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アートライティングコース

2021年04月07日

【アートライティングコース】教えるとは共に希望を語ること、学ぶとは真実を胸に刻むこと(ルイ・アラゴン)

こんにちは。アートライティングコースの大辻都です。

いつになく開花の早かった桜が見頃を終え、名残の花吹雪が舞い散ったこの週末、京都芸術大学瓜生山キャンパスでは入学式が行われました。
この春は例年以上に多くの方が通信教育部の門を叩いたと聞いています。入学された方々、おめでとうございます。
2019年に開講したアートライティングコースは、じつはこの3月に初の卒業生を出したばかりです。少し寂しくなったところにまた新たな顔ぶれの皆さんと出会うことができ、どんな方々だろう、これからどんな文章を書かれるんだろうと今から心が躍ります。そしてすでにお馴染みの在学生の方々、新しい年度と新たな仲間を迎え、心機一転一緒に学びを進めていきましょう。

「アートライティング」とは?


未だ世間でよく聞く言葉とは言えませんし、大学でアートライティングを専門に学ぶ過程も、他にあまりないかもしれません。
アートライティングとは、ひとことで言ってしまえば、「アートについて書くこと」です。アートという言葉は「アートっぽい」とか「現代アート」などの表現で、わりあい限定的に使われることが多いようですが、コースではこの言葉の原義に遡り、もう少し広い意味合いで考えています。
英語のartは元をたどればラテン語のarsから来ており、自然に対して人間が後天的に作り出す技術、つまりかなり広い範囲を示します。コースが考えるアートとは、いわゆる「アートっぽい」ものに限らず、西洋の絵画や建築、日本の寺社仏閣、茶の湯や花道といった伝統的な芸術、工芸や手仕事など民俗的な遺産、ストリートファッションや食文化など都市に生まれる萌芽的状態の文化潮流と多岐な内容を含んでいます。
そうした広い意味でのアートを対象に、自分ならではの価値を見出し、言語化して伝える。それをコースではアートライティングと呼んでいます。
したがってアートライティングコースとは、アートに関する「書き手」を育てるコースです。自らの発見、自らの価値づけが他者に伝わるような文章をどのように書き上げるか? コースのカリキュラムで学ぶのは、そのための文章作法と方法論です。

コースの専門科目は「特講科目」と「演習科目」の2つの柱


コースの専門科目は、特講科目と演習科目の2つの柱により成り立っています。
特講とは、動画と電子教材で学ぶ講義科目。芸術の研究法や批評理論、地域資料の活かし方など、さまざまなアートライティングの事例を講義形式で学びます。
一方の演習科目は、アートライティングを実践的に試す科目。講義科目で課題とされる論述形式のレポートではないので間違えないようにしましょう。第1段階では、身近な道具や町を描写(ディスクリプション)してみます。どう書いたら、読み手に正確に伝わるか、また生き生きと想像できるか、工夫しながら書いてみてください。
演習1で正確に書くことを学んだ次のステップとして、演習2ではクリティカル・エッセイに挑戦してもらいます。クリティカルとは批評的ということ。自分なりの批評的視線を持った文章を書くことが求められます。これらの実践科目を学ぶ中で、卒業研究での課題である、各自自由なアートライティングを仕上げる力を蓄えるのです。

他にも芸術史、美学概論、芸術理論など、学ぶことはたくさんあり、大変だと思われるかもしれません。でも学ぶ過程は新たな知識との出会いの連続でもあるはずです。これまでも芸術が好きだったから入学されたのだと思いますが、コースの学びでその見方も少しずつ進化し熟成していくに違いありません。
ちなみに冒頭に挙げたルイ・アラゴンの言葉は、大学創設者である徳山詳直先生が引用されており、瓜生山キャンパスの大階段を登ったところにパネルとして飾られています。先の見えない今のような時代だからこそ、芸術を介し、また書くことを介して考えを深め、自分の心と世の中に希望の明かりを灯していきましょう。

これからどうぞよろしくお願いします。

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