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芸術教養学科

2023年06月20日

【芸術教養学科】アートを学びたい人にとっての「デザイン思考」



こんにちは、芸術教養学科教員の下村です。
今これを書いているのは、6月の中旬。入学や異動のどたばたも一段落し、嵐のようだった春期の添削もちょうど先ほど終わったところです。
新たに入学した方がまず履修する科目に「芸術教養入門」というのがあります。このレポート課題では、ここで学んでいきたいことやこれからの履修計画などを書いていただくことになっているのですが、それを読むと本当にいろいろな方がこの学科を選んでくださっていることがわかります。年代も背景も、居住地も(海外の方も多くおられます!)本当にいろいろな方がいらっしゃいます。今回の添削でも、さまざまなの人との出会いがありました。
その多様そのもののような人たちのレポートには、共通点があります。それは「アートが好き」ということなのです。

アーティストやデザイナーとして活動してきて改めて教養が欲しくなったという方、かつて芸大に憧れたことがあって第二の人生で挑戦するという方、高校で学んでいたアートに継続して取り組みたいという方、日本庭園や茶道など伝統的な文化芸術に興味のある方。
アートへの関心のありようはさまざまですが、このアートへの情熱はほとんどの人に共通して見られるものなのです。

芸術教養学科の大きな特徴は、「デザイン思考」が学べること。本学科は10年前の開設時より、これを掲げてきました。今では多くの大学が「デザイン思考」を教えるようになってきていますが、本学は相当に先進的だったと思います。

芸術教養学科|学科・コース紹介

この「デザイン思考」、インターネット等で調べると「問題解決型の思考法」と書いてあったりします。わかったような、わからないような…。「問題解決型」の筋道だった思考、というのは確かに建築デザインにせよグラフィックデザインにせよ、業としてのデザインを遂行する上では欠かせないものです。この頭の使い方を、モノのかたちや色など造形するのではない分野に拡張したのが「デザイン思考」ということのようです。デザイナーたちは、アイディアを育て完成にまでもっていくために、いろいろなことを試みます。そこで培われた技の多くは、特別な天才でも組織の偉い人でもない、ふつうの市民の武器になるものなのです。みんなでアイディアを出しあい育むワークショップの技術はその代表的なものでしょう。

この「デザイン思考」は考える方法というかツールであって、それ自体はある意味無色透明なものです。どのような文脈におかれるかで、その方向性や可能性は変わってくるでしょう。多くの大学ではそういう「デザイン思考」を、「工学知」を補うものとして専門的に教育しているようです。

わが芸術教養学科ではそうではなく、この「デザイン思考」を「文化的伝統」と対にして学ぶところに大きな特徴があります。これは今でも他に類を見ないカリキュラムです。

そして何より大きいのは、「アート好き」のみなさんが集まり、これを学ぶということです。これこそ、芸術大学である本学の、文脈であり文化といえるでしょう。皆さんの「創造」への想いや興味が、「デザイン思考」の方法論と結合したときにどんなものが生まれるか、それはいつも予測不可能で、私たちもわくわくさせられるものなのです。

「芸術教養学科」は「芸術」を学べないのでは? と言われることがあります。確かに学科専門の科目ではファインアートについての科目はありません。しかし学部共通専門教育科目に数多くの芸術史、芸術理論関係の科目が用意されていますし、芸術学舎で実技に触れることも可能です。そうしたアートの学びを、学科専門の課題に活かすことももちろんできるでしょう。

一人一人の「アート」への興味は、はじめのうちはぼんやりしているかもしれません。芸術教養学科の「デザイン思考」の学びは、それを成長させ、生活に活きるかたちに変容させることがきっとできると思います。

▼芸術教養学科Web卒業研究展
http://g.kyoto-art.ac.jp

卒業研究では、地域の文化資産を調査し、評価報告書をまとめることが課されています。とりあげる地域も、またとりあげるものも多種多様です。身近にある様々な芸術・デザイン活動や実践例が取り上げられています。
学科が設立されてから10年となり、今期のものも含めて、計566件のレポートが公開されています。これらの卒業研究レポートは卒業生の成果でありつつ、入学を検討されている方や、在校生にとっての良き道標ともなっています。どういったものが取り上げられているのか、ぜひ、ご覧になってみて下さい。

◆秋入学検討者向け 入学説明会

▼芸術教養学科コース紹介動画(早川克美先生インタビュー)



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