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和の伝統文化コース

2022年09月03日

【和の伝統文化コース】遠隔授業で学ぶ伝統文化

こんにちは。和の伝統文化コースの教員の森田です。
本コースでは、花・茶・書・香・能・歌舞伎・日本舞踊・着物などの伝統文化を幅広く学んでいます。
今回は、先日行われた「伝統文化実践I-1(伝統芸能)E1」という日本舞踊のスクーリングを紹介したいと思います。

🔗和の伝統文化コース|学科・コース紹介

このスクーリングは、日本舞踊を講義とワークショップを通じて学ぶ遠隔授業です。講師は日本舞踊尾上流四代家元、三代目尾上菊之丞先生。東京外苑キャンパスからZoomを使ってリアルタイムで配信しました。



まず講義では、歌舞伎の歴史、日本舞踊と歌舞伎との関わり、日本舞踊の特色などについて説明がありました。

舞踊では、とくに扇が重要な役目を果たしているそうです。種類も、檜扇・桧扇、絹扇、白檀扇、舞扇、茶席扇、舞扇子、飾り扇子、夏扇子、仕舞扇、祝儀扇…等、たくさんあるのだとか。種類の多さに驚きますね。

扇の持ち方や開き方の説明もありました。持ち方一つとっても、要の部分をつまむ、要の部分を握る…等、いろいろあるそうです。



上の写真は、実際に扇をとり、基本的な持ち方をZoomの画面越しに説明しているところです。要の部分を手のひらの中心にくるように持ち、手の甲を表側に、親指を裏側にして抑えます。

綺麗に持つと、扇と腕とが一体化して見えますね。扇は、山や風などの自然描写から筆やタバコなどの物の表現に至るまで、幅広く使われます。まさに踊り手の身体の一部といえるかもしれません。

 

次に、日本舞踊の所作の体験です。尾上先生の所作を見ながら、受講生も自宅で身体を動かします。

下の写真は、女方の所作を実践しているところです。親指を少し隠して自分を小さく見せ、肩をすぼめて女性らしさを表現するそうです。実際にやってみると意外と難しく、本物の女性以上に女性らしい日本舞踊の姿はこうして出来上がるのかと実感しました。



実践のあいだは、立ち上がって踊る先生の全身を捉えるために、アシスタントがところどころカメラワークを手伝っています。パソコンやモニターを3台置き、先生も受講生の様子をチェックしながら進めました。日本舞踊ならではの身体性を体験する大変貴重な機会となったと思います。

 

コロナ禍のいま、なおも舞台上演には様々な制限があり、活動の機会も失われています。一方で、これまでにない新たな試みもなされるようになりました。

コロナ禍での試みの例として、尾上先生から日本舞踊の映像作品の紹介がありました。この厳しい状況でも希望を失わないことを願って、新たに〈地水火空風 そして、踊〉という映像作品の作・演出を手掛けたそうです。授業では作品の一部を少し鑑賞しましたが、「コロナ禍でも作品を作り続けたい」「コロナ禍にはコロナ禍ならではの挑戦がある」「踊りを通じて希望を届けたい」という尾上先生の前向きで熱い思いが伝わってきたのが印象的でした。

すでに〈地水火空風 そして、踊〉の配信期間は終わりましたが、予告映像が残っているのでよければご覧ください。※予告映像は①~⑤までありますが、ここには①のみをアップします。

【日本舞踊Neo】「地水火風空 そして、踊」予告映像① – YouTube



コロナ禍を経て、伝統文化をとりまく環境はどのように変化するのか、今後の伝統文化にどのような可能性があるのか、本コースでも追い続けていきたいと思います。

受講生からもたくさんの質問や感想が出て、たいへん充実した2日間でした。

和の伝統文化コースでは、伝統文化のいまある姿を見つめ、これからのあり方を考えていきます。他にも魅力的なスクーリングがたくさんあります。次のレポートもどうぞお楽しみに。

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