PHOTO

PHOTO

文芸コース

2018年06月19日

【文芸コース】文芸の世界に踏み出す、スクーリング科目「文芸入門」

 2018年度の文芸コースのさまざまな授業がスタートしています。

 69日(土)〜10日(日)に東京・外苑キャンパスで、
 616日(土)〜17日(日)に京都・瓜生山キャンパスで開講されたスクーリング科目「文芸入門──読むこと・書くこと」の1日目の授業の様子をお伝えしましょう。



 第1日目は「〈読む〉ことと〈書く〉ことの意味を考える」という、漠然としたテーマから授業が始まりました。今までなにげなく行ってきたことを、立ち止まってじっくり考えてみる──これは大学での学びの1つの特徴です。

 私たちは、書き手が〈知っていること・感じたこと・考えたこと〉を文章に書けば、その文章を読んだ読み手に〈知っていること・感じたこと・考えたこと〉が伝わる、と単純に考えやすいものです。しかし、脳の中のあれこれがあっという間に文章になるなんてことはない、と誰もが経験的に知っています。文章を書き、それを読み直し、そして書き直す、さらに読み直し、また書き直す……、この繰り返し(推敲)によって私たちの〈知っていること・感じたこと・考えたこと〉が明確になったり、修正されたりします。つまり、書くことは自分を発見するプロセスでもあります。

 いっぽうで、読み手が文章を読むときは、自分の知識や経験の枠組みを用いてその文章を理解しようとします。しかし理解を超える場合は、文章を通して書き手と対話するように文脈をたどり、書き手の思考の流れを追うように読んで行きます。こうして理解や解釈や読み換えのすえに、書き手と読み手の〈知っていること・感じたこと・考えたこと〉が融合したような場所に到達します。これが読書の醍醐味といえるかもしれません。



 さて、〈読む〉ことと〈書く〉ことの意味を考えたあとに「能動的に読む」という授業に進みました。文章を読んで理解するための7つの方法を確認してから、新聞記事、小説(川端康成の掌編)、歴史評論の3つの例文を履修生全員で、1センテンスずつその意味を考え読んでいきます。みんなで重箱の隅をつつくように(つまり、能動的に)読むと、短文なのにその背後にたくさんのことが見えてくるのは、不思議な経験でした。

 つぎに、日本語で文章を書き表すときのルールについて、少々面倒な授業です。「文芸とは、自由にのびのびと書くことではないのか」と思われるかもしれませんが、小説家もエッセイストも詩人も、そして出版社、新聞社も、日本語をどのように書き表すかについてはそれぞれがルールを持っています。日本語表記のルールに沿った文章は、たたずまいも美しくなるのです。

 ボキャブラリー(語彙)が豊かであると文章はどうなるかを、さまざまな例文をもとに示していくという授業もなかなか盛り上がりました。スクリーンに示されたある人物の画像。その人物が身につけているものを、全員でリストアップしていき、文章にしていく。最後は、人物の雰囲気を表す言葉をつけ加える。観察して得たことをボキャブラリーを駆使して文章に〈書く〉。果たしてこの文章を〈読む〉ことで、読み手の脳内にその人物の像が結ばれるか。興味深いワークショップで1日目の授業は終わりました。

 

(「文芸入門」第1日目授業担当教員・門崎敬一)


文芸コース|学科・コース紹介

文芸コース コースサイト

この記事をシェアする