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2022年11月16日
【通信制大学院】作家というキャリアについて ―文芸領域イベントレポート
2023年に開設する通信制大学院文芸領域では「作家というキャリア」と題して、小説家の川越宗一さんをゲストにお招きしと題したトークイベントを開催しました(2022年10月14日開催)。
イベントでは、作家活動と仕事の両立をどのように行っていたのか、どのようなモチベーションで作家活動をされていたのか、デビューに至るまでのプロセスでの苦労や気づきなどをお話いただきました。
本ブログでは、トークの一部をご紹介します。
🔗通信制大学院文芸領域 紹介ページ
鹿児島県生まれ、大阪府出身。龍谷大学文学部史学科中退。2018年『天地に燦たり』(文藝春秋)で第25回松本清張賞を受賞しデビュー。短編『海神の子』(「オール讀物」同年12月号掲載)が日本文藝家協会の選ぶ「時代小説 ザ・ベスト2019」(集英社文庫)に収録(同作品は、21年文藝春秋から刊行)。19年8月刊行の『熱源』(文藝春秋)で第10回山田風太郎賞候補、第9回本屋が選ぶ時代小説大賞受賞、第162回直木三十五賞受賞。20年には同作で本屋大賞ノミネート。
文芸領域教員(領域長)。1967年生。早稲田大学第一文学部卒業後、読売新聞記者、NHK番組制作ディレクターを経て、『無頭人』(朝日新聞社)、『アトピー・リゾート』『イントゥ・ザ・サーフィン』『ミルトンのアベーリャ』『小説 蟲師』(以上講談社)、『蠢く吉原』(幻冬舎)、『結婚奉行』(新潮文庫)など執筆。
辻井先生(司会):
専業作家ではなく、会社員の仕事と作家活動を両立されていた川越さん。当時の生活、1日のスケジュールはどのようなものだったのでしょうか?
川越さん:
自分で仕事の裁量を決めやすく、働きやすい職場環境ではありましたね。
17時に仕事が終わってから、喫茶店などに寄って1日に3~5枚ずつくらいの原稿を書いていたと思います。
その時はメールで添削をしてくれる教室に申し込んでいて、書き終わると先生にメールで原稿を送る、ということをしていました。
辻井先生:
先生が教えてくださったことで、どんなことが印象に残っていますか?
川越さん:
まずは文章をすごく直された、指摘されたことをよく覚えていますね。
接続詞や代名詞は極力使わないとか、例えはあまり入れないようにとか。エンターテイメント系の作品に取り組んでいたので、スラスラ読めるように曖昧な表現は避けることを指導されましたね。
ストレスがあって読み応えがある文章ももちろんあると思うんですけど、ストレスなく物語に没入できるような書き方をした方が良いということだったんだと思います。
辻井先生:
妥協したり辞めてしまったりということも多いなかで、川越さんは小説を書こうとお決めになられてから一本筋を通して取り組んでいらっしゃると思います。
うまくいかないときに取り組む際の気持ちとしては「悔しい」という気持ちだったり、「絶対形にしなければ」だったり、どういうものなんでしょうか。
川越さん:
「僕自身が読みたいものを書きたい」というモチベーションですね。読みたいものに向かって、書いているイメージはありますね。
書き方は人それぞれだと思うんですけど、僕の場合は時間をかければかけるほど良くなると思っているんですよね。1年で書くより、10年かけて推敲して書いたものの方が良くなると思っているんです。
ただ、現実的には時間的な制約はあるので、「どれだけ粘れるか」だと思いますね。
辻井先生:
最初から「ご自分が読みたいものを書く」というお気持ちで書かれていたんですか?
