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グラフィックデザインコース

2023年08月30日

【グラフィックデザインコース】クリエイティブになるための魔法のツール

こんにちは、グラフィックデザイン/情報デザインコース業務担当非常勤講師の清水将之です。

今回は、日頃の課題の制作をスムーズに進めるための魔法のツール「デザイン思考」と「ダブルダイヤモンド」についてお話してみたいと思います。

近頃、デザイン業界以外でも話題になっている「デザイン思考」と「ダブルダイヤモンド」ですが、聞いたことのない方もいるかもしれません。これらは、問題を解決するための創造的な方法論のことで、次のような特徴があります。

デザイン思考とは


デザイン思考は、スタンフォード大学 d.schoolによって提唱された方法論で、問題を解決するためのステップを「共感(Empathize)」「定義(Define)」「創造(Ideate)」「プロトタイプ(Prototype)」「テスト(Test)」という5つに分けてアプローチします。いわば、クリエイティブの型みたいなものです。* 共感(Empathize):ユーザーの抱える問題や考えに共感し理解する。

* 定義(Define):問題を明確にし、課題を具体的に定義する。

* 創造(Ideate):課題に対して、さまざまなアイデアを考え出し、多角的にアイデアを模索する。

* プロトタイプ(Prototype):アイデアを試すための試作品を最小限のコスト(時間や費用など)で制作する。

* テスト(Test):試作品を実際に使って問題が解決されるか確認する。

ダブルダイヤモンドとは


ダブルダイヤモンドは、2005年に英国デザイン協議会で導入された問題解決のアプローチで、「発散」と「収束」を2回繰り返して、4つのステップで問題を整理するツールです。* 探索(Discover): 問題をリサーチし、背後にある問題を洗い出し理解するステップです。可能性を広げる発散段階です。

* 定義(Define):リサーチした情報を分析して問題を特定し、課題を定義します。広げた可能性を絞りこんでいく収束段階です。

* 展開(Develop):定義した課題の解決策を試すため、たくさんのアイデアや試作品を作る段階です。ここで再び可能性を広げる発散段階です。

* 提供(Deliver):たくさんの試作品の中から 最も良い解決策を選び、最終段階に仕上げます。最後に絞り込んでいく収束段階です。

実制作での活用方法


デザイン思考、ダブルダイヤモンドを活用する時に重要なことは、すべての段階において主役はユーザー(ターゲット)だということです。そのため、ユーザーが誰なのかを定義することは非常に大切ですが、今回はユーザーの定義方法については割愛します。

では、課題の制作で、2つの方法論を使う具体的なステップを見てみましょう。

まずは仮想的な課題として、児童向けの絵本を作るプロジェクトに取り組むと仮定して説明したいと思います。今回のユーザー(ターゲット)は子供たち(児童)と仮定しました。


第一のダイヤモンド「正しい問題を見つける」


探索(Discover): ユーザー(子供たち)と共感(Empathize)し、彼らのニーズと興味を理解するため、子供たちが何に興味を持ち、どのような物語に魅力を感じるのか徹底的にリサーチして問題を洗い出します。そのとき、ユーザーの視点から物事を見ることが重要です。

定義(Define): リサーチした情報を分析し、問題を絞り込みます。分析とは、簡単にいうと「分ける」ことです。そして「折」という漢字にも「ばらばらに切り離す」の意味があるそうですが、要素を分解して観察し、分けて理解する。対象を「分かる」ようになることです。観察した結果、絵本で子供たちに何を伝え、どのようなメッセージを送るかを具体的に定義していきます。たとえば、「勇気を持つことの大切さを伝え、子供たちに自信を与える絵本を制作する」と定義し、絵本のテーマを「勇気を持つ小さな冒険者」にしました。

第二のダイヤモンド「正しい 解決策を見つける」


展開(Develop): 第二のダイヤモンドでは、解決策を考える段階です。物語の要素、キャラクター、ビジュアル、スタイルなど、絵本の具体的なアイデアを発想していきます。子供たちが共感し、楽しめる要素を考え出します。

プロトタイプ(Prototype): アイデアをプロトタイプに落とし込んでいきます。物語のエピソードをスケッチし、絵本のレイアウトを試作します。子供たちが楽しんで読むことができるデザインを目指します。

テスト(Test): 試作品を実際に試してもらい、フィードバックを収集します。物語が子供たちに理解され、楽しまれるかを確認し、必要に応じて修正を行います。子供たちの声を大切にし、絵本を完成させます。

まとめ


ダブルダイヤモンドのアプローチは、デザイン思考をより具体的かつ実践的に適用する手法です。今回のようにダブルダイヤモンドを制作プロセスに取り入れることで、ユーザーのニーズを的確に理解して、魅力的な作品を制作するのに大いに役立つはずです。

ユーザーのニーズ(課題の場合は出題意図)を的確に捉え、魅力的な作品を制作するために、ダブルダイヤモンドを活用してみてください。素晴らしい作品が生まれることを楽しみにしています!

 

コース紹介ぺージ(大学公式HP)

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