市から日本の都市風景まで、淡々と画像が流れていきます。

スライド後、日本の「都市」についての話が始まります。
「そもそも日本に都市は存在したのか?」
「もともと日本にあったのは、自然風景と共にある村ではないか。」
「自然風景に対して繊細な日本は、都市風景に鈍感なのではないか。」

井口先生は日本の歴史や文化的な背景から、「都市のなかった日本」にできた都市とはどのような存在なのかということを掘り下げていきます。
その中でおっしゃっていた「風景を主体的に見ずに、抽象的/概念的(見えないもの)に見ている」ことが、都市風景への感覚を鈍感にしているという内容には、納得するところでした。

「どうして日本は自然風景は美しいのに、都市風景は美しくないのか」というところから、話は次のテーマ「都市のデザイン」に移っていきます。
美しい都市であるために必要なことは、清潔、安全、奇麗なデザインではなく、本質は外部空間にあり、そこに美しい都市は存在するということ。美しい自然があるように、美しい都市は存在することをおっしゃってから、もう一度都市風景のスライドを「観察」しなおします。
はじめに見たスライドを逆再生し、主体的に都市風景を見る作業をおこない、聴講した人がそれぞれに都市風景を再考するような時間でした。

そのあとは、都市風景の手法として、イタリアの広場を例に説明が行われました。
広場の設計マニュアルや視点場による空間の捉え方、そして全体が連続的につながっていることなど、「モノ」が「空間」になり、「空間」からその「連続性」へと、広場のデザイン構成を具体的な詳細の解説とともに説明していただきました。

最後には、とても緻密に構成され広場のデザインは、デザインしたことを考えさせない風景であることが重要であるということ。そしてそこには、風景の連続性があり、長い時間の連続性の上に都市が成り立っていることをご教示していただきました。
聴講した人たちにとっては、都市の風景を見るための新しい指標と発見のある時間だったのではないでしょうか。

 

ランドスケープデザインコース| 学科・コース紹介

この記事をシェアする