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和の伝統文化コース

2023年01月23日

【和の伝統文化コース】スクーリング「伝統芸能と工芸」のご紹介

こんにちは。和の伝統文化コース非常勤講師の曽村みずきです。
今回は、「伝統芸能と工芸」という授業をご紹介します。
11月に実施された本スクーリングは、陶芸家でもいらっしゃる畑井智和先生にご担当いただきました。
土曜日・日曜日の2日間にわたり、1日目にはオンラインでの授業、2日目には東京都内で博物館見学を行いました。

オンライン授業では、畑井先生によるご講義を通して、縄文時代から現代に至るまでの「焼きもの」の歴史を学びました。

博物館見学では、日本民藝館と泉屋博古館東京にうかがい、異なるテーマによる展示から陶磁器を中心とした伝統工芸作品にふれました。


日本民藝館では、特別展「柳宗悦と朝鮮の工芸 陶磁器の美に導かれて」が開催されており、当館創設者・柳宗悦(1889〜1961)が蒐集した、朝鮮時代の陶磁器や絵画、木工品、石工品、金工品といった、多種多様な工芸品・民芸品が展示されていました。
柳宗悦は、大正時代初期に朝鮮時代の陶磁器に興味をもつようになると、文筆活動や展覧会の開催を通して、朝鮮工芸の美しさとその価値を世の中に発信していきました。
本特別展では、柔らかな色合いの《白磁壺》や細かい螺鈿が施された《螺鈿花鳥文箱》、文字の意味を表す故事を絵画化した《文字絵》などを見学し、幅広いコレクションから柳宗悦の朝鮮文化への深い愛情を感じ取ることができました。



泉屋博古館東京では、特別展「生誕150年記念 板谷波山の陶芸―近代陶芸の巨匠、その麗しき作品と生涯」を見学しました。
見学の前には学芸員の方によるレクチャーを受け、当館の歴史や、特別展に関連して近代の陶芸家・板谷波山(1872〜1963)の背景知識や展示の特徴について、理解を深めました。
波山は陶芸家としてデビューしてまもなく、19世紀末のヨーロッパにおけるアール・ヌーヴォー様式に影響を受け、新たな時代のデザインを模索しました。従来の様式にとらわれず、植物や動物を自由に配置し、淡いパステルカラーで描かれた陶磁器作品は、波山の特徴がよく表れています。
特別展では、東京美術学校時代の卒業制作《元禄美人》や、代表作の一つである重要文化財《葆光彩磁珍果文花瓶》、大正時代以降に日本へ流入した中国陶磁を学び、晩年まで制作に取り組んだ《天目茶碗》などが展示されていました。作品の見学を通して、陶芸家としての波山の生涯をうかがい知ることができました。

受講した学生のみなさんも、講義をふまえて実際の展示を見学することで、「焼きもの」の歴史や各時代・地域の作品を立体的に捉えることができたのではないでしょうか。
今後もさまざまな授業を紹介してまいりますので、こちらのブログをまたのぞいてみてくださいね。

【参考文献】
日本民藝館学芸部編『日本民藝館手帖』 東京:ダイヤモンド社、2008年。
出光美術館編『板谷波山の意匠』 東京:出光美術館、2003年。

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