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文芸コース

2021年01月17日

【文芸コース】卒業生紹介「文芸のある風景」

通信教育部のパンフレットでは、毎年卒業生の方に直接お会いして在学時のエピソードなどをお聞きしていますが、その内容をこちらのブログでも紹介いたします。

本日は文芸コース。
入学前は文章で伝えることが苦手だったという佐藤さん。
佐藤さんが文芸コースで学んだこと、そして今伝えたいこととは?



「我ながらヘタクソで、先生にも呆れられて、それがなんだか気持ちよかった」と、入学当初を振り返る佐藤さん。卒業後のいまは、本職のデザインを活かして、地元を紹介する小冊子の編集から執筆までを手がけている。「書くことが苦手な自分を克服したくて入学。でもどこかで、ヘタなりに味のある文章が書ければ、という期待もあったかもしれません」。しかし現実はそう甘くなく、とても奥深いものだった。「泣きながら課題を書いたこともあります。文章を書くとは、自分を飾らず心の底から素直になること。それがすごく難しいのだとわかりました」。社会で過ごすうち、気がつけば、なるべく嫌なことを避け、限られた世界のなかで満足するようになっていた。けれど、ひとたび人に読んでもらう文章を本気でつくろうと思ったら、好きも嫌いもとことん向き合い、悩み抜かなくてはいけない。「さまざまな先生方の言葉に導かれ、人間として成長できたような気がします」。

「先生や学友に教わってばかり」という佐藤さんだが、自分から教えてあげたいこともある。「文芸って、机の前だけでやるものじゃないんですよ」。この街に移り住んで出会った、緑の中の渓谷、お気に入りの店、静かな町並み。自分に書く力をくれる対象をいつも身近に感じたくて、メモを片手に歩き回っているそうだ。「見飽きない自然、優しい人々、消えつつある伝統文化。書く材料はいっぱい揃っているので、あとは、何からどう伝えるか」。じつは、本コースに来たもうひとつの理由が、都会暮らしをやめて木地師(ろくろで椀や盆の木地をつくる職人)となった夫のこと。「ずっと近くで見つめてきた私が、書いて、語り継がなくちゃ、と思っているんです」。苦心の末にまとめた卒業論文も、ほんの序章。何年もかけて、じっくりかたちにしていきたい。緑の中、心の奥から紡ぎだされる佐藤さんの物語は、いつか、多くの人に届けられていく。



佐藤 愛子さん
文芸コース(3年次編入学) ’19年度卒業 石川県在住

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