PHOTO

PHOTO

染織コース

2022年12月12日

【染織コース】目の中の虹の話

皆さんこんにちは。通信染織コースの久田多恵です。
昨年の本ブログで「紅葉の山が虹色に見える訳は? 色彩の謎(20211222日掲載)」をお届けしました。
この時は紅葉の山に虹がかかっているように見えたことをきっかけに、「色彩のこと」や「色を認識する目のこと」、「染織コースで色彩を学ぶ科目」のことを記事にしました。   

紅葉の山



その後コース在学中の方に向けてお送りしているメールマガジンに、ちょっとした続きとなる話を書きました。
それは「虹彩」という目の器官のことです。虹彩は眼球の中にあって目に入ってくる光の量を調節しています。話のオチとして「私たちは目の中にもともと虹の彩を持っているのですね」と締めくくりました。

虹色の紅葉



虹にはたくさんの色が見えるのですが、それは色を感じないように見える光が空気中の水滴の中を通る際に、波長によって異なる屈折率のために分散されて見えるためです。プリズムを通して虹のような色が見えるのを小学校で実験した覚えがあります。その時は分光と言っていたような気がします。

団地と虹



 虹に限らず、虹のように見える色を私は美しいと感じるのですが、それは色の幅が広いことと、その色がグラデーションのように変化していることが関係していると思います。織物を織り進めていて、思わぬところに虹のような色が出てきて感動することがあります。

こちらは近作の「私たちに降りそそぐものII」(2022年)です。思わぬところ、というより、色をたくさん入れて「私たちに降りそそぐもの」を表現しました。私たちに降りそそぐものとは太陽の光やその恩恵です。

私たちに降りそそぐものⅡ



ではない作品は2020年に制作しました。こちらも降りそそぐ光の印象です。絹糸を天然染料で染めています。

私たちに降りそそぐもの(部分)



さてさて、今回は自分の作品を紹介するのがテーマではなく、最近自分の目に起こったできごと「目の中の虹」のことです。

ある日の朝、ふとした瞬間に目の中にぎらぎら光る分割線のようなものが見えました。その線は虹のように輝く色を持っていて視界を分断していました。私は仰天しました。家族の方が網膜剥離になった時のことを話してくださった人がいて、私もまさにその状態になったのかと思いました。

光 ちょっと違いますが…



妙な症状は数分で消えたものの心配になり眼科に行って症状を説明しました。いろいろな検査を受けて、最後に眼科医が用意していた答えを提示してくださいました。それは「閃輝暗点(せんきあんてん)」という症状であって、特に珍しいものではないとのことでした。これを読んでくださっている方の中にも経験者は多いのだと思います。頻繁に起こる人もいるし一生で一度だけ経験する人もいるそうです。眼科医は芥川龍之介が見ていた「歯車」もその症状であると教えてくれました。『歯車』という小説、いつか読んでみたいのですが、今すぐでなくてもいいような気もします。

『歯車』岩波文庫



 目に見えているものと、実際に目の前にあるものは同じではないということは「そうなんだ!」とも思うし「そうなの?」とも思います。目という器官を通して多くの情報を得、たくさんのインスピレーションを受けて、その中から作品が生まれています。皆さんと見えるものについての話をしてみたいと思っています。

美山の秋(撮影:木内小織)



🔗詳細・申込|教員から直接話が聞ける!オンライン入学説明会

入学説明会は12月~3月まで毎月開催します。最新情報は上記説明会ページをご確認ください。

🔗染織コース | 学科・コース紹介



🔗京都芸術大学 通信教育部 染織研究室ブログ
研究室が在学生・卒業生向けに情報発信しているブログです。こちらでも授業の様子や展覧会の情報などが豊富です。

この記事をシェアする