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陶芸コース

2021年01月20日

【陶芸コース】卒業生紹介「未経験ゆえの苦労と、かつてない気持ちの高まり」

通信教育部のパンフレットでは、毎年卒業生の方に直接お会いして在学時のエピソードなどをお聞きしていますが、その内容をこちらのブログでも紹介いたします。

今回は陶芸コース。
本学に入学して初めて陶芸を学び始めた土岡さん。卒業制作ではどんな苦悩があり、最終的にどんな作品が出来上がったのでしょうか。



窯から出てくる直前まで、それは「悩みのタネ」だった。もともと初心者だった土岡さんを一年間、悩ませつづけた卒業制作。本コースに来るまでは、そんな創作の苦しみどころか、土にふれた経験すらなかった。自宅で制作中に土が割れて途方にくれ、メールで先生に救いを求めたテキスト科目。人生初のろくろに振りまわされ、最後の最後でなんとか仕上げたスクーリング。未経験ゆえの苦労は数えきれないが、少しずつ、手の中の土が思うようになっていくことに、かつてない気持ちの高まりを感じた。「とにかく毎日、土にふれない日はありませんでした。ふれるのが安らぎでもあったし」。けれど卒業制作だけは、そんな安らぎさえも吹き飛んでしまう、苦悩の連続だったという。

「いま振り返ると、背伸びしすぎていたんでしょうね」。大好きな小説をテーマにしたものの、実体験とはかけ離れた世界を、どうしても上手くかたちにできない。「ちょうど私生活でも心配ごとがあって、家族にきつく当たってしまい、そんな自分にも嫌気がさして」。中間発表が迫るなか、夜中まで思い詰めて、ふと気づいた。「私にはタネがある」。ずっと好きで集めていた植物の種子、何度かモチーフにしていたのに、あまりにも身近で忘れていたのだ。「いまのトゲトゲした自分や、その殻を破りたいという想いを、ありのまま表現してみよう」。新しいテーマに力を得て、醜い殻に包まれた美しい実を、丹精込めてつくりあげていった土岡さん。焼成で窯から出てきたその姿を見て、考えが180度変わってしまった。「トゲを立てたその殻さえ、懸命に私の成長を守る、愛おしいものとして感じられたんです」。そんな想いを映すように、彩色を変え、名前を変えた作品は、自己最高の評価をもらえた。「一年かけて取り組んだからこそ、ここまで突き詰めることができました」。卒業制作「希望のタネ」は、これからも、土岡さんの中で育ちつづける。

土岡 貴子さん
陶芸コース(3年次編入学) ’19年度卒業 京都府在住

▼土岡さんと本間正人副学長の対談の様子はこちら。





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