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芸術教養学科

2019年12月17日

【芸術教養学科】秋の1日体験入学のご報告!

 みなさん、こんにちは。芸術教養学科の加藤志織です。紅葉が美しく色づき、気づけばもう師走。2019年度も残り少なくなり、来年度のことを考える時期になってきました。本学ではご入学をお考えの方のために、11月から来年3月にかけて、本学通信教育部の学びを知っていただくイベントを順次開催しています。そこで今回のブログ記事は、11月10日(日)に京都で開催しました「秋の1日体験入学」における芸術教養学科の様子をご紹介いたします。なお、2020年1月12日(日)は京都で、1月18日(土)は東京で「冬の1日体験入学」(事前予約制)を開催いたします。また、入学説明会(予約不要)を2月と3月に実施いたします。どうぞ、みなさんご参加ください。「冬の1日体験入学」および入学説明会の詳細は本学ホームページ(https://www.kyoto-art.ac.jp/t/briefing/)でご確認いただけます。


 芸術教養学科は完全オンラインによる学習のみで卒業することができる教育体制を整えています。WEBに接続できる環境であれば海外に居住しながら学ぶことも可能です。したがいまして、これからご報告するような教員と学生が顔を直接合わせる形式の授業はありません。そのために、芸術教養学科の学びの一端を多くの方にお伝えするために、今回は特別な講義内容を考えました。わたしたちの学科では「モノの見方、感じ方」を変えることで暮らしのなかに芸術を取り入れ、活かす方法を学んでいただきます。

 ここで言う「芸術」とは、いわゆる絵画や彫刻あるいは建築といった「美術」だけを意味するのではありません。ラテン語のアルス(ars)や漢字の「藝」が持っている意味のように、人がより良く生きるための技術・学術・知識を指します。もう少し具体的に言えば、本学科は、主に時間、イベント、行事、空間、編集、協働、コミュニティに関わる事物や事象を「伝統」と「デザイン思考」をキーワードに考察します。「伝統」からは過去の有益な技術や学術を参照し、「デザイン思考」からはモノやコトを「観察」・「問題定義」・「創造/視覚化」・「プロトタイプの作成」・「テスト/評価/改良」することのできる見方や考え方を身に付けていただきます。

【授業中の様子(下村泰史教員)】



 先日の「秋の1日体験入学」では、そうした広範囲にわたる対象のなかから特に町の「空間」を題材として選び、それを本学科の下村泰史教員が「景観」と言う観点から分析する際の着眼点について講義いたしました。これは「デザイン思考」における観察と問題定義の段階に相当します。まずは教室で、景観が人間の営みと自然との関わりによって成立していること、景観と風景との違い等は何かという根本的な解説があり、続いて景観を考察するときには、「視対象」を見る場所、すなわち「視点場」を定める必要があること、景観はさまざまな別個の要素によって構成されるため、それぞれの要素の境界に注目すべきであること、景観は複数の別個の要素から成り立ってはいるもののそれらの境界を超え出て現れるものであることなどについて解説がありました。

【景観を調査するために白川疏水に移動】



 景観の調査・分析に必要となる基礎的な情報を学んだところで教室から爽やかな秋晴れの下に出て、ちょっとしたピクニック気分を味わいながら京都造形芸術大学瓜生山キャンパスの近くを流れる白川疏水へ移動。下村教員からの指示の後、実際に周辺を見学しながら参加者各人がその場の景観を構成している疏水や遊歩道あるいは周辺の樹木などの位置関係等について、それぞれの境界に注目しながら観測・計測しました。じっくりと見てみると、普段の生活では見逃してしまうような疏水や遊歩道の幅、疏水の深さ、疏水や遊歩道の脇に植えられた草木の種類や大きさなどを知ることができました。

【疏水に沿った遊歩道で周囲の植生を観察】



 現地調査を終えて教室に戻り、今度は参加者それぞれが観測したデータと周辺の地図を基に疏水の断面図を作成することによって、その場の景観について考察するワークショップをおこないました。方眼紙に色鉛筆を使い、現場で収集したデータやメモなどを参考に、できる限り正確に疏水の断面図を作成するなかで、景観が漠然としたイメージなどではなく、複数の要素と個々の要素が織りなす境界から成り立っていることを認識することができたと思います。この度の体験授業は特別に対面形式で実施しましたが、芸術教養学科では、同じように多様な事物や事象を「伝統」や「デザイン思考」の視点から考察する方法をテキストや動画教材などを用いて学習していただけます。

【疏水の断面図を作成するワークショップ①】



【疏水の断面図を作成するワークショップ②】



 体験授業は13時に始まり15時過ぎに終了。その後で学科のカリキュラムや学習方法等に関する説明があり、16時には解散となりました。貴重な秋の休日にご参加くださったみなさん、本当にありがとうございます。限られた時間ではありましたが芸術教養学科の学びの魅力に触れていただくことができたと考えています。ご入学いただき、来春からこの続きを体験していただければ幸いです。お待ちしています!

 

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