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通信教育課程 入学課

2023年04月10日

夢中になる人生のはじまり -2023年度 京都芸術大学通信教育課程 入学式-

こんにちは、通信教育課程 事務局の綿野です。
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます!



2023年4月9日(日)、通信教育課程の「入学式」が京都・瓜生山キャンパスにて挙行されました。
4/6(木)に出願受付を終了したため、2023年度の入学者数はまだ確定していませんが、現段階で4,500名以上のみなさんが出願手続きをされています。

式典会場には約1,100名の新入生が出席しましたが、全国各地からもたくさんの新入生がYouTubeのライブ中継にて遠隔参加していました。今回は式典の様子と、学科コース別に分かれて実施した「新入生ガイダンス」等、当日の様子を紹介いたします。

2023年度入学式(アーカイブ動画)※冒頭19:00頃より開始します

入学式の様子


まず瓜生山キャンパスといえば、正門入口(人間館)にそびえたつこの大階段。実はこの階段「天に翔ける階段」と名がついています。比叡山から続く東山三十六峰のひとつ「瓜生山」の斜面に沿って建てられている本キャンパスは、正門から中に進めば進むほど、標高があがってゆくことになります。

式典会場の「直心館(講堂)」へはさらに50mほど階段を上った先となるため、新入生の皆さんは延々と続くこの階段の長さに驚き、「まるでお寺に参拝しているみたいです。」と。しかし息を切らしながらも、どこかさわやかな笑顔で、1段ずつ踏みしめながら会場へと足を運ばれていました(※エレベーターもありますので、どうぞご安心を)。

キャンパスマップ



また「階段の途中に松の木が生えているはなぜですか?」とのはじめてキャンパスをおとずれた新入生から質問をいただきました。

これには学園創設者である前理事長・徳山詳直の思いが込められています。徳山詳直はこの瓜生山をこよなく愛し、ここにキャンパスを建て、敬愛する吉田松陰のように現代の松下村塾をつくるということに生涯かけて心血を注いだ人物でした。キャンパスの設計図も専門家の指示を仰ぎながら徳山自身が手掛けています。

工事の際には「一本の草木といえども、決してないがしろにしてぶち切らないでください。」と関係者一同に熱心にお願いしたという逸話が残っています。ずたずたに山を切るのではなく、もともとそこにいたアリやミミズ、草木などすべてのものを大切に、木一本でも大事に扱ってほしい。そういうつもりで工事に取り組んでいただきたいと。

みなさんを迎えるこのキャンパスは、そうした思いによって建てられています。



式典は、本学教授の松平定知先生による、本学の理念「京都文藝復興」の朗読からスタートします。大学創設時のエネルギーに満ちた建学の理念です。講堂は最後列までぎっしりと埋まっており、みなさん真剣に朗読に耳を傾けています。


 

生きるとは何か、生命とは何か、それらを大きく育む宇宙とは何か。

哲学や宗教、文学や芸術表現が追求し続けてきた、この根源的な問題について、
今や良心ある多くの人々が、生涯をかけた探求へと向かいはじめている。


我々はそこに、万物に対する謙虚さと天地自然への畏敬の念に満ちた、
創造的精神の復興の兆しを見いだし、
現代を超克し未来を拓くに至る、たしかな可能性を確信する。

「京都文藝復興」より抜粋



つづいて吉川左紀子学長からの式辞。

ここでも徳山詳直が46歳の時に書いた学園設立時の趣意書「まだ見ぬわかものたちに」が紹介されました。

1998年、通信教育部を開設の際、「芸術を通信教育で指導するのは無謀だ」と周囲から猛反対に合いながらも、信念をもって貫き、学園全体を巻き込んで開設にこぎつけたといいます。現在の本学通信教育部は日本全国の通信制大学の中で最も学生数、新入生数が多い大学としてその躍進は目覚ましいものがありますが、その発展も最初はたった一人の熱い思いだった、と語ります。






