ランドスケープデザインコース
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2020年07月18日
【ランドスケープデザインコース】風景をよみがえらせるランドスケープデザイン
こんにちは。ランドスケープデザインコース・業務担当非常勤講師の木村直紀です。
今年度のスクーリングはZoomでの授業が続いています。そこで、自主的に事例を見に行く機会を作りたいと考えている学生の皆さんや新たにランドスケープデザインについて知りたいと考えている方々に、ランドスケープデザインの魅力が伝わる公園デザインの事例を紹介したいと思います。
場所は茨城県古河市にある古河総合公園。上野から宇都宮線で1時間ほど行った古河駅が最寄りですので、東京周辺の方は気軽に見に行くこともできると思います。
この古河総合公園プロジェクトは、私の恩師である東京工業大学名誉教授の中村良夫先生が、昨年、東京・外苑キャンパスで行われた特別公開講義において、「古河公方公園のランドスケープ-コモンズ型公園におけるデザイン思想-」と題し紹介されたプロジェクトです。
それは、戦後の食糧増産に伴い埋め立てられた御所沼を復元する自然再生の物語であり、そこに新旧の遺構や建築物を融合させた文化的景観生成の試みでもあります。
かつて、利根川と渡良瀬川の合流するこの一帯には沢山の沼がありました。この公園の中心部にある御所沼もその一つで、その中ほどまで伸びる台地には、中世に古河公方が館を構えていました。戦後埋め立てられ完全に死んでいた沼は、この公園計画によりよみがえりました。
復元に伴い掘られた土で丘を造形するなどして、まず、この公園の基礎となる地形がデザインされました。
自然地形の上には、古河公方の旧跡や古民家等が入り混じるように存在し、歴史・文化の層を形成しています。園の外れのややひっそりとした場所には、「目洗弁天池」という江戸時代から人々が通っているとされる場所があります。この池と祠も華美にならないよう配慮しながらも大事にデザインされているのが分かります。「目洗弁天池」から流れ出た水路は、御所沼へ流れ込んでいます。
そして現代的な風景の層へ。園内には、市民が利用する施設として橋などの構造物のほか、建築家の内藤廣さんの管理棟、妹島和世さんの設計したカフェテリアなどがあり、いずれもランドスケープとの関係が重視された建築物としてデザインされています。
管理棟は、この公園の印象的なゲートとしての役割も果たしています。
白くシャープな印象のカフェテリアは、この御所沼復元という自然と歴史が重なる重厚な風景づくりの場に、現代的で軽快な風景の価値を重ねています。
本レポートは、昨年11月公園で行われたイベントに、中村先生がいらっしゃるという事で、久々に訪問してきた際の写真を用いて作成しています。
もう20年以上前の事ですが、私の学生時代には中村研究室の先輩たちが園内施設の設計をしていました。久々にこの公園を訪れた私は、当時研究室に入ったばかりの自分が、興味津々にその様子をのぞき見し、時に図面の修正をお手伝いしていた記憶をよみがえらせました。そして、当時は理解できなかったランドスケープデザインの力について、改めて知ることとなりました。
尚、御所沼復元の詳しい過程についてついては、中村先生の著書「湿地転生の記」(岩波書店)に詳しく書かれていますので、ぜひ読んでみてください。
ランドスケープデザインコース| 学科・コース紹介
今年度のスクーリングはZoomでの授業が続いています。そこで、自主的に事例を見に行く機会を作りたいと考えている学生の皆さんや新たにランドスケープデザインについて知りたいと考えている方々に、ランドスケープデザインの魅力が伝わる公園デザインの事例を紹介したいと思います。
場所は茨城県古河市にある古河総合公園。上野から宇都宮線で1時間ほど行った古河駅が最寄りですので、東京周辺の方は気軽に見に行くこともできると思います。
この古河総合公園プロジェクトは、私の恩師である東京工業大学名誉教授の中村良夫先生が、昨年、東京・外苑キャンパスで行われた特別公開講義において、「古河公方公園のランドスケープ-コモンズ型公園におけるデザイン思想-」と題し紹介されたプロジェクトです。
それは、戦後の食糧増産に伴い埋め立てられた御所沼を復元する自然再生の物語であり、そこに新旧の遺構や建築物を融合させた文化的景観生成の試みでもあります。
かつて、利根川と渡良瀬川の合流するこの一帯には沢山の沼がありました。この公園の中心部にある御所沼もその一つで、その中ほどまで伸びる台地には、中世に古河公方が館を構えていました。戦後埋め立てられ完全に死んでいた沼は、この公園計画によりよみがえりました。
復元に伴い掘られた土で丘を造形するなどして、まず、この公園の基礎となる地形がデザインされました。
自然地形の上には、古河公方の旧跡や古民家等が入り混じるように存在し、歴史・文化の層を形成しています。園の外れのややひっそりとした場所には、「目洗弁天池」という江戸時代から人々が通っているとされる場所があります。この池と祠も華美にならないよう配慮しながらも大事にデザインされているのが分かります。「目洗弁天池」から流れ出た水路は、御所沼へ流れ込んでいます。
そして現代的な風景の層へ。園内には、市民が利用する施設として橋などの構造物のほか、建築家の内藤廣さんの管理棟、妹島和世さんの設計したカフェテリアなどがあり、いずれもランドスケープとの関係が重視された建築物としてデザインされています。
管理棟は、この公園の印象的なゲートとしての役割も果たしています。
白くシャープな印象のカフェテリアは、この御所沼復元という自然と歴史が重なる重厚な風景づくりの場に、現代的で軽快な風景の価値を重ねています。
本レポートは、昨年11月公園で行われたイベントに、中村先生がいらっしゃるという事で、久々に訪問してきた際の写真を用いて作成しています。
もう20年以上前の事ですが、私の学生時代には中村研究室の先輩たちが園内施設の設計をしていました。久々にこの公園を訪れた私は、当時研究室に入ったばかりの自分が、興味津々にその様子をのぞき見し、時に図面の修正をお手伝いしていた記憶をよみがえらせました。そして、当時は理解できなかったランドスケープデザインの力について、改めて知ることとなりました。
尚、御所沼復元の詳しい過程についてついては、中村先生の著書「湿地転生の記」(岩波書店)に詳しく書かれていますので、ぜひ読んでみてください。
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