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2020年08月24日
次なる人生の出発点 ― 2019年度通信教育課程「学位授与式・卒業式」
本学通信教育課程の2019年度学位授与式・卒業式が8月10日に開催されました。
例年であれば年度末の3月に迎えるはずの「晴れの日」ですが、2019年度は新型コロナウイルス感染症の影響で4カ月半遅れての開催となり、社会情勢や感染リスクを考慮して、オンラインにより執り行われました。時季も開催方法も例年とは異なる特別な式典となりましたが、修了生・卒業生の皆さんも全国から瓜生山キャンパスに思いを寄せていただき、本学での学びをご自身の生活や社会に生かす決意を新たにされたことと思います。
2019年度の修了生・卒業生の総数は685人。例年は、卒業生やご家族で埋まり、至る所で思い出話が繰り広げられる春秋座。今回は、キャンパスに集まっての開催とはいきませんでしたが、ライブ配信を約400人の方々が視聴されました。
まず、壇上に立った尾池和夫学長は式辞で次のように述べました。
瓜生山学園の役員、教職員とともに心からお祝い申し上げます。ご家族、友人の方々の支援があり、先生の熱心な添削指導があり、スクーリングでの講義や実習などに応えた皆さんが、学位授与の日を迎えられました。今、新型コロナによる感染症の影響が世界中にあって、人類がどのような足跡を残すか予測ができない状況にあります。その中で、皆さんもそれぞれに悩み、ご苦労をなさっていることと思います。くれぐれも心身の健康を第一にお過ごしくださいますよう、改めてご卒業誠におめでとうございます。
続いて、通信制大学院の日本庭園分野を修了された大山浩朗さんの「修了の辞」が代読されました。入学式では本学の理念「京都文藝復興」の朗読を聞いて身震いをされたと振り返られ、長年ご自身の頭の片隅にありながらも答えを導き出せないでいた「庭とはなにか」という問いを探求されてきた学生生活を明かしていただきました。
本日の修了・卒業は、私たちの次なる人生への出発点です。
修了の辞の終盤の言葉が、修了生・卒業生の皆さんの心境をまさに表していることと思います。卒業がゴールではなく、新たな人生のスタートライン。そのことを改めて感じられた方も多いことでしょう。
学園歌「59段の架け橋」の音色とともに、修了生・卒業生の皆さんの学生生活を写真で振り返りました。
修了生・卒業生の皆さん。皆さんの「人生で最も新しい母校」は本学です。年齢も立場も職業も本当に多彩な方々が「学びたい」という共通の目標を持って集まり、試行錯誤や研鑽を重ねながら、自身を更新し続けてきた学生生活。「いくつになっても成長できる」という言葉を、685人の方々はまさに体現してこられました。
久しぶりに大学で同窓生や教員と再会することを楽しみにされていた方々には残念な開催形式となってしまいましたが、瓜生山学園の教職員一同も皆さんの新たな門出を心から祝福しています。あらためまして、修了・卒業、おめでとうございます。
最後に、大山さんの修了の辞を紹介させていただきます。
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新型コロナウイルスが世界に広がり、国内でも様々な対応が求められております。このようななか、京都造形芸術大学の修了式・卒業式実現に向けて最後までご尽力を賜りました京都芸術大学並びに関係者の皆様のお心遣いに対しまして、厚く御礼申し上げます。
私たちは、様々な人生経験を経て、全国から芸術の学び舎、ここ京都芸術大学に集結し、それぞれの切り口から芸術の本質に迫り、研鑽を積んで参りました。先生方は、卓越した専門性と識見をもって、時間を惜しまず、カリキュラムの枠を越えて、熱心にお導きくださいました。
私は庭づくりを課題に一級造園技能士十名による勉強会を続けておりますが、「庭とは何か」という問いに答えを見いだせないまま、齢を重ねておりました。その答えを求め、二〇一八年二月、東京(芸術)学舎に尼﨑博正先生をお訪ねしたことが、本学にご縁をいただいたきっかけです。
四月の入学式、私は最前列の中央に席をいただきました。そこで故・徳山詳直先生の建学の精神「京都文芸復興」の朗読をお聞かせいただき、天啓の導きを得た、と身震いしたことを今思い出します。
スクーリングの初日、尼﨑先生は「庭は作庭者の世界観の表現である」と申されました。これは凡そ芸術分野に通底する原則として、私の論文のテーマへの視点と方向を決める一言となりました。未だ謎の多い鎌倉瑞泉寺の庭を夢窓疎石の世界観に立って解き明かすという難題に体当たりする勇気をいただき、また、覚悟を決めることができたのもこの一言に尽きます。
先生方は、御自らの、また、先達の汗の浸み込んだ庭を教材として私たちを案内し、的確な資料を用意して私たちを庭の世界へと招き入れてくださいました。熱のこもったご教導のおかげで、私たちは造形芸術の本質と哲学を理解し、深め、一歩一歩、自分の言葉で、論文の作成と推敲を重ねることができました。先生方のご期待に応えることは、困難かつ苦しみを伴いましたが、それは私たちにとって生きがいそのものでもありました。
本学は、専門性を異にする幅広い芸術分野の受け皿を用意して私たちに芸術探求の意義を示し続けてくださいました。それぞれの芸術分野は独立しつつも分離するものではなく、有機的に関連しつつ、総合芸術として収斂さるべきものであることは、徳山先生のご遺志であり、本学の共通認識でもあります。
本日の修了・卒業は、私たちの次なる人生への出発点です。私たち修了生・卒業生六八五名は、ひとりひとり本学で学び得た成果を矜持とし、今後も、徳山先生のご遺志を継いで「芸術文化探求への絶えることなき研鑽」を積み、京都芸術大学と共に、ここ京都から文芸復興の鼓動を新たに発信していくことを決意し、お誓い申し上げます。 ありがとうございました。
令和二年八月十日
二〇一九年度修了生・卒業生代表
京都造形芸術大学
芸術環境専攻 環境デザイン領域
日本庭園分野修了 大山浩朗
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