つづいて、本学姉妹校・東北芸術工科大学学長の中山ダイスケさんからの祝辞です。

アーティストとしてかつてニューヨークに住んでいた頃、クリエイターやビジネスマンなど社会人が貪欲に1セメスターだけでもと大学に戻って学ぼうとする姿に感銘を受けたこと。またその時出会った学びの姿勢が本学に近いものがあると話します。
パッと見ただけでは誰か先生なのかもわからないし、おじいさんやおばあさん、ベビーカーを押した方、スーツを着たビジネスマン風の方、学生の数だけそれぞれの事情や都合を抱えたまま、集い、学ぶ。
年代や地域も異なる多様な学生が共に学ぶ本学の姿は、卒業後に対峙するクリエイティブのプロが集う現場の姿そのものであり、非常にリアルな場だとおっしゃいます。



また今春2022年度の本学の卒業制作展が「今シーズン観た中でベストの卒業制作展だった」と続けます。

「衝撃的でした。深くて、強くて、やり切った!というエネルギーに満ちていて。研究としてのクオリティも圧巻だった」と評します。「学長という仕事柄、多くの芸術系大学の卒業制作展を例年多く拝見しますが、間違いなく昨シーズンベストの卒業制作展がここにありました。それくらいすごかったです。

入学するのはカンタンですが、卒業するのは困難なのが通信教育。
ですが、それでもここで学ばないままに過ごした数年後と、何かを成し遂げようともがいた数年後の価値は絶対に違うはずです。
思いっきり苦しんで、楽しんで、夢中になる数年をすごしてください。みなさんの”本気の卒展”をいまから楽しみにしています。」
と締めくくりました。

卒業・修了制作展のアーカイブはこちら

そして本学名物の和太鼓教育センターによる、新入生を歓迎する祝奏です。会場中に力強く響き渡りました。




機会があれば是非一度体感いただきたいのですが、「音が聞こえる」というよりも、音そのものが身体の奥にズーンと響き、理屈ではなく感情や心を揺さぶってくるような感じです。


和太鼓は「打てば鳴る」ごく簡単な楽器ではありますが、大地のエネルギーを何百年もの間、吸収して育った樹木と牛革を使用して作られた、音階もなく同じ音を再び出すことが大変困難な楽器です。
しかし、技術だけでは伝えきれない、人間の魂を揺るがす程の「何か」があります。それは演奏者(打ち手)の心で大きく左右され、人間の感情がリアルに表現されるものです。

これから芸術を学ぶ新入生たちにとって、和太鼓の振動がまるで祝砲のように身体に刻まれた瞬間でした。


続いて、入学生を代表して、嶋岡 恭司さん(通信制大学院 写真・映像領域) より「入学の辞」をお読みいただきました。嶋岡さんの入学の辞は文末にて紹介いたします。

新入生ガイダンスの様子


式典終了後は、各学科・コースに分かれて教室へ移動。新入生ガイダンスや個別相談会を実施しました。



ご入学後、どのように学習をはじめればよいか、安心して学習に取り組めるよう本学では様々なサポートを用意しています。そのひとつがこの「新入生ガイダンス」です。京都瓜生山キャンパスだけでなく、東京外苑キャンパス、またオンラインでも参加可能となっており、全員が参加できるように機会を整えてます。学科・コースによって内容は若干異なりますが、だいたい以下のような内容です。

  • 教員紹介

  • カリキュラム概要と科目紹介/履修条件の説明

  • 学習の進め方

  • 自宅学習について

  • 機材、道具類について

  • 質疑応答


イラストレーションコースの様子。



建築デザインコース



洋画コースは藤部恭代先生の鉛筆デッサン実演も



芸術教養学科は恒例のワークショップを開催



日本画コース



グラフィックデザインコース


日本全国、海外からも遠隔参加する入学式


毎年入学式看板の揮毫を担当されている書画コースの桐生眞輔先生の発案で、遠隔から生中継で式典に参加される学生さんに是非雰囲気を味わっていただきたい!と正門入口の入学式看板を模したペーパークラフト「#遠隔入学式立版古」PDFデータが配信されました。