川越さん:
書いているのが楽しいとか、書かないと生きていけない作家さんも多いですよね。そういった方はどんどん作品を出していくし、面白いものを出していくんですけど、僕の場合は「読みたい」がモチベーションなので、書いているときに本当にしんどいな、ということもありますね。
辻井先生:
デビューされるまでの苦労や気づきについて、教えていただけますか。
川越さん:
自分なりに書いた作品を応募して、それが落選したのでメール添削の教室を利用するという経緯だったんです。
その時に思ったのが、知ればできるんですけど、知らないとできないということがいっぱいあるということですね。接続詞や指示語の使い方とか。
知らなかったので最初は苦労しましたし、今度は頭では分かっていても文章で紡ぐには身体化する必要があるというか。息を吐くように書けないといけないので。体をつくっていくようなイメージですかね。
今も勉強中ではあるんですけど、「小説を書けるように」身体化していくのが大変だったなと思っています。
辻井先生:
いまおっしゃられた「気づくかどうか」ということは、とても重要なのではないかなと感じました。
※川越宗一さんは文芸領域で授業は担当されませんが今回、特別ゲストとしてご登壇いただきました。
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▼京都芸術大学大学院(通信教育)webサイト 文芸領域ページ
▼国内唯一、完全オンラインで芸術修士(MFA)が取得できる京都芸術大学通信制大学院webサイト
イベントでは、作家活動と仕事の両立をどのように行っていたのか、どのようなモチベーションで作家活動をされていたのか、デビューに至るまでのプロセスでの苦労や気づきなどをお話いただきました。
本ブログでは、トークの一部をご紹介します。
🔗通信制大学院文芸領域 紹介ページ
登壇者
川越 宗一(かわごえ そういち)
鹿児島県生まれ、大阪府出身。龍谷大学文学部史学科中退。2018年『天地に燦たり』(文藝春秋)で第25回松本清張賞を受賞しデビュー。短編『海神の子』(「オール讀物」同年12月号掲載)が日本文藝家協会の選ぶ「時代小説 ザ・ベスト2019」(集英社文庫)に収録(同作品は、21年文藝春秋から刊行)。19年8月刊行の『熱源』(文藝春秋)で第10回山田風太郎賞候補、第9回本屋が選ぶ時代小説大賞受賞、第162回直木三十五賞受賞。20年には同作で本屋大賞ノミネート。
辻井 南青紀 (つじい なおき)
文芸領域教員(領域長)。1967年生。早稲田大学第一文学部卒業後、読売新聞記者、NHK番組制作ディレクターを経て、『無頭人』(朝日新聞社)、『アトピー・リゾート』『イントゥ・ザ・サーフィン』『ミルトンのアベーリャ』『小説 蟲師』(以上講談社)、『蠢く吉原』(幻冬舎)、『結婚奉行』(新潮文庫)など執筆。
作家活動と仕事の両立
辻井先生(司会):
専業作家ではなく、会社員の仕事と作家活動を両立されていた川越さん。当時の生活、1日のスケジュールはどのようなものだったのでしょうか?
川越さん:
自分で仕事の裁量を決めやすく、働きやすい職場環境ではありましたね。
17時に仕事が終わってから、喫茶店などに寄って1日に3~5枚ずつくらいの原稿を書いていたと思います。
その時はメールで添削をしてくれる教室に申し込んでいて、書き終わると先生にメールで原稿を送る、ということをしていました。
辻井先生:
先生が教えてくださったことで、どんなことが印象に残っていますか?
川越さん:
まずは文章をすごく直された、指摘されたことをよく覚えていますね。
接続詞や代名詞は極力使わないとか、例えはあまり入れないようにとか。エンターテイメント系の作品に取り組んでいたので、スラスラ読めるように曖昧な表現は避けることを指導されましたね。
ストレスがあって読み応えがある文章ももちろんあると思うんですけど、ストレスなく物語に没入できるような書き方をした方が良いということだったんだと思います。
「読みたいものを書きたい」というモチベーション
辻井先生:
妥協したり辞めてしまったりということも多いなかで、川越さんは小説を書こうとお決めになられてから一本筋を通して取り組んでいらっしゃると思います。
うまくいかないときに取り組む際の気持ちとしては「悔しい」という気持ちだったり、「絶対形にしなければ」だったり、どういうものなんでしょうか。
川越さん:
「僕自身が読みたいものを書きたい」というモチベーションですね。読みたいものに向かって、書いているイメージはありますね。
書き方は人それぞれだと思うんですけど、僕の場合は時間をかければかけるほど良くなると思っているんですよね。1年で書くより、10年かけて推敲して書いたものの方が良くなると思っているんです。
ただ、現実的には時間的な制約はあるので、「どれだけ粘れるか」だと思いますね。
辻井先生:
最初から「ご自分が読みたいものを書く」というお気持ちで書かれていたんですか?
川越さん:
書いているのが楽しいとか、書かないと生きていけない作家さんも多いですよね。そういった方はどんどん作品を出していくし、面白いものを出していくんですけど、僕の場合は「読みたい」がモチベーションなので、書いているときに本当にしんどいな、ということもありますね。
指導を受けて「書き方を知る」ことが大切だと気づいた
辻井先生:
デビューされるまでの苦労や気づきについて、教えていただけますか。
川越さん:
自分なりに書いた作品を応募して、それが落選したのでメール添削の教室を利用するという経緯だったんです。
その時に思ったのが、知ればできるんですけど、知らないとできないということがいっぱいあるということですね。接続詞や指示語の使い方とか。
知らなかったので最初は苦労しましたし、今度は頭では分かっていても文章で紡ぐには身体化する必要があるというか。息を吐くように書けないといけないので。体をつくっていくようなイメージですかね。
今も勉強中ではあるんですけど、「小説を書けるように」身体化していくのが大変だったなと思っています。
辻井先生:
いまおっしゃられた「気づくかどうか」ということは、とても重要なのではないかなと感じました。
※川越宗一さんは文芸領域で授業は担当されませんが今回、特別ゲストとしてご登壇いただきました。
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▼京都芸術大学大学院(通信教育)webサイト 文芸領域ページ
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