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染織コース

2023年08月29日

【染織コース】通信教育の今−染色実験の遠隔スクーリングに参加してみました

皆さんこんにちは。染織コースの久田多恵です。

染織コースでは今年度から遠隔授業(自宅で授業を受けるもの)だけを選択しても卒業を目指すことができるようになりました。対面授業(大学に登校して授業を受けるもの)と遠隔授業のどちらかを選ぶのですが、履修の方法は違っていても、同じ科目の場合は同じ到達目標を目指します。

 

Zoomを使った遠隔授業(自宅の様子)



染めたり織ったりする授業を遠隔化するのは、実は簡単ではありません。どのように進めていけば無理なく科目の内容を習得できるか、事前に担当教員と相談を重ねました。

遠隔授業の方法はいくつかあります。動画教材を作成しておき、受講生がそれを見て学ぶ形式、またはズーム(Zoomビデオコミュニケーションズが提供するウェブ会議サービス)を使って全員が同時に授業を受ける方式などが代表的なものです。

Zoom授業を大学から配信する様子(卒業制作)



染色実験スクーリングは入学してすぐに受講する科目で、基本的な染色技術を学ぶ実習授業です。2020年のコロナ禍では動画教材を見て自宅で実習を行うスタイルでした。今年度から新しく遠隔化した授業ではZoomを使って実習の説明を行い、受講生は自宅で実験を行います。

私は授業を担当する訳ではないので、この機会にZoom授業に自宅から参加してみました。

材料と用具の準備



授業に参加するためにはいくつかの準備が必要です。材料、用具、染料と薬品類を用意しておきます。

実際には画像の右下にある布を指定のサイズに切っておくことや、画像の左にある枠を組み立てておくなどの作業もあります。自分用に準備をしていなかったので実際のところ大慌てになってしまいました。準備は肝心です。

 

組み立てた枠に切り分けた布を張る(担当教員に事前に送りました)



さて授業当日の朝、9時半前にZoomに接続します。大学で授業を行うために出勤するとなると7時半頃には家を出ます。早起きしなくていいのは単純に嬉しいです。受講する皆さんも遠方から前日入りしなくていいのは利点です。

精練した生成の布



授業は染色前の処理作業である精練(せいれん)と漂白からスタートします。

精練とは聞きなれない言葉ですが、繊維がもともと持っている油分や蝋分、布を織り上げる工程で付着した機械油や汚れを落とす作業です。これをしておかないと布は綺麗に染まりません。金属の精錬と読み方は同じですが布の場合は糸偏の練を使います。

精練後の布は一枚をサンプルとして乾燥させ、残りは漂白します。精練だけでは布は白くなりません。白くなっていなくてもムラなく染まりますが生成の色が重なり、少しくすんだ色に染め上がります。

このあといよいよ染色の作業に入ります。でもその前に染料と薬品類の計算をします。

説明を聞いて染料の計算をします



使い慣れている染料なのですが、授業では濃淡に染めるために詳細な計算をします。計算といっても染色で行う計算は、足し算、引き算、掛け算、割り算くらいです。合成染料はごく微量で染まり上がりが違ってくるので桁を間違えないように気をつけます。

 

濃色と淡色に染めます



きちんと計算したのではっきりと濃淡に染まって感激!

オレンジ色の濃淡



台所の流しで洗います



今回は水と熱源が必要だったので私は台所で作業しました。「食べるものを扱う場所で染色しても大丈夫なの?」と思いますよね。染色に使う染料と薬品類は注意して扱えば危険なことはありません。作業後に綺麗に拭き掃除をしておけば大丈夫です。

 

保護めがね



危険はないとはいえ、酸性やアルカリ性の薬品を使うので普段めがねを使っていない方には保護めがねの着用をおすすめしました。画像は百円均一ショップで売っているものです。一つあると安心です。

授業担当の教員は今回兵庫県から授業を配信しました。受講生数が多かったので東京外苑キャンパスでの授業を担当する教員も関東から配信に加わっていただきました。スクーリングのアシスタントは瓜生山キャンパスから授業のサポートを行います。全国で受講する学生の皆さんも教員もそれぞれの本拠地にいて一つの授業が進んでいきます。

これは通信教育の未来形? いえいえ現在形なんだな、と実感しました。

 

対面授業の様子



 染色実験スクーリングは対面の授業ではグループに分かれて実習を行います。グループでの作業は初めて会う学生同士が協力して行います。

またちょっとした合間におしゃべりをするのも実は大切なことです。遠隔授業ではグループワークはできない・・・と思っていたのですが、担当教員のアイデアで染色作業中にグループでおしゃべりができる時間を設けることができました。いくつかのルームを作り自己紹介をしたり情報交換をしたりすることができました。

 

授業1日目の成果



遠隔授業は自宅にいて授業を受けられる利点があります。一方対面授業は直接説明を聞いてデモンストレーション(作業の手順を実際に教員が行う)をその場で見ることができます。どちらにもいいところがあるので「この授業は対面で受講、この授業は遠隔で受講」と授業内容やご自身の都合で選ぶようにするのがいいと思います。

また機会があれば対面授業や遠隔授業の様子をお伝えしたいと思います。

 

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京都芸術大学 通信教育部 染織研究室ブログ
研究室が在学生・卒業生向けに情報発信しているブログです。こちらでも授業の様子や展覧会の情報などが豊富です。

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