書画コース 桐生眞輔先生(書家)



学生のみなさんが組み立て、ご自宅などでフォトセッションをされ楽しんでいる様子がTwitter投稿を中心に盛り上がりました。アーカイブ動画などで式典を視聴される新入生の皆さんもよかったらハッシュタグをつけてtwitterなどに投稿してみてくださいね。

ダウンロード|ペーパークラフト「遠隔入学式立版古」データはこちら

公式twitter|京都芸術大学通信教育課程
ハッシュタグ「遠隔入学式立版古」

 

入学の辞


最後に、新入生代表・嶋岡 恭司さん(通信制大学院 写真・映像領域)の「入学の辞」を紹介いたします。



「春の温もりと爽やかな風が心地よい季節となってまいりました。新型コロナウイルスの影響もやわらぎ、本日は輝かしい学びのスタートを切ることとなりました。
吉川学長はじめ諸先生方ならびに事務局や関係者の皆様には、素晴らしい入学式を開催していただき、感謝と御礼を申し上げます。

私は2019年度本学写真コース3年次に編入学し、2020年度に無事卒業させていただきました。趣味として始めた写真ですが、さらに見分を深めようと本学写真コースに入学しました。学習を進めるにつれ、入学以前に考えていた自身の写真の世界が、いかに狭かったかを思い知らされました。

写真コース卒業後も写真関連の書籍を紐解き、新しい写真の世界を理解できるように頑張ってきましたが、疑問は深まるばかりでした。特に海外の書物や情報は難解で難しいものがありました。昨今の「東京都写真美術館」における「日本の新進作家展」などでは、今までの写真とは全く違う新しい表現の作品が並んでいます。これらの写真は今までの知識では理解しづらく、さらに自身の知識や感覚をアップデートしなければならないことに気づきました。

今般修士課程のカリキュラムを受講することにより、少しでも難問を解決できるように、また学問としての写真芸術を追求したいと考え、大学院への入学を決意しました。今年度に当大学の大学院が改編され、写真・映像領域が新設されたことは朗報でした。

大学院 写真・映像領域で学びたいと思うことは、写真が発明された時点から現在に至るまでの詳細な歴史、美術全般から見た写真の立ち位置、また美術史と写真との関係などです。近年写真は被写体の提示にとどまらず、フレームの外へと拡張しているように思います。また現代美術と写真との密接な関係も研究対象にし、これら学習の成果を作品の制作に生かしたいと考えております。

写真を長く続けている関係で、地域の行政機関が行う市民参加の美術展に関わるようになりました。写真作品の審査とギャラリー展示及び作品の講評です。これは責任のある仕事で、社会全般の広範囲な見分と、芸術にまつわる豊富な知識が必要なことを実感しました。本大学院での学びを、このような地域の芸術活動に生かしたいと考えております。

昨年故人となった私が尊敬するアメリカの偉大な写真家ウィリアム・クラインは、95歳まで車椅子に乗りながら写真を撮り続けていました。彼は写真とはいくらでも新しいことができるメディアであると言い、常識的な写真表現に抵抗し、探求と想像の精神を忘れず最後まで創作活動を続けた作家であります。

私は現在70歳です。ウィリアム・クラインのことを知り、この年齢でもまだ何かできることがあるのではないかと思い学習への意欲を新たにしました。
残された時間精一杯学習に励み、健康に気を付けながら、本日入学された皆様と一緒に頑張りたいと思います。最後にこの場所に私を導いて下さいました先生方、先輩、また学友達にこの場をお借りして御礼を申し上げます。

令和5年4月9日
京都芸術大学 大学院芸術研究科 通信教育 芸術専攻 修士課程
写真・映像領域 嶋岡 恭司

 